
その転校生の肩には“怨霊”が乗っていた――。よくある普通の高校、平凡な新学期、そしてお約束の転校生登場…と、いつもと変わらない日常の始まりだった、いや、そのはずだった。しかし現れた転校生は恐ろしいほどの透明感を持つ儚げな美人で、その華奢な肩にはとてつもなく恐ろしい形相をした“怨霊”が乗っていたのだった!
いつもと変わらない日常のはずだったのに…! / 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
転校生の肩に乗っている怨霊は、上半身血まみれで、胴より下の下半身がない。制服を着た女子高生の怨霊だ。ほかの生徒たちには見えていないが、主人公の螢は“この世ならざる者たち”の姿が見える体質だった。「足のない女子高生の怪異っていったらひとつ有名なのがあるけど…」と螢が考えていたとき、事件は突然起こった!!
透明感ある美人の肩に、ドロドロと不穏で不気味な怪異が…!!光と闇がひとコマに収められた印象的なワンシーン / 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
本作の著者は、漫画家の三ノ輪ブン子(@minowabunko)さんである。ホラー漫画や都市伝説系の漫画を得意とする三ノ輪ブン子さんに本作について話を聞いてみた。
その怪異は、主人公の螢にしか見えていないようだった / 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
――透明感ある登場人物たちの“目”が魅力でした。また光と影の対照的な描き方もすてきで、モノクロページなのに、各ページが色づいて見えました。どのようなことを意識して描かれていますか?
ありがとうございます!この作品を載せていたのが海外の漫画アプリだったことから、普段より絵を細かくしっかり描くことを意識しました。海外の方は緻密な絵を好む方が多い気がします。そして百合作品なのでなによりも女の子を魅力的に描こうとしたら、自然と目を細かく丁寧に描くようになりました。
――都市伝説の“テケテケ”が元となっている今作。私も中学生のころにとても怖がっていた記憶があります。三ノ輪さんの地元でもこの都市伝説を聞いたことはありましたか?
私が住んでいた地域では聞いたことはないのですが、時代的に先にテレビなどで紹介されてそれを子どもたちの間で話題にする、という感じでした。都市伝説を調べているとテレビよりも口伝えで広がっていく時代があって、それは子どもにとっては本当か嘘か曖昧ですごくワクワクしただろうなと羨ましい気持ちになります。
“テケテケ”という名は、追いかけてくるときの「テケテケテケ…」という音が由来だとか! / 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
一般的には“テケテケ”という名で知れ渡っている妖怪であるが、地域によっては“パタパタ”と呼ばれることも。また“テケテケ”とは逆で、下半身しかない妖怪のことを“トコトコ”と呼んで伝承されている地域もあるらしい。“テケテケ”の発祥は北海道だとか、沖縄だとか所説あり、その出所はさまざま。都市伝説とはいえども、元となったと考えられる本当にあった事件などもあり、それらを調べると、ただの怪談と笑い飛ばせず、背筋に寒いものを感じる。今日の帰り道は、後ろから足音がしないか、その音は“テケテケ”という音ではないか、耳を澄ましながら気を付けて帰宅しよう。
取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)
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