サイト内
ウェブ

「CIGS太陽電池」 詳細解説

読み:
しーあいじーえすたいようでんち
英名:
CIGS Solar Cells

シリコンや化合物などの原材料を用いて、基盤上に薄い膜状にして生成する太陽電池のことを「薄膜太陽電池」という。このうち、シリコンの代わりに銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)の4元素を使ったものが「CIGS太陽電池」だ。光を吸収する層の厚さが2マイクロメートルほどしかないにもかかわらず、高い発電能力を発揮する。また、ガラスや金属薄膜など安価な基板を利用するため、エネルギー変換効率の高さと低コストを両立した太陽電池として期待されている。

太陽電池市場におけるシェアをみると、今のところシリコンを用いた「第1世代」と呼ばれる結晶系が8割近くを占める。しかし、薄膜太陽電池などの「第2世代」の技術開発が進み、変換効率の向上はめざましいものがある。2013年には、(独法)産業技術総合研究所がサブモジュールとして初めて変換効率18%を上回るCIGS太陽電池の開発に成功した。また、東芝は新構造の採用により、変換効率20%を超えるCIGS太陽電池を開発した。

一方、銅、インジウム、セレンの3元素からつくる薄膜太陽電池を「CIS太陽電池」、テルル化カドミウム(CdTe)を使うものを「CdTe太陽電池」という。前者のCIS太陽電池については、ソーラーフロンティアが2014年、変換効率20.9%という世界最高水準のものの開発に成功し、製品化を目指している。後者のCdTe太陽電池は欧米などで利用されている。最近では、インジウムを含まない「CuGaSe2太陽電池」や、「CZTS太陽電池」の研究も進められている。

メガソーラーなどの太陽光パネルについて、特定の条件下でモジュールに高電圧がかかって、出力が大幅に低下する「PID」という現象が確認されている。同様の現象は、CIGS太陽電池についても起こる可能性がある。その対策として、産総研は2014年、高分子材料を用いることでPIDに対する耐性をもつCIGS太陽電池モジュールを開発した。CIGS太陽電池をメガソーラーなどに利用することを可能にする技術として注目だ。

CIGS太陽電池はその薄さを生かして、自在に曲げられるフレキシブルの太陽電池への応用が期待されている。すでに欧州のメーカーが、フレキシブルCIGS太陽電池モジュールの変換効率を高め、製造を始めている。しかし、価格競争時代に突入した太陽電池市場は浮き沈みが激しく、国内外で主要メーカーが破産したり、廃業したりする例が相次いでいる。CIGS太陽電池など第2世代の太陽電池の普及を図っていくためには、メーカーによる製品開発を後押しする国などによる支援が必要な状況であることに変わりはない。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。