苦しみも人生のレッスン、死は「生きる」ことを見つめ直すきっかけです。「死ぬ瞬間」の著者、 ロス博士を記念する写真展が開かれた。 |
医師/ EKR Center, Japan Chapter 代表 堂園凉子さん |
今回の展覧会の題名となっている「第2 回 Ken Ross 写真展 / 長谷良樹氏と共に」の主役2 人のカメラマンのことを教えて下さい。
Ken Ross(ケン・ロス)氏は、エリザベス・キュープラー・ロス博士のご子息で、子どもの頃博士と ともに世界中あちこちまわっていたそうです。
そのため彼は、小さい時からずっと終末期を迎えた患者さんに囲まれて育って来たと言っても過言ではありません。やさしい気持ちは、その時に培われたのでしょうね。
現在も世界中を旅しており、50 歳までには101 カ国(現在83 カ国)を訪問することが目標だと言っています。
写真展では、作品を通して「人生とはありのままを生き、一瞬一瞬を大切に」と語りかけていますが、不思議と彼の作品は、一瞬の偶然によって表現された被写体が写し出されてしまうことがよくあるようです。
2006年版カレンダーとして制作した「Viewpoint I point of View」は、「グラフィックデザインUSA」のデザイン賞を受けました。彼自身「今年賞をもらうのは3つ目」と、はにかみながらも大変喜んでおりました。
長谷良樹氏は、サラリーマン生活を経験した後、人生の意義を求めてニューヨークに移り住み、それから写真家の道を選択した日本人の若者です。
今回の作品は、ニューヨークの施設に住む人たちのプロフィール写真ばかりですが、貧困と病気、社会的弱者として生きながら、心の奥にゆらめく生命のきらめきが美しく語りかけてきます。これからは拠点を日本に移すそうなので、活躍がますます楽しみです。応援よろしくお願いいたします。
展覧会には英題として[“Real Taste of Life, Part 2” What is your Happiness…]という名前がつけられていましたが。その意図は何でしょう?
昨今の風潮を見ると、余りにも生命軽視と申しますか、「親が子を、子が親を、あるいは袖振り合えば殺し合う」といった惨たらしい現実が目につきます。
「たった一度しかない人生」の意味やその重さを充分に考えて、「風のささやき」や「空の青さ」に幸せを感じる能力を、どうか取り戻して欲しい ! と心から思っております。
最後に、今後の活動のご予定をお聞かせ下さい。
来年開催を予定しております第3回写真展では、インドの少女たちの写真やNY・セントラルパーク内にある動物園で撮ったペンギンの写真をはじめ、Ken 氏が今年撮った作品も持ってきて下さるという約束をしてくれました。
また、エリザベス・キュープラー・ロス博士と交流のあった著名人50 人が、博士との思い出を綴った「Tea With Elisabeth」(原題)の日本語版も、来年の出版に向けて準備が進められています。日本からはEKR Center Japan Chapter代表を務めさせて頂いております私・堂園が執筆、日本語版のコーディネート役も務めております。宜しくお願いいたします。