
子育てに疲れ果てたある日推し活に“沼落ち”し、「コミケに参加したい!」という思いから同人イベントに合わせた託児所「にじいろポッケ(@nijiiropokke)」を開設した四辻さつきさん。そんな四辻さんの託児所設立までの経緯をコミカライズした「同人イベントに行きたすぎて託児所を作りました」が話題を集めている。今回、四辻さつきさん本人に託児所設立の経緯などを語ってもらった。
■「同じことで困っている人がこんなにいるんだ!と思ったのがきっかけでした」
にじいろポッケは、パパやママの自分の時間を大切にし、リフレッシュできる時間のお手伝いをしてくれるの託児サービス。東京ビックサイトなどで大きなイベントが開催される際、日時に合わせてアクセスのよい場所でプロのスタッフが子供を預かってくれる。イベント参加者だけでなく、会場を訪れたいママたちも活用できるありがたいサービスだ。
この画期的なシステムを生み出した経緯について、四辻さんは「第二子妊娠中に初めて同人活動にハマって、同人イベントに行きたいと思ったとき、子供一人のときは夫に預けられたのですが、子供二人になって、下の子(新生児)と上の子(二歳児)を二人とも夫に預けるのはお互い不安で。
結局、下の子はお姑さんに預かってもらったんですが、私一人が一日出かけるためだけに、大人二人の予定を調整しないといけなくて、ハラハラしたり気を遣ったりするのがすごく理不尽に感じたんです。そんな思いをX(当時Twitter)で投げかけたら、たくさん反響があって、同じことで困っている人がこんなにいるんだ!と思ったのがきっかけでした」と、開設に至る思いを明かす。
実際に運営を始めるまでに苦労したことを尋ねると、「場所、託児スタッフ、資金とどれも大変でしたが、一番はやはり『資金』です。初めは、ベビーシッターは高いし、困った人が集まってお金を出し合えば、安くて便利になるはず!と思って始めましたが、なかなか思うように人が集まらず…。自分一人ならベビーシッターを雇ったほうがずっと安くて楽だったし、企業が参入してないのも、ひとえに『儲からないから』だったんだな…と、後から気づきました。
でも、そんな『素人考え』だったからこそ始められたことだし、結果的にたくさんの人に応援してもらってここまでこられたので『結果オーライ!』と今は思っています」と、当事者として「実現させたい」という思いがあったからこそ成し遂げられたと振り返った。
そんな自身の体験を四辻さんは小説にしたため、「Web小説短編賞2021」へ投稿。見事優勝しコミカライズされることとなった。漫画については、「コミックエッセイとしては異色の利用者目線を入れるなど、『漫画』としておもしろいものになるよう意識しました。にじいろポッケを利用する方はもちろん、直接関わりのない人にもエンタメとして楽しんでもらえたらうれしいです」と告白。実際に子育ての当事者でなくとも楽しめる作品となっている。
最後に四辻さんは、「子供も大切、自分の心が自分らしくあることも大切です。日常の育児や生活をがんばっているのはとっても素晴らしくえらいことなので、ぜひ非日常のイベントを思いっきり楽しんでほしいです!お子様もその日一日同じくらい楽しく過ごせるよう、全力でサポートしたいと思っています。私もまだまだ子育て奮闘中ですが、お互い無理せずがんばりましょう!」と、子育て中のママさんたちへメッセージを寄せた。
取材協力:四辻さつき