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妻は「私ばっかり!」ワンオペ家事・育児に限界!夫は家庭で疎外感「優しくしてほしい」夫婦間で感じる不公平を解消するには?【著者に聞く】

  • 2024年3月29日
  • Walkerplus

ワンオペ育児で不眠続きのある日、イラストレーター・コミックエッセイストのハラユキ(@yukky_kk)さんは、子どもを自転車に乗せたまま転倒してしまった。ケガはなかったもののワンオペ育児の「限界」を感じた瞬間だった。このままではダメだ…と一転。「家族全員がストレスなく過ごすにはどうしたらいいか?」夫に「どうしてほしいのか」話し合いをした。妻は終わらない家事と育児に「私ばっかり!」と不平不満をこぼし、夫は疎外感を感じ「家に帰るとつかれる」という。そんな夫婦のあるある環境を変える手助けをしてくれる一冊、ハラユキさんの「ほしいのは『つかれない家族』」を紹介するとともにインタビューを行った。


■つかれない家族とは「家事育児の分担」「ストレスのたまらないコミュケーション」

日本では「女性が家事や育児を担い、男性が仕事をする」という暗黙の役割分担がある。たとえ共働きでも、片方に家事・育児の比重がかかるような構造上の問題を抱えている。妻は「家事や育児にもっと参加してほしい」と言い、夫は帰宅すると妻がイライラしていて家庭での居場所がなく「もっと優しくしてほしい」と言う。このような愚痴に近い家庭のゴタゴタを描いた書籍は多くあるが、どうすればよりよい家庭になるかを考え、実践に移す人たちは少ないのではないだろうか。


ハラユキさんの夫は、長時間労働で会社に泊まることも多く、育児については他人事だった。当初からワンオペ家事・育児は覚悟していたものの、脱いだ靴下も片付けない夫にストレスが溜まっていった。そんなとき、子どもを自転車に乗せたまま転倒。幸いケガには至らなかったもののワンオペの「限界」を感じたという。

仕事一辺倒の夫と話し合いを決行。腹を割って話してみると、夫は「妻がいつも怒っている」「フォローしようとしても取り付くシマもない」「基本冷たい」「居場所がない」「全て子どもの話」「ずっと授乳服」「ずっと産後太り」と、本音を漏らした。

お互い見えている世界が違いすぎる!ことに気づき、2人でコミュニケーションをとりながら、家事・育児を分担していく方法を模索。本書では、海外移住をきっかけにさまざまな夫婦を取材し、暮らしやすい方法を取り入れた事例やコツを紹介している。

■主語を一人称にせず「私たちは」「うちは」「わが家は」で話す。解決法も一方的に決めない

――出産を境に夫婦関係が変わるというのはよく聞く話ですが、家庭環境を改善しようと試みたことがすごいことだと思いました。まずは、そこに至るまでの経緯を簡単に教えてください。

夫が多忙なので、もともとワンオペ育児になることはある程度覚悟していたんですが、実際に出産すると、夫が育児に対してあまりに人ごと感が強かったんです。私や子どもが体調を崩してもそれがあまり変わらない。これは想像を超えてるなと、イライラが増えてケンカも増えました。でも周りのママもワンオペが多かったので「しょうがないのかな‥」と何度もあきらめかけました。あきらめるほうがある意味、楽なんですよね。でも、子どものためにはあきらめるのはよくない、と頑張って思い直したんです。それは、漫画に描いたように、私が睡眠不足で子どもを乗せた自転車を倒してしまったのもひとつのきっかけでした。育児をする人がつかれすぎてるって、子どもにとってはリスクだと気づいたんです。

――「話し合う」ということがとても難しいと思うのですが、夫婦で話し合うことにつかれたりはしませんでしたか?

問題解決のために冷静に話し合うのって、本当に難しいし、つかれますよね。話し合いがケンカになってしまったり、かえってモヤモヤやイライラが増えたり、そんなことは何度もありました。「つかれては話し合いをあきらめる」を繰り返していました。でも、コミュニケーションをあきらめないといけない相手とずっと一緒に暮らすのもイヤだったんです。パートナーをあきらめたくなかった。別れるか問題を解決するかのどちらかだと思っていた気がします。

――お互いがちょうどいいと思える暮らし方を模索&実践してみて、よかったことはどんな点ですか?

国内外の多様な家族、特に「子どもがいても仲良さそうに見えるカップル」「家事育児分担に満足してそうなカップル」を多く取材してきたのですが、彼らがやっていることの中から、うちに合いそうなものを真似して取り入れてきました。たとえば、食洗機とかロボット掃除機とかホットクックとか、「時短家電」を取り入れたりですね。家事の負担が減ったのは本当によかったです。あと、夫婦で定期的にデートしたり、とか。久々なので最初はかなり落ち着かなかったのですが「会話が足りなかったのが揉める原因のひとつだったんだ」と、わかったのはよかったです。

――育児にも家庭にも非協力的な夫を変える、これが一番大変だと思うのですが、相手にわかってもらうために大変だったこと・大事なことなどポイントがあればお聞かせください。

非協力的な人は当事者意識がないんですよね。まずは「自分も育児の当事者なんだ」という当たり前の事実に気づいてもらうことが大事です。でも、これがけっこう難しい。パートナーに当事者意識を持ってもらうためには、主語の工夫をするのもひとつの手です。「私が」「あなたが」という一人称主語で話さず、なるべく「私たちは」「うちは」「わが家は」という主語で話すんです。解決法も、一方的に決めつけず、相手にも意見を求めてみる。そもそも、ワンオペ育児で片方が疲弊してたら、子どもの育児環境としてもリスクが高いですよね。片方だけの問題じゃない、家庭の問題なんです。こんなふうに、普段の会話のちょっとした言い回しでも、当事者意識をじわじわ育てることはできます。

――国内外の多様な家族を取材をしてみて、ハラユキさんはどう思いましたか?

家事育児への考え方や、パートナーへのコミュニケーションの方法、時短家電やサービス、そういう情報を知れたのもよかったのですが、一番よかったのは、うまくいっているように見えるカップルも、たいていは険悪だったり揉めた時期もあるとわかったことです。そういうのを乗り越えて、お互いにすり合わせをして、努力をして、今の形になってるんですよね。「うちだけじゃなくて、みんな苦労してるんだね」は、私と夫のある意味、なぐさめになりました。

――たくさんの方が育児・家事のワンオペ、非協力的なパートナーとの家族関係に悩んでいると思います。本作を通して伝えたいことがあればお願いします。

私は「パートナーとうまくやる方法」をたくさん紹介していますが、パートナーが完全に非協力的で、話もできずモラハラがひどいなどの場合は、別れてしまったほうがいいと思ってるんです。相手によっては、別れることが、つかれない家族を手にいれることにつながることもある。でも、そこまででもない、まだパートナーをあきらめたくない、という場合は、どうしてもダメなら別れる覚悟で、いろんな方法を試してみるといいと思うんです。

覚悟って大事なんですよ。覚悟のあるなしで、パートナーに伝わる力もかなり変わるので。その際には、ぜひ私の本や連載を参考にしてみてください。ビジネスサイトでの連載なので、男性にも共感できる視点で描いています。なので、さりげなくこの本を家に置いておくのもひとつの手ですよ(笑)。どんな形に進むにしろ、家庭の幸せをあきらめないでと伝えたいです。

日本、フランス、スウェーデン、アイスランド、オランダなどいろんな国籍、いろんな形の家族に話を聞き、世界共通の「つかれない家族」の暮らし方と考え方を紹介している。「うちの家庭でも」取り入れたいアイデアが詰まった実用書だ。

取材協力:ハラユキ(@yukky_kk)

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