「私には中2から高1までの記憶がない…」家族の不幸に無意識に追い詰められ、それにより発覚した「躁うつ病」との日々【作者に聞く】

  • 2024年10月13日
  • Walkerplus

「中学校2年生から高校1年生までのはっきりした記憶がない」そう語ったのは、書評ライターや連句人として俳句や文芸情報をX(旧Twitter)で発信をしている高松霞さん(@kasumi_tkmt)。家族の不幸に無意識に追い詰められていた日々と、それにより発覚した躁うつ病との日々を綴ってもらい、その心情にぴったりな俳句とともにコミカライズ。

作画は、自らのことを「霊感のようなものがある人間」と紹介する漫画家・桜田洋さん(@sakurada_you)が担当。その柔らかで心に染み入る絵のタッチと、鮮やかな色づかいが魅力だ。

今回は「自分は弟とは違って間に合った人間なのだ」と語る、高松さんが日本から逃げ出すようにして行ったマレーシアでの記憶と、飛行機で日本に戻るまでのシーンをお送りする。高松さん自身の俳句もあるので必見。]



■「なんもない」けど日本にはない多様さを感じたマレーシアの素晴らしさ

コロナ禍直前に、マレーシア旅行へ行った高松霞さん。マレーシアの雰囲気を肌で感じ、「難民、移民差別、外国人留学生、さまざまな問題を抱えながら、その不可思議さ、生きづらさは、躁うつ病患者というある種のマイノリティにとっての生きづらさとも似ているのではないか……」と思ったそうだ。「日本にはない多様さ、それが日常になっている素晴らしさがある」と語った。

1つ目の俳句「とつくにの……」は俳句の友人が出している『虎の夜食』という句集から選んだそうだ。外国のことを詠んだという俳句には「うとうとしちゃうシーンにぴったり」と語る。

2つ目の俳句「地図になき……」は高松さん自身のものだ。これから日本へ帰る自分と重ね合わせ、亡き弟の魂の行く先は、地図にないどこかだろうという意味が込められている。高松さんは「地図にない島はきっとまだあって、そこに着くことができたら、失った人ともまた違った関係性で会えるのかもしれません」と語った。

作品中で「私は間に合った人間」という部分が印象的な、マレーシアから日本に帰る飛行機での思いについて尋ねた。「機内で小さくアナウンスされる『テイクオフ』の一言がとても好きだ」と語る高松さんは「後戻りできない、このまま空を抜けて、その土地に向かわなくてはならない。冒頭で『逃げるように』と書きましたが、逃げるように生き延びたという実感があります」と語る。

緩やかに心に染み入る俳句が織りなす情景や、人とは違う視点で眺めた世界をゆっくりと感じてみてほしい。


取材協力:高松霞(@kasumi_tkmt)

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