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「EuP指令」 詳細解説

読み:
いーゆーぴーしれい
英名:
Directive on Eco-Design of Energy-using Products

EuP指令は、EU(欧州委員会)が策定した、エネルギーを使う製品の設計段階で環境配慮を求める指令だ。2005年に発効した。エコデザイン指令と呼ばれることもある。「EuP」は""Energy using Products""の略。EUは、製品のライフサイクルの全段階での環境負荷を最小化することを目指す「包括的製品政策」(IPP)という政策を取っている。また、2012年までの「第6次環境行動計画」では、天然資源の持続可能な利用や廃棄物の発生抑制とリサイクルなどを進めるとしている。EuP指令はこうした政策や、地球温暖化への対応の必要性などを背景として生まれた。

EuP指令は、対象製品が設計される時点、すなわちデザインの段階で環境に配慮する環境配慮設計を事業者に求めることにより、原料の採掘から生産、使用、廃棄に至る製品のライフサイクル全体での環境性能向上を目指す。枠組み指令のため具体的な要求事項などは明示されず、エネルギーを使う製品ごとに「実施措置」が決められる。製品の生産者は、環境マネジメントシステムなどの手順を経て実施措置の要求事項を満たす。そして「適合宣言」を行って「CEマーキング」を添付する。CEマーキングは、EU地域で販売される指定製品への貼付が義務づけられる安全マークだ。また、いわゆるセットメーカーだけではライフサイクル全般の評価を行うことは難しいため、個別製品を供給するサプライヤーにも、セットメーカーの要望に応じて環境情報を提供することが求められる。

対象製品はエネルギーを直接使う最終製品で、テレビやコンピューターなどの電気電子機器や、ボイラーといった石油などのエネルギーを使う製品も含まれる。また、指令中でEU規格を指定して、それらの規格を満たすことを求める「ニューアプローチ方式」という手法を導入している。EU域内で流通する製品の安全性と品質に関する基準や規制を統一するための仕組みだ。さらに、EuP指令は、廃電気・電子機器の3R推進が目的のWEEE指令や、電気・電子機器の有害物質使用を制限するRoHS指令など、EUのほかの指令と補完関係にある。対象製品はEuP指令とRoHS指令の両方による要求を満さなければならない。

EUは、実施措置などの具体的な規制内容を2009年初頭から策定する方針で、製品ごとに調査や検討が行われている。一方、当初案では、指令対象製品は全製品による環境影響の3分の1ほどしかカバーしていなかった。このためEUでは、エネルギーを直接に使う製品だけではなく、使用中にエネルギーの消費に影響を及ぼす関連製品も対象にすることを視野に入れて、EuP指令改正の作業を進めている。また、日本でも、家電メーカーなど製造業を中心としてEuP指令に対応する動きが盛んになりつつある。

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