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「少子高齢化」 詳細解説

読み:
しょうしこうれいか

日本の人口は、明治時代に人口調査が行われるようになって以来、増え続けてきた。1872年に3480万人であった人口は、2006年10月現在で1億2777万人だ。しかし、2005年の時点で前年比2万人の減少となっており、戦後初めてマイナスに転じている。そして、最近になってこの人口構成に「少子高齢」という問題が起きている。日本は、18歳未満の子どもの数が65歳以上の高齢者よりも少なくなった少子社会であると同時に、高齢化率が7%を超えた「高齢化社会」となり、さらに、1994年には、高齢化率が14%を超えた「高齢社会」に突入した。老年人口(65歳以上)は、2006年10月現在、過去最高の2660万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は20.8%となっている。一方、年少人口(0〜14歳)は、出生数の減少により、第2次世界大戦後は減少傾向が続き、1997年には、老年人口よりも少なくなっている。

1990年に出生率が1.57となって最低記録を更新し、「1.57ショック」という言葉が社会現象となるなど、1990年代に入って少子化現象が世間の注目を集めるようになった。少子化の原因は複合的な要素によっているが、結婚や子育てだけが人生ではないという結婚観、価値観の変化、仕事と結婚・子育てを両立させられる社会制度が未整備であること、サービス業の伸長によって女性の働ける職種、業界が増えたこと、高学歴化によって女性が社会に進出し晩婚化が進んだことなどがあげられる。また、経済成長の停滞による雇用情勢の悪化や、若者の就業意欲の減退などによって、結婚適齢期を迎える年齢層が経済的に不安定であることなども要因と考えられている。

こうした背景から、少子化が進み、人口増にブレーキがかかるのと同時に、医療の高度化によって平均寿命が延びたことが、高齢化をもたらしている。少子高齢化が進行すると、若年労働力が不足し社会の活力が低下する、医療保険を支える年齢層の減少によって医療保障制度が崩壊する、総体的人口の減少による地域社会の停滞など、さまざまな問題が発生する。2008年に始まった後期高齢者医療制度をめぐる社会の混乱も、こうした問題のひとつだ。

政府は、少子高齢化への対策を1995年度から本格的にスタートさせ、子どもを産み、育てやすい環境を整備しようと、「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(エンゼルプラン)」を策定し、低年齢児の受け入れ保育所の倍増、延長・休日保育の整備、学童クラブの普及など、働く親を支援する政策を進めた。1999年度には新たな5カ年計画の「新エンゼルプラン」が策定され、延長保育所や地域子育て支援センターの目標数の増加、勤めながら子育てができるように職場優先の企業風土を改善させるなどの政策が盛り込まれた。さらに、2004年、政府は新たに「少子化社会対策大綱」を策定し、若者の自立、男性が育児休業を取得しやすいよう普及啓発に力点を置いた政策に取り組んでいる。しかし、こうした制度や政策が十分に機能せず、「子どもを産んで育てたい」という人の共感を得るには至っておらず、効果を発揮しているとはいいがたい。

一方、高齢社会に対しては、政府は1995年に「高齢社会基本法」を施行。また、雇用、年金、福祉、教育、社会参加などで高齢者が生きやすい社会を創造することをうたい、政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針である高齢社会対策大綱を策定した。2001年には大綱の見直しが行われ、人口規模の大きい団塊の世代(1947〜1949年生)が高齢期を迎える社会を見据え、多様なライフスタイルを可能にする高齢期の自立支援や、世代間の連携強化などを含む新しい大綱が閣議決定されている。

環境問題と少子高齢化の関係については、環境悪化の要因が主に経済活動の拡大であったことから、一般的には人口減少は資源消費の減少をもたらし、生産・消費パターンを変え、環境負荷を減らす効果があると考えられがちだ。しかし、生産性の低下によって、環境投資の減少や技術開発力の低下、さらには、過去の環境汚染を回復するための資金が不足することも考えられる。

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