
昔から漫画を描くことが好きな反転シャロウ(@sharoh_hanten)さんは、X(旧Twitter)を中心に漫画を公開している。2023年8月にはくらげバンチにて「33+66」が掲載。月間少年ラックの女性編集者が、66歳の新人漫画家さんとの偶然な出会いをきっかけに話が展開していく。本作が誕生したきっかけやこだわった点などについて、反転シャロウさんにインタビューした。
――本作が誕生したきっかけについて、お聞かせください。
新規開拓でとある編集部に持ち込んだのですが、そこでとんでもない編集者さんに当たっ…いやなんでもありません。とはいえ、編集者さんもとんでもない漫画家に当たることがあるだろうなと思いまして、そこから話を広げていって誕生しました。ネガティブな経験をエンタメに昇華することで読者の方に楽しんでいただき、かつ原稿料をいただくことで自分も癒やす…という、なんともwin-winな作品です。
――リアルなストーリーですが、登場人物のモデルはいるのでしょうか?
女性編集者の『立花まこ』は自分の性格、新人漫画家の『一宮さん』は、自分の経験と作風が反映されています。同僚編集者の『藤井さん』は今まで出会ったとんでも…いや印象に残った編集者さんたちが反映されています。なので、どのキャラクターも作中でとても動かしやすかったです。
――本作を描くうえで、どのような点にこだわりましたか?
こだわったのは作中漫画です。本作ではさまざまな漫画が出てくるのですが、自分の絵柄のままでは違和感が出てしまうので、知り合いの作家さんやアシスタントさんに頼みました。下書きや伝えたことをもとにして、予想を上回るクオリティで仕上げてくださいました。読者の方にも『この漫画を読みたい』という感想もいただけてとてもよかったです。
――新人漫画家の一宮さんは66歳で絵柄の勉強を始めたようですが、反転シャロウさん自身、何事も挑戦するのに年齢は関係ないと思われますか?
やる気と根性、そして楽しむ心があれば年齢は関係ないと思っています。自分も死ぬまで楽しく漫画で生きていくために、今でも日々の勉強は欠かせません。
――最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
作中の言葉である『生きてる限り巻き返せ!』というのは自戒でもあります。もう10年以上商業漫画を描かせていただいてますが、トラブルに見舞われたことは何度もあり、そのたびにもうお終いだ!と絶望していました。しかし脱線したレールを直したり、もしくはほかのレールに切り替えることで、今でも楽しく漫画を描き続けられているので、これからもこの気持ちを大事にしていきたいです。
人との出会いは、人生や仕事などを大きく変えることもある。立花まこさんと一宮さんの出会いは、偶然を装った必然の出会いだったのかもしれない。本作は読み切りだが、ほかの作品は連載漫画ばかりなので、興味がある人はぜひ読んでみて!
取材協力:反転シャロウ(@sharoh_hanten)