
SNSで一緒に暮らすインコとのエピソードを中心に、日常の出来事を漫画にして発信しているえるぽぴ( @lpo_on )さん。実はオタクな一面も持ち、中学生の頃からオリジナルキャラや魔法の設定をノートに描いたり、意味もなく包帯や眼帯をつけて登校したりしていたそう。
コミックエッセイ「えるぽぴの楽しい黒歴史ライフ〜解放の刻来たれり〜」は、そんなえるぽぴさんの挙げたらきりがない「黒歴史」の数々を、独特のテンションで描き下ろした作品。平成をオタクとして過ごした人は、きっと懐かしさと恥ずかしさで震えることだろう…(ちなみに筆者は震えた)。
今回は、HN(ハンドルネーム)について。当時アニメのような名前に憧れがあったオタクたちは凝りに凝った名前をつけており、えるぽぴさんも初見では読めないかっこいい名前を考えていたそう。しかしオタク特有の逆張りによって「シンプルな方が逆にかっこいいのでは?」と考え、最終的には「鬼苺(きいちご)」というHNを採用する…。
■考え抜いたHNだが外で呼ばれるのは恥ずかしい…!
えるぽぴさんに、HNの話を描こうと思った理由を聞いてみた。
「前回、自作ホームページの話を描いていた時にHNのことも同時に思い出しました。なので2話目は絶対にこれにしよう!と決めておりました!」
ちなみに今回、「音ゲー」という共通の趣味で繋がり、イラストの交換や合作をするほど仲良くなった友人「鏡架」さんと、初めて会った日のことも描かれている。
ネットで知り合い意気投合した2人は、ゲーセンで遊んだりファミレスで絵を描いたりする約束をしていたそう。待ち焦がれていた当日、鏡架さんは母親とやってきた。そしてHNしか知らない鏡架さんの母に、「苺ちゃん」と呼ばれるぽぴさんだが、正直どんな気持ちだったのだろう。
「そんな女児みたいな可愛らしい名前で呼ばないで〜!と恥ずかしくなっていた記憶があります…」
次は外で呼ばれても恥ずかしくないHNにしようと決意したえるぽぴさん。その後どんなHNを使っていたのか聞いてみた。
「獄童蝣八(ごくどうゆうや)と、恋乃蝣八(こいのゆうや)です。他の名前は黒歴史の闇に消え去りました…………」
ちなみに個人サイト時代、オフ会をしたのはこの日が最初で最後だったそう。しかし趣味の合う友人と過ごす楽しさはかけがえのないものだったため、その後のSNSでは積極的にオフ会をすることに。鏡架さんへの思いを語ってくれた。
「ネットで知り合い、特に付き合いが深かったのは3年ほど(当時の感覚では悠久)でした。今も元気にしてたらいいなぁ」
同じような経験を持つ人にとっては叫び出したいほど恥ずかしく、平成のオタク文化を知らない世代にとっては新鮮に映るであろう、えるぽぴさんの黒歴史漫画。今後も闇に葬られし記憶の数々を描き下ろしてもらう予定なので、心待ちにしてほしい。
取材・文=石川知京