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Vol.13 大矢久雄さん
木は月を見て踊っている!

  • 2008年7月1日

新月伐採木のトレーサビリティも

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 NPO法人「新月の木国際協会」では、森林の成長サイクルより長く使える木材の確保、それは美しい森の再生。よい木を使って健康に満ちた生活、そして森林経済の活性化を目的に幅広い活動を展開しています。
 樹木は、それぞれの生育場所に対応した細胞ができあがります。木曾の檜、九州飫肥の杉など地域名産の銘木は沢山あります。地域に育った木は、その地域で利用することで地域社会の活性化と独特の地域文化を育みます。地産地消は森の木でも活かされ、山に還元されるサイクルを推進しています。

 新月伐採木の基準は、(1)冬期伐採(10月下弦の月〜翌年1月31日)…寒くなり水の吸い上げが弱く、成長が遅くなる時期。(2)新月期伐採(下弦〜新月)(3)葉枯らし(4ヶ月以上)…伐採して枝葉をつけたまま、山で枯らします。乾燥した冬風で葉から水分が抜けると同時に、腐れや虫食いの原因となるデンプン質が消費されます。

 「新月の木」を生産するにあたって、大切なのは「本当に新月に伐ったのか?」を証明することです。これは「現認者」と呼ばれる人たちが木一本一本について履歴を取る作業から始まります。こうした履歴は木に付けられたラベルによって管理され、製材・製品になった後まで履歴の追跡が可能になります。どこの山で採れた木なのか、どういった管理をされたのか、といった産地証明、生産証明を明確にし、家の柱がいつ伐られたか、どこのどんな木だったかがわかるのです。
 カビ・虫に侵されにくく、割れ、暴れ、くるいが出にくいなど実用性に富み、永年に渡り耐久性のある無垢材の入手が可能になれば、合成接着材による合板、集成材、パーチクルボードなど加工材への依存度が減り、やがて地球環境への負荷の低減や、シックハウス被害の根絶など、森林、木材、建築産業が抱えている問題解決に向けて大きく寄与できることになります。

 大矢さんのお話しを聞いていると、「新月の木」は、私たちが失ってしまった月のリズムを感じることを思い出させてくれます。自然界では人間だけがカレンダーや決められた時間感覚で生活しています。人間は自然時間を拒否した唯一の生物種だとも言えます。月のリズムが人間以外のすべての動物や植物に影響を与えているとすると、人間はまだまだ月のリズムから学ぶことがあるのではないかと考えさせられます。
 私たちは、この半世紀の間、科学技術や経済的な繁栄に目を奪われ、伝統的なものや、自然なものの良さを見られなくなったのかもしれません。


日本の文化は木の文化

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左が新月伐採の木で作ったお椀、右が満月伐採の木で作ったお椀
 今、世界的に森林が減少しており、大きな問題となっています。森林保護のためには木材を使わない方がよい、という声もありますが、そう言い切ってしまってよいのでしょうか?林野庁では「もっと木材を使いましょう!」と言っています。

 日本では、国産の木材があまり使われていません。日本の森林から利用される木材は、2割だといいます。実に8割が外国のものです。このため、手入れが行き届かないヒノキ、スギなどの人工林が増えています。間伐材など木材を有効利用することにより、「植える→育てる→収穫する」という森林のサイクルがうまく循環します。
 日本の森林は、住宅の柱など材料としての「良い木材」を得るために、人々が植えた「人工林」が4割程度を占めています。この人工林の木々はまだ比較的若くどんどん生長しているのですが、このような森林を手入れしないで放っておくと、木がぎゅうぎゅうに詰め込まれた状態となり、地面まで光が届かないために、幹も根も十分な成長ができなくなります。

 かつて日本には、木を使うことによって森林を保持してきた文化がありました。しかし、現在流通している国産材は、わずか40年程で伐採され、伐採時期も守られず、産地不詳のまま、石油エネルギーで強制乾燥させられたものが殆どです。こんな国産材で家造りをしても、森は守られず、地球温暖化を促進するばかりです。先人から受け継いだ良質な資源を出来るだけ無駄にしないで利用すること。地球環境にも優しい木材であること。それが『新月の木』に課せられた使命だと思います。



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