
都内から電車で約1時間30分とアクセスのいい箱根湯本。駅からバスで10分ほど行った山のなかに「天山湯治郷 ひがな湯治 天山」があります。「湯治」とあるとおり、こちらは温泉を楽しみ、静かに癒されたい人のための日帰り湯。女性用の洞窟野天風呂など数々のお風呂のほか、湯上がりの施設も充実しています。山のいで湯情緒にひたりたい、でも日帰りでさくっとでかけたい、そんな日にそっとでかけてみませんか。
ひがな湯治 天山があるのは、箱根湯本でも少し奥まった旧東海道が走るエリア。清流・須雲川と湯坂山の間にひっそりとたたずんでいて、道路から専用の橋を渡って到着します。
ツアーも大人数のグループ客も受け入れていないため、静かに箱根の温泉を楽しみたいという人に長く愛されている施設です。
訪れたら、まずは重厚な門をくぐって藍色ののれんが下がった玄関へ。磨きこまれた柱や板張りの床など、木材をふんだんに使った館内はどこかレトロな日本家屋のような雰囲気。ゆったりと落ち着けます。
浴場は男女ともに広々としたつくり。風情ある木造りの内湯の外には森の木々に囲まれた野天風呂エリアがあり、趣向と泉質を変えた風呂で6つ(男性用は5つ)の湯めぐりが楽しめます。
施設のいちばんのこだわりは「源泉浴」。7本の自家源泉から1日約48万リットルという湯量をいかして温泉は加水・加温なし。塩素消毒も行わず、源泉掛け流しの温泉を楽しめます。泉質はアルカリ性単純泉とナトリウム塩化物泉の2種類。湯船ごとに異なる温泉が楽しめるのも魅力です。
女性客に好評なのが大きな岩風呂の一角にある洞窟風呂。野天風呂エリアのいちばん奥、湯坂山の山肌を利用してつくられた「子宝洞」です。こちらの湯船は湯温43度とやや高めなうえ、洞窟内に立ち込める温泉熱でからだの芯からぽかぽかに、肌もすべすべになりますよ。
女性用の野天風呂エリアには、そのほかにも高温サウナや入ったとたんに汗が噴き出す源泉蒸し湯も。ひがな一日温泉三昧できれいを目指せそうですね。
さまざまなスタイルでくつろげる無料の湯上がりどころが充実しているのもひがな湯治 天山の魅力でしょう。ひとりでも居心地がよいのが、館内の奥にある読書室「雨宿り」。ほの暗いドアを開けると、室内は須雲川に面して大きく窓が開いた明るい空間。瀬音を聞きながらお気に入りの本を読む至福の時間が過ごせそう。
同じく眺めのいい「座敷ぼっこ」、和の雰囲気でくつろげる「まちあい」、さらに有料の貸し座敷、屋外のテラスなどにもスペースがあり、思い思いにくつろげます。
カフェ「うかれ雲」は館内の比較的新しい付帯施設。こちらではph9.3のやわらかな軟水(温泉水)で淹れるコーヒーが味わえるほか、自家製の中華風蒸しパン「マーラーカオ」が好評です。てんさい糖とメープルシロップでつけたほのかな甘みのやさしい味わいで、ジャスミン茶ともよく合います。
無加糖・無添加の「酒蔵の甘酒」など多彩なメニューがそろっているので、湯上がりのからだと相談しながらじっくり選んでみましょう。
カフェには屋外にウッドデッキのスペースがあり、真冬や悪天候のとき以外ならオープンエアでお茶を楽しむことも。見渡すと周囲はぐるりと山と囲まれていて、箱根の四季をのんびりと感じることができそうです。
お腹がすいていたら、館内や敷地内の食事どころへ。ひがな湯治 天山の館内には麦とろごはんや川うなぎなどの滋養料理が味わえる「山法師」などふたつの飲食施設があるほか、敷地内には温泉水で打つこだわりの蕎麦どころ「じねん蕎麦 すくも」も。
ひがな湯治 天山だけでも1日のんびり過ごせてしまいますが、天山湯治郷の敷地内には温泉浴のみにこだわったシンプルな日帰り温泉施設「かよい湯治 一休」、宿泊施設「逗留湯治 羽衣」などもあります。気になったら次回の温泉トリップのお楽しみにしてみてはいかがでしょうか。
湧きたての新鮮な温泉を飲むことで体内から調子を整える飲泉のコーナーも忘れずにチェックしましょう。
こちらは館内ショップのみやげ噺「洒落亭」の一角にあり、備え付けの紙コップで自由にごくごく飲むことができるほか、ペットボトルを購入すれば館内で水分補給用に飲むことも可能です。数多くの温泉が湧く箱根でも、飲むことができる温泉はとても貴重なもの。ぜひ体験してみてください。
いかがでしたか?日帰りでものんびりとくつろげる「天山湯治郷 ひがな湯治 天山」。夜も比較的遅くまで開いているので、箱根の旅の帰りに寄り道すれば星空の下の湯浴みも楽しめますよ。