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「ミツバチ」 詳細解説

読み:
みつばち
英名:
Honey Bee

ミツバチは、花粉と花のみつだけで生活するハチの総称で、世界に2万種類ほどいる。花のみつを吸う時に前肢の毛に付いた花粉が、後肢や腹部にある「花粉かご」に集まって巣へと運ばれる。この行動を利用して、はちみつやみつろう、ローヤルゼリーなどをとるためにミツバチを飼う産業が「養蜂(ようほう)」だ。ミツバチはまた、花粉の媒介によって農作物の受粉を行うため、イチゴやメロン、スイカなどを育てるたくさんの園芸農家がその恩恵を受けている。国は「養ほう振興法(注:法律原文が一部ひらがな)」という法律に基づき、養蜂業に必要な補助金の交付や、みつを出す植物の保護などを行っている。

養蜂に用いられるミツバチは西洋種のセイヨウミツバチがほとんどだ。大きさは15mmほどで、黒い体に褐色の毛が生え、腹部に黄色い毛が生えている。セイヨウミツバチは山間部の草原などに多く生息し、日本中で飼育されている。甘い花のみつを見つけると「8の字ダンス」という独特な飛び方でほかの働き蜂に知らせ、集まって蜜を吸う。最近では、東京・銀座にあるビルの屋上でセイヨウミツバチを育て、みつを集めたり商品化したりする取り組みが話題を呼んでいる。また、わずかだがニホンミツバチによる伝統的な養蜂を行う農家や個人養蜂家もいる。

しかし、農業の省力化などに大きく貢献してきた花粉交配用のミツバチが大量死して不足する状況が、ここ数年続いている。ミツバチが大量死する原因として次の3つが考えられている。1) 2007年以降、女王蜂の輸入が途絶えていること、2)寄生ダニによる被害の増加、3) 農薬の使用。また、米国ではミツバチが大量に失踪する現象が各地で起きて社会問題となっている。農林水産省が2009年4月に公表した調査結果によると、花粉交配用ミツバチの減少が21都道府県で確認され、そのうち16都道府県で生産コストの増加が報告されている。

花粉交配用ミツバチの不足が続くと、受粉をミツバチに頼ってきた全国の園芸農家などでの生産効率が落ち、農作物価格が高騰する可能性もある。手作業による花粉交配には大変な手間と時間がかかるためで、地域によっては10アール(1000m2)あたり生産コストが2000円も上がる。農水省はミツバチ不足に悩む園芸農家を支援するため、2009年4月に花粉交配用ミツバチの需給調整システムを立ち上げた。各都道府県の園芸担当部署と畜産担当部署が連携して、園芸農家と養蜂農家の間で花粉交配用のミツバチを融通する仕組みを構築しようというものだ。

ミツバチ不足解消のために、クロマルハナバチの導入などの代替技術が検討されている。一方、アルゼンチンから女王蜂を輸入する案もあるが、同国のミツバチの中にはアフリカから移入された気性の荒い種がいるため、慎重を期すべきだという意見がある。

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