耳に残って離れない!水尻自子の方言アニメが、じわじわハマる面白さ!3 「全国ワンポイント方言」編

  • 2025年5月27日
  • コロカル

耳に残って離れない!水尻自子の方言アニメが、じわじわハマる面白さ!3 「全国ワンポイント方言」編
全国から募集した知られざるひと言方言をショートアニメで紹介します。

2012年から2016年まで、コロカルで不定期で連載されていた「水尻自子の方言アニメ」。全国の方言をショートアニメーションで紹介する隠れた人気コンテンツでしたが、一連のアニメを制作してくれた水尻自子さんの作品『普通の生活』が、第75回ベルリン国際映画祭の短編映画コンペティション部門で、最高賞に次ぐ「銀熊賞」を受賞。これまでも海外のアニメーション映画祭などで高く評価されてきましたが、世界3大映画祭といわれる大舞台で快挙を成し遂げました。

そこで過去のシリーズから選りすぐりの方言アニメを紹介。いろいろな地域の方言を、意外なシチュエーションで展開される水尻さんのアニメと一緒に楽しんでみて。

青森南部「あめる」

「あめでらすけぇ、かねぇ方がいいよ。」青森県南部を中心に使われる方言「あめる」は、「腐る」「傷む」といった意味を持つ言葉。特に魚や肉などの生ものに対して用いられることが多い表現です。例えば、「この魚、あめできた」と言えば、「この魚は傷んできた」という意味になります。この言葉は、八戸などの沿岸部における豊かな魚食文化の中で日常的に使われており、食品の状態を表す実用的な言葉として定着しています。

「あめでらすけぇ、かねぇ方がいいよ。」という言い回しは、「腐っているから、食べない方がいいよ」と助言する表現です。「〜すけぇ」は「〜だから」、「かねぇ」は「食べない」または「手を出さない」の意味にあたり、地域特有の語感が色濃く残っています。

広島「さげる」

「もっと下げて〜や。」広島弁における「さげる」は、標準語とは異なる意味で使われることがあり、注意が必要です。標準語では「下に下ろす」「位置を低くする」という意味ですが、広島弁では「持ち上げて移動させる」「どかす」といった意味で使われることがあります。たとえば「もっとさげて〜や」という表現は、「もっと持ち上げて動かしてほしい」という意味になる場合があります。

この用法の背景には、「提げる(さげる)」という古語の存在があると考えられています。かつて「手に提げて持つ」ことを「さげる」と言っていた名残が、広島を含む中国地方の一部に残っているためです。そのため、「さげる」は上下の方向よりも、「手に持って動かす」「その場からどける」といった動作全体を指すようになっています。

宮城「たごまる」

「たごまって、はっぱ手が出でこねー!」宮城県を中心に使われる方言「たごまる」は、「物がぎゅっと詰まって動かない」「絡まってしまう」「固まってしまう」といった状態を表す言葉です。特に仙台を含む県内各地で使われており、洗濯物やロープ、布、体の一部などがうまく動かなくなったときによく用いられます。語感としては、「もつれる」「ひっかかる」「詰まる」といったイメージが近いでしょう。

「たごまって、はっぱ手が出でこねー!」という表現は、「(服の中で何かが)たごまって、全然手が出てこない!」という意味になります。「はっぱ」は「まったく」「全然」の意味で、宮城をはじめとする東北地方で広く使われる強調表現です。ここでは、服を着ようとして袖の中で手が引っかかってしまい、なかなか出てこない場面を表しています。

profile

Yoriko Mizushiri

水尻自子

みずしり・よりこ●1984年青森県十和田市生まれ。映像作家/アニメーター。『不安定な体』(2021)でアヌシー国際アニメーション映画祭審査員特別表彰など、数々の賞を受賞。『普通の生活』(2024)でベルリン国際映画祭短編コンペティション部門銀熊賞受賞。/@yorik0

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