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相手は誰でもよかった?「無視しようって言われたから…」ある日、急にハブられた話

  • 2021年9月23日
  • Walkerplus

いつも一緒に遊んでいたメンバーから、ある日突然仲間外れにされてしまう…。そんな、小学生の頃の悲しい経験を描いた漫画「ある日、急にハブられた」を描いたのは、現在大学生のあんず(@anzushibalog)さん。「私、何かしたかな…?」と悩み、コロコロ変わる相手の態度に苦しんだ様子が多くの共感を集めた。今回は作者のあんずさんに、今になってこの話を描こうと思ったきっかけや、ハブり(仲間外れ)に対して思うことを聞いてみた。

■突然の無視のきっかけは、クラスの人気者のひと言だった
放課後は毎日仲良しの友達と遊んでいた、当時小学生のあんずさん。ある時、隣のクラスのAちゃんがあんずさんの近所に引っ越してきたことをきっかけに、4人で遊ぶようになった。それからしばらくして、いつの間にかあんずさんを待つことなくみんなが帰ってしまうように…。

ただ不思議なのは、もともと仲が良かった子たちは、放課後以外であれば普通に話してくれるということ。思い切って「なんで無視するの?」と聞くと、返ってきた答えは「Aちゃんが『あんずってウザくない?無視しよう』って言ってたから…」。でも、あなたたちも笑って楽しんでたよね?

それぞれが合わないなと思った相手と距離を置くのは、自分の心を“守る”ためにも仕方のないこと。ただ、それを周りに強要して集団で無視するのは“攻撃”で、いじめとなんら変わりない。ボス的な子だけが悪いのではなく、従った子がいたからこそ起きてしまった結果かもしれない。

このエピソードを描いたきっかけについて、「ある日部屋の中を整理していたら、小学校の時の卒業アルバムを見つけて。懐かしくて思い出に浸りながらページをめくっていたのですが、学生紹介のページを見たときにふとハブられたことを思い出したのがきっかけでした」と、あんずさん。

「卒業してから10年以上が経った今でもふと思い出すことがあるのに、ハブった当の本人たちはすっかりあの時のことを忘れているんだろうな…という気持ちになって。あの時のことを忘れないために、そして彼女たちが同じことを繰り返していないことを願いながら書きました」

■「ハブっている子にも、ハブられている子にもこの投稿が届けば…」と願う
特に印象的なのが、無視が終わった後のあんずさんの気持ちを描いた回。まるで何もなかったかのように笑顔で話しかけてくるAちゃんたちは、恐怖でしかない…。無視の相手は誰でもよかったのかもしれないが、されたこちらは心に深い傷を負うのだ。

投稿を始めてからというもの、たくさんの人から共感の声をもらったそう。ほぼ全てのコメントが「私も過去に経験した」「今まさに同じ状況です」と言った内容で、今も昔もハブりは存在するのだと悲しくなったという。

「この漫画では、私がハブられた1ヶ月間の出来事を描いているのですが、コメントの中には『数年間ハブりが続いた』という内容があり、特にそれは印象に残っています。たった1ヶ月でも辛かったのに、その方は数年間もこの状況を続けていたと思うと心が痛くなりました…。ハブっている子にも、ハブられている子にもこの投稿が届けばうれしいです」と、複雑な思いを語ってくれた。

■学校という狭い空間がすべてじゃない。自分のことを本当に見てくれる人といずれ出会える
ハブった本人たちは遊びのつもりかもしれないが、された側はとてつもなく長く感じ、いつまでも覚えているもの。大人になった今でも思い出してしまい、素直に人を信じるのが難しい…という人もいるかもしれない。「私でさえ、10年以上たった今でもあの時の嫌な気持ちを思い出します」と、あんずさん。

「学校という狭い空間が自分の全てだったからこそ辛く苦しい毎日でしたが、今はもう人をハブって楽しむような人とは疎遠です。私はあの時ずるずると卒業するまで付き合い続けてしまったけれど、無理にハブってくる人を好きになる必要はないと思います。自分のことを本当に見てくれる人にいずれきっと出会えるから、無理はしないで欲しいなと思います」

約1年半前から漫画を発信し始めたあんずさん。もともと絵を描くのが好きで始めたアカウントは現在4.6万人ものフォロワーに支えられている。「コメントやDMで共感や応援のコメントをいただいた時が一番うれしいです。フォロワーの皆さんのコメントが、私の絵を描くための気力になります。いつも支えてくださるフォロワーさんには感謝の言葉しかありません」と語る。

学校のみならず職場やママ友間などあらゆるコミュニティで起こる可能性があるハブり。標的を決めることで周囲と深く繋がろうとしたり、秘密をみんなで共有するようなワクワク感を楽しんでいるのかもしれない。

最後にあんずさんが読者へメッセージをくれた。「残念ながらハブることを完全に断ち切るのは難しいと思いますが、せめてハブることを躊躇できるよう、ハブられている人の勇気になるよう願いを込めて漫画を描きました。誰かの背中を押す漫画になれていたらうれしいです」。

取材・文=江口琴音

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