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シングルマザーが描く、自閉症と軽度知的障がいの息子の成長過程。不安だらけの日々を変えたのは…

  • 2021年11月27日
  • Walkerplus

自閉症で軽度知的障がいの1人息子の成長や発達について描いた漫画日記が、SNSを中心に大きな反響を呼んでいる。描いているのは、フリーランスのデザイナーと別職種のパートをしながら、趣味の延長としてイラストや漫画の発信を続けている、まるさん。

シングルマザーとしての苦労や発達障がいの息子の成長や国や自治体による支援、悩みや育児、療育(障害のある子どもが自立した生活を送れるように支援すること)にまつわる問題についてありのままに描かれたイラストや漫画に、共感の声が集まっている。今回は作品に込めた想い、そして日々の暮らしでの苦労や楽しみについて、まるさんに話を聞いた。

■ 「障がいってこういう事なんだ」と知ってもらえたら
――いつ頃からイラストや漫画を描かれていますか?

「デザイン科の学生だったのでイラストはずっと昔から描いていましたが、漫画をしっかりと描いたことはありませんでした。誰かがいると恥ずかしくて絵が描けないので、結婚していた時はあまり描いていませんでしたが、離婚したことを機に『ひとり親になったし、せっかくだから息子の成長記録でも描いてみるか。描くなら公開してみるか』という軽い気持ちで3年前くらいに始めました。SNSを始めたのもそのタイミングです」

――漫画を描き続けるようになって、苦労したことはありますか?

「漫画を描くことに関しては、好きで描いているのでそんなに苦労だと思ったことがありません。 小学生の時の夢が漫画家、学生の時の夢が絵本作家、20代前半の時の夢がイラストレーターだったので、今趣味の延長で漫画やイラストを見てもらえることが増えて、とても嬉しいし楽しく続けられています」

――イラストや漫画を描くにあたって、気をつけられていることは?

「発達障がいの息子の成長具合、支援、問題について気づいたことを描くようにしています。同じような子を育てている方との共感もそうですが、発達障がいの子を育てていない方にも『障がいってこういう事なんだ』、『こんな問題があるんだ』と少しでもわかってもらえたらいいなと思って」

――自閉症スペクトラムと軽度知的障がいについて、どういった症状があるのでしょうか?

「自閉症と軽度知的障がいについては、まだあまりちゃんと調べられてなくって…。私としては、一人一人特性が違うから比べようがないし、性格の違いくらいに感じています。息子が発達障がいだとわかった時は、『あらー、大変だこりゃ…』と茫然としましたが、とりあえず『発達障がい=療育へ行け!』という認識だけでここまで来ました。あとは福祉施設の方や保育園、療育の先生から発達外来へ行くことだったり、市の制度などを教えていただきながら背中を押してもらっています」

――特に、大変だなと思うことは?

「ひとり親なので、仕事も家事もしないといけないし、その上で子供とも遊ばないといけない…と全てが降りかかってくる事ですかね。ほんと、毎日バタバタです!『発語を促すために、たくさん話しかけて』とか『たくさんかまってあげて』とよく言われるのですが、1人だからどうしようもない時がたくさんあって。仕事から帰ってきて、夕飯も食べさせて片付けして明日の支度してお風呂入れて寝かしつけして…ってしていると全然構えないので、何より苦労しています」

――お子さまとの暮らしの中で、特に嬉しかったできごとは?

「なかなか発語が出なかった息子の口から、確実に私に向けて『ママー』と言った時です!それまでは、そっぽをむきながら『ママー』とか『ママママママ』と言ってて、『これは私に向けて言ってるのか?この子にとって私はなんなんだろう』と思ってましたが、『ついに!言ってくれた!』とものすごく嬉しかったのを覚えています」

■不安だらけの日々を変えたのは、息子の成長と読者からの共感の声
――ひとりひとりの発達の状態や障がい特性に応じて、支援する「療育」に通い始めた頃と、通い続けた今とで実感できた変化はありますか?

「通い始めた頃は、こんなに出来ないものなのか…とショックと不安だらけでした。出来ないというのは、リトミック(音楽を通じて体を動かすことで、子どもの表現力を育むこと)や親子体操に一切参加せずにフラフラ遊んだり、教室から出たがって泣いたり怒ったり、椅子に座って絵本を読む時間でも一切座れない…といったことです。息子を追いかけて終わるので、1日療育に行くと体力的にも精神的にもグッタリでした」

――想像していたより大変だったと。

「だけど、少しずつ不安だったことも気にならなくなりました。今もリトミックなどほぼ参加しませんし椅子にもあまり座っていてくれませんが、通い出した頃に比べると泣いたり怒ったりがなくなって楽しそうにしているのと、まだ長時間は無理ですが気まぐれでリトミックに参加したり、椅子に座ったりできることが増えてきているので息子の成長を感じられているからだと思います。そんな風にできないことより、できるようになったことを見つけて喜ぶことを大事にしています」

――療育についての漫画は、特に反響も大きいですね。

 「初めて療育に行ったことを描いた漫画は、ターニングポイントのひとつになっていますね。それまでは育児漫画を描くことにちょっと飽きてしまっていて、たまに気が向いた時にポツポツ描いてたくらいで…。療育に初めて行き、『療育ってこんなところなんだ…知らない人いるだろうな』『療育ってこんな感じだよ』っていう事を自分の記録の為に、そして私のように療育って何するところかわからない人の為にも描いてみようと描き始めました。そうしたら思ったより見てくれる人がいて、漫画を描くのがより楽しくなってきました」

――見てくれている人たちが、活動のモチベーションに。

「『共感する!』的な反応をたくさんいただけたりすると、自分だけじゃないんだと思えて嬉しくなります。ほかにも『イラストが好きです!』や『いつも見てます!』『書籍化しないかな!』といった声をいただくこともあって、もう嬉しすぎてニヤニヤしちゃいますね。何より私と同じような状況のママさんからの嬉しい言葉をいただけた時は、『描いててよかったー!』って思うことができます」
 
――まるさんと同じように、おひとりでの子育てや療育などで苦労されたり、悩まれたりされている方へにイラストや漫画を通して伝えたいことは?

「私は『息子が発達障がいかもしれない』と落ち込み、その後『知的障がいもあるかもしれない…』で2段階に落ち込み、自分自身も仕事の不安もあり、どうやって生きていこう…と悩みに悩んでいました。しかし私の場合は時間が解決しました。もちろんそれで解決しない人もいると思うので強くは言えませんが、1年前にはあれほど悩んでいたのに、いつの間にか息子の障がいを受け入れてのほほんと暮らしています」

――時間が解決してくれることもあると。

「それでも急に保育園の問題だったりが出てきて壁にぶち当たったりしますが…、時間が経てばどうにかなっていきました。しだいに慣れて、今では『まぁどうにかなるでしょ!息子かわいいし!』と吹っ切れていますから。なので、私の漫画やイラストを通して、『あるあるこんな事!』と笑ってもらったり、ひとり親や発達障がいの子供を育てる人たちに共感していただいて、悩んでるのは自分だけじゃないんだと思っていただけたら嬉しいです」

――最後に、今後の展望についてお聞かせください。

「発達障がいの息子の成長だったり、これから先悩む問題などまだまだたくさんあると思うので育児漫画は続けていきたいなと思っています。似たような環境で悩む人たちと、共感することでがんばれると思うので。あとは育児以外のイラストもたくさん描いていきたいですね!息子の好きな電車関係や私が描きたい動物イラストなど幅を広げていきたいです。最近は、息子のために仕掛け絵本を作っているのですが、忙しくて途中で止まっているので完成させたいです!」

取材・文=大西健斗

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