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「地域のカーボンレジストリ」 詳細解説

読み:
ちいきのかーぼんれじすとり
英名:
Carbonn Cities Climate Registry

地球温暖化問題に解決への道筋をつけるには、国や企業だけでなく、市民にもっとも近い行政組織である地方自治体による取り組みが欠かせない。日本でも全国各地の自治体がさまざまな温暖化対策を実施しているが、その対策の進捗状況や効果に関する本格的な検証は進んでいないのが現状だ。こうした状況を踏まえて、全国の主要な自治体による地球温暖化対策について調査を行い、調査結果を分析するとともにデータベース化し、公表するプロジェクトが「地域のカーボンレジストリ」事業だ。

地域のカーボンレジストリを実施する上で、基本となる考え方がMRVだ。MRVは「算定・報告・検証可能である」を意味する英語の「Measurable、Reportable、Verifiable」の頭文字を取った言葉で、2010年のCOP16では、MRVの重要性が話し合われた。これを受けて、世界70カ国を超える約1200の自治体が加盟する連合組織のイクレイが、世界中の自治体が共通のフォーマットに温室効果ガス排出量や削減目標、取り組みなどを報告できるようにする標準化作業を進めている。日本では、イクレイ日本が2011年に地域のカーボンレジストリ事業を立ち上げて、地域レベルでのMRVの推進に着手した。

こうして始まった地域のカーボンレジストリ事業は、各自治体と、専門家などから成るアドバイザリ委員会を実施主体として進められている。とくに年次調査は、国際版レジストリに対応するとともに、日本の実情に合った項目を加えて、国際版への統合や国内外での公表を視野に入れて行われている。イクレイ日本が2012年3月に公表した調査報告書によると、主な調査内容として、自治体の属性と特徴、温室効果ガスの削減目標と計画、インベントリ(事務事業及び区域全体)、排出量削減事業、適応事業などに加えて、今夏の節電に向けた取り組みが項目となっている。調査対象は、都道府県、政令指定都市、中核市、特例市、23区、環境モデル都市などの地方自治体だ。

このように地域のカーボンレジストリを構築していくことにより、地域レベルでのMRVの仕組みづくりが軌道に乗る。また、調査結果は、ウェブサイト上にデータベースとして掲載され、国際会議やセミナーを通じて国内外に紹介される。これにより、わが国の環境先進都市による取り組みを世界へと発信でき、自治体間での情報やノウハウの共有と連携の促進にも役立つ。

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