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“動く実物大ガンダム”で、富野由悠季監督が子ども達に伝えたかったこととは?「大人たちが実現できなかった課題を想像し、“解決策”を考え出してほしい」

  • 2024年4月4日
  • Walkerplus

実物大ガンダム(高さ18メートル)の起動実験を間近で楽しめる体感型施設として、横浜・山下ふ頭にて期間限定で展開してきた「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」(略称:GFY)。約3年3カ月にわたって実施され、175万人ものガンダムファンが来場した同プロジェクトが2024年3月31日をもって営業終了となり、同日にはこれに合わせて特別イベント「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA GRAND FINALE ~To the New Stage~」が行われた。

当日は、「機動戦士ガンダム」の生みの親である富野由悠季監督からのあいさつの後、最後の起動実験がスタートし、ガンダムの動きに合わせて上空では打ち上げ花火や、約1000機のドローンによるオリジナルドローンアートショーなどを披露。各作品の楽曲とともに「機動戦士ガンダム」からは“ラストシューティング”やアムロとシャアの決闘シーン、「機動戦士ガンダムSEED」からはフリーダムガンダムがハイマットフルバーストを放つシーンなど、印象的な場面が次々に再現され、会場は大盛り上がりとなった。

そんななか、当会場に設置されていた富野監督からのメッセージボードの内容にSNSユーザーが反応。この「見に来てくださってありがとう」「ごめんなさいと言わせてください」と題された“子どもたち”へのメッセージボードをSNSでアップした、あでのいさん(@adenoi_today)のX(旧Twitter)の投稿は245万インプレッション、2.5万いいね(4月3日現在)の万バズとなっている。そこで、あでのいさんに富野監督のメッセージを読んだ率直な感想を聞いてみた。


■富野監督・メッセージボードの概要(一部抜粋)

<見に来てくださってありがとう>

今日、実物大のガンダムを見に来てくださって、「あれ、歩かないのか、つまんないな」と思った君には、心からごめんなさい、とあやまります。

本当は、この大きさで歩くガンダムを造りたかったのですが、おじさんたちができることは、ここで見られる以上には動かせなかったのです。

<ごめんなさいと言わせてください>

二本足で歩かせることができなかったので、悔しいと思っています。ですから、君たちにお願いしたいことがあります。もっと乗り物として動かしたいと思う人は、このガンダムを見上げて、解決しなければならない問題がいっぱいあるのだ、という想像をして、その解決策を考え出してほしいのです。

でも、今回、ここまでしか動けないガンダムですが、建設に関係したスタッフはみんなで、造って良かったと思っています。なぜなら、これだけの大きさの人の形が、ゆっくりしか動けないのですが、そのゆっくりさがとても似合っていて、やさしいなぁ、と感じているのです。本当は、アニメのように早く動くとか、スポーツ選手のように格好良く動いて欲しかったのですが、それだけでない"優しいガンダム"を見上げられることができて、ちょっと幸せな気持ちになっています。

これは、造ってみるまでは、誰も想像できなかったことなのですが、それはそれで、楽しいことだと思っていますので、楽しんで下さいとお願いします。本当に、今日は、見に来てくださって、ありがとうございます。

機動戦士ガンダム・原作者 
富野由悠季でした。
2020年12月19日

■見て見ぬふりをしていた“大人の妥協心”を富野監督に抉られた

あでのいさんは「今回のグランドフィナーレ以前にも見てはいましたが、ライトアップされていて神秘性が感じられました」とコメント。

メッセージの内容については、鑑賞側の人間として見て見ぬふりをしていた所を“富野監督に抉られ”ドキッとしたのだという。「このサイズのものが歩くわけがない、という“現実世界の限界”を感じながらも、『まあしょうがないよね』と大人の物分かりの良さで見て見ぬふりをしていましたが、それを富野監督から『しょうがなくねえだろ!』と突きつけられた訳ですから」と、その理由を語った。

「自分が無意識的に目を背けていた部分を直視させられて感動した」と話すあでのいさん。一方Xでは、子どもに対して「解決策を考え出してほしい」というメッセージを送っている所に感動した、という内容の反響が多かったのだそう。

「富野監督は、子ども達へのメッセージだからこそ“本音”で、“本気”で言わなくちゃいけないという考えなんだと思います。だから「歩かせるフリしか出来なかったんだ!ごめん!」というメッセージになる。そして、僕たちみたいなオッサンは逆に“無意識の賢しい妥協心”を自覚させられる訳です(笑)」(あでのいさん)

■富野監督の熱い想いが伝播

前述のとおり、このメッセージボードを読んで「考えさせられた」と語る人は多く、Xには「この文章に『子どもを馬鹿にしない』『子どもを舐めてはいけない』という富野イズムが詰まっていますね」という声や、「今は出来なかった悔しさと それを誤魔化さず丁寧に伝えて、『次の君たち』に託す」「最初の一歩だと、皆が知っている。ここから、始まりなんだと。だから、"君たちにお願い" なのよ」といった、富野監督の想いを汲んだ熱いコメントが散見された。

(C)創通・サンライズ

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