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「森林セラピー」 詳細解説

読み:
しんりんせらぴー
英名:
Forest Therapy

森林や、森林を取り巻く環境などを活用して、健康の回復や維持、増進などを図る取り組み。森林浴などのレクリエーション活動や、医療、リハビリテーション、カウンセリング活動などさまざまな種類がある。森林がもつ「癒し」の効果については、これまでも「森林浴」などとして感覚的に親しまれてきた。この効果を科学的に解明し、こころと身体の健康に活かすのが森林セラピーだ。ストレスが大きな問題になっている中、一歩踏み込んだ癒しの試みとして注目されている。

森林セラピーの考えを取り入れた事例としては、ドイツのカトリック司祭である、セバスチャン・クナイプ(1821〜1897)が提唱した自然療法がある。水療法、薬草療法、運動療法、食事療法、規則正しい生活などを柱としていて、クナイプ療法と呼ばれる。日本では2004年3月、森林セラピー研究会が発足した。産・官・学が連携し、森林のもつ癒し効果の科学的解明や活用方法の研究などが進められている。この研究会の成果を踏まえ、具体的な森林のフィールドでの実践を普及することを目的として「森林セラピー実行委員会」が創設された。実行委員会では、森林セラピーの取り組みを日本で普及させ、また、豊かな森づくり、継続・発展性のある山村社会づくりを推進するため、「セラピーロード」や「森林セラピー基地」の認定を行っている。

セラピーロード(ウォーキングロード)は、フィールド実験に基づき、専門家による科学的効果の検証の上で認定される散策路。20分間ほど歩行できる長さの散策路を原単位(1ユニット)とし、地形や風景などをもとに、それらを組み合わせた複合的な散策路が地域ごとに用意される。主に緩い傾斜で構成されており、一般の歩道よりも広い道幅で、歩きやすさを考慮するなどの配慮がされたコースを中心に選定されている。ストレスを軽減させるなどのリラックス効果や、血圧を下げる・脳の働きを鎮静化させるといったデータが実証されている。

また、森林セラピー基地には、さまざまな森林セラピープログラムが用意され、森林ウォーキングのほか、健康増進やリラックスを目的としたいろいろな健康増進プログラムを楽しむことができる。森林セラピー基地は、中心となる「セラピーフィールド」と、その森林セラピー基地の特色を活かすことができる「セラピーの森」で構成される。森林セラピー基地は、次の場合に認定される。1) 専門家によってリラックス効果が森林医学の面から実証されている、2) 自然環境や関連施設などが一定水準で整備され、より快適に森林セラピーを受けることのできる環境が整っている場合。大きく次の3タイプが想定されている。1) 一定頻度での継続的な利用を想定した近郊タイプ、2) 近郊の都市部や遠隔地からの来訪者の日帰りや1泊などの短期滞在を想定した郊外タイプ、3) 遠隔地からの来訪者の中長期滞在を想定したもので、保養地環境などが整えられた森林保養地タイプ。

2007年4月には、「森林浴発祥の地」(長野県上松町)など6カ所が森林セラピー基地に、「天狗高原自然休養林」など4カ所がセラピーロード(ウオーキングロード)として認定された。癒し効果の検証などの実験結果に加えて、宿泊施設、アクセス、将来構想などの条件も加味して総合的に評価が行われた。その後も認定場所は増え、2008年1月現在、全国24カ所の森が「森林セラピー基地」「森林セラピーロード」として認定され、森林セラピーの拠点が広がっている。

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