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「国際エネルギー機関(IEA)」 詳細解説

読み:
こくさいえねるぎーきかんIEA
英名:
International Energy Agency

第4次中東戦争の勃発を機に、産油国側の石油輸出国機構(OPEC)が引き起こした1973年の第1次石油危機は、英米の石油メジャーをはじめとする世界の国々に大きな危機感を与えた。OPECを中心とするカルテルに対抗するため、第1次石油危機が終了した1974年に米国の提唱によって石油消費国が会議を開き、経済協力開発機構(OECD)枠内の自律機関として、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)を設置した。IEAの事務局はパリに置かれ、全参加国の代表から構成される理事会が最高機関として意思決定を行う。2007年からは田中伸男氏が事務局長を務める。また、わが国がIEAに出資する分担金の割合は米国に次いで2番目となっている。

IEAに参加するには、OECD加盟国であり、かつ「前年における1日あたりの石油純輸入量の90日分」という備蓄基準を満たすことが求められる。2010年7月現在の加盟国は、米国、英国、豪州、日本など28カ国だ。その設立経緯からもわかるように、IEAの目的は加盟国における石油などのエネルギー安全保障を確保することだ。また、中長期的に安定し、持続可能なエネルギーの需給構造を確立することも目指す。これらの目的のために、石油の供給が途絶えるなど緊急時の対応策を整備したり、石油への依存を低減するための省エネルギーや代替エネルギーの開発・利用を推進したりしている。

石油供給のほとんどすべてを海外に依存している日本は、石油の供給が途絶した際などにIEAの緊急時石油融通システムに頼るところが大きい。このシステムは、IEA設立時に加盟国が合意した「国際エネルギー計画(IEP)」に基づく。たとえば、1990年の湾岸危機の時には加盟国が協調して石油の備蓄を取り崩して対応した結果、消費国側の経済に及ぼす影響を軽減することができた。また、2003年のイラク戦争の際にもIEAは石油市場の安定化に貢献した。このように、IEAはわが国のエネルギー安全保障上、大変に重要な役割をもつ。

IEAは2年に1度ほどの間隔で閣僚理事会を開催しており、2009年10月にパリで開催された第22回閣僚理事会では、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入など地球温暖化問題への対応が主要議題となった。IEAは、2050年に世界全体の二酸化炭素(CO2)の排出量を半減するという「450ppmシナリオ」を提示しており、その実現のために国際省エネルギー協力パートナーシップ(IPEEC)の活用などを進めていくこととなった。同理事会にはまた、新興国との連携強化を図るため、加盟国ではない中国やインド、ロシアの代表が招待された。

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