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「石油輸出国機構(OPEC)」 詳細解説

読み:
せきゆゆしゅつこくきこう
英名:
Organization of the Petroleum Exporting Countries

石油輸出国機構(OPEC:Organization of the Petroleum Exporting Countries)は、1960年9月14日、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5カ国により設立された。主な目的は次のとおり。1) 加盟国の石油政策の調整と一元化。加盟国の利益を個別、全体的に守るための最良の手段の決定、2) 国際石油市場における価格の安定を確保するための手段を講じる、3) 生産国の利益のための着実な収入の確保、消費国に対する石油の効率的、経済的かつ安定的な供給、そして石油産業における投資に対する公正な資本の見返りの確保。

OPECが設立された背景には、世界の原油生産が本格化した1860年代以降、市場を独占していた国際石油資本(メジャー)と呼ばれる欧米の石油系大企業(現エクソンモービルやBPなど)の存在がある。1950年代になって中東や旧ソ連で油田開発が進み、供給過剰の状態が続いて原油価格が急落すると、メジャーは1959年2月と1960年8月の2度にわたり、一方的に中東原油価格の引き下げを行った。このようなメジャーに対して共同行動をとることなどを目的として設立されたのがOPECである。

OPEC本部はオーストリアのウィーンにあり、2008年2月現在の加盟国は、設立時の5カ国に、カタール、インドネシア、リビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドルを加えた12カ国。総会、理事会、事務局の3つの機関があるほか、閣僚監視委員会、経済委員会、協議会などがある。加盟要件は、加盟国と基本的利害を同じくすること、相当量の原油純輸出国であること、原加盟国のすべてを含む加盟国の4分の3の賛同すること、である。毎年2回の定例総会、また、必要に応じて開く臨時総会や緊急会合において原油の生産体制を全会一致で決定する。

OPECの原油価格の支配力は、1970年代の第1次、第2次石油危機で強まったが、アラスカなどOPECに加盟していない地域での原油生産量の増加や、天然ガスや原子力などの石油代替エネルギーの開発、先進諸国の石油備蓄の拡大などが進んだことにより、OPECへの依存度は次第に低下した。しかしその後、中国をはじめとする新興国の急速な経済成長により、世界的に原油需要が拡大する中でOPECの存在感が再び高まっている。OPECは現在、世界の原油の約45%、国際的に取引される石油の約55%を産出している。OPECは生産調整を行うことで価格への影響力を行使してきたが、2007年夏から米国を発端に世界に広がった「サブプライムローン」問題(低所得者向け住宅融資)の影響で投機資金が原油先物市場に流れ込むようになったため、OPECの生産調整による価格への影響力が低下しているとの見方もある。

OPECは、環境問題に関しては、とくに温暖化対策を話し合う国際会議の場などで後ろ向きの姿勢を取ることが多かった。しかし、環境問題への国際的な関心が高まる中、2007年11月、リヤドで開催されたOPEC首脳会議において、エネルギー生産者として環境対策を重視する方針を盛り込んだ「リヤド宣言」を採択した。また、2007年12月にバリで開催された気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)では、「OPECは地球温暖化問題で、負担が公平な解決策を見いだす責任を負っている」と表明している。OPECにおける環境政策などは、調査局内のエネルギー研究部が担当している。

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