家事や仕事をする際、ふと目に入る爪。その爪の様子で、現在や過去のからだの不調を把握できます。爪でわかるからだの不調や対策を、薬剤師の山形ゆかりさんに教えてもらいました。
爪の状態ごとに、考えられる不調を紹介します。
爪が硬くて表面がなめらかな爪は健康な爪です。
また、筋が入っていたり割れたりせず色が薄いピンク色であれば、爪から判断できるからだの不調はないといえるでしょう。
爪に縦筋が目立つ場合、ストレスや疲れがたまっていると考えられます。
あるいは、加齢によって爪が乾燥することで、縦筋が目立つ場合も。
爪の横筋が目立っているのは、栄養バランスや生活習慣の乱れが原因だと考えられます。
普段の生活習慣を見直してみましょう。
爪がもろく、頻繁に割れる場合、からだに必要な栄養が不足している可能性があります。
横筋が目立つ方と同じように、食事の栄養バランスを見直しましょう。
血行不良や貧血、爪の乾燥が原因で爪が割れることもあります。
爪を横から見たときに反っている場合、貧血の可能性が高いと考えられます。
貧血は月経が原因のものだけではなく、子宮筋腫や胃潰瘍などの病気が原因の可能性もあります。
普段から貧血の症状が気になる方は、早めに病院を受診しましょう。
自分の爪を見ることで、からだの不調に気付くこともあるでしょう。
ここでは、不調に合わせたおすすめの対策をそれぞれ紹介します。
現代の日本の食生活では、食物繊維、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足しがちだといわれています。
普段の献立を見直して、こうした栄養素が不足していないかチェックしましょう。
栄養バランスを整えるためには、主食、主菜、副菜を1日2回以上食べるのがおすすめです。
コンビニやスーパーで惣菜を購入する場合は、栄養成分表示も参考にしながら選びましょう。
血行不良は、冷えや運動不足、水分不足が原因であることが多いといわれています。
からだを温めるために、湯船でじっくり温まったり、運動でからだを動かしたりしましょう。
運動によって筋肉が血液を送り出す働きをするため、血行不良の改善が期待できます。
とくに、階段の上り下りやスクワットでふくらはぎを鍛えるといいでしょう。
水分不足は、血液の濃度や粘度を高め、血行不良の原因となります。
起床後や、入浴や運動の前後、就寝前などに意識して水分を摂ってください。
ストレスや過労がたまっている方は、睡眠時間を確保しましょう。
睡眠によって疲れが解消するのはもちろん、脳を休めることでストレス解消効果も期待できます。
なかなか眠れないという方は、寝る前の習慣を見直してみてください。
就寝の2時間前にはスマホやパソコンから距離を置いたり、38度前後のぬるめのお湯に入ったりして、寝る準備をしましょう。
寝室にアロマを焚いたり、寝具を変えたりしてリラックスできる環境を整えることも大切ですよ。
爪の状態を見てからだの不調に気付いた場合、生活習慣や食生活の改善、寝る前の習慣の見直しによって不調が改善する可能性があります。
ただし、急に日々の生活を改善するのはなかなか難しいことも…。
そのような場合は、飲むだけでからだの内側からの不調改善が期待できる漢方薬の服用もおすすめ。
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):栄養を補って血行を改善し、からだの隅々まで栄養を届けることで、手足の冷えなどに効果を発揮します。
・四物湯(しもつとう):血行を改善し、栄養を届けます。乾燥肌も改善します。
・抑肝散(よくかんさん):イライラやストレスで眠れない方の精神の高ぶりを鎮め、不眠症を改善します。
このような漢方薬の服用でからだとこころのバランスを整えることで、現在の不調を改善するだけではなく、不調にならないからだを目指すことも期待できます。
監修/薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター 山形ゆかりさん