
――無趣味で無気力な干物女の私ですが…「ゆる登山」にハマって抜け出せなくなりました。
平凡な毎日を送っていたのに、ある日突然「登山」に目覚め、ゼロから「山登り」を勉強!「山女子」として活動する日常をかわいいイラストにして発信しているイラストレーター兼漫画家のありを(@arichon_official)さん。
ウォーカープラスでは、「ゼロから山女子はじめてみました」と題し、ありをさんが「山女子」として日常を送る実録漫画と、登山に興味がある方必読の「山登り知識コラム」を全編描きおろしでお届けします。
体力がなくても!友達が居なくても!大丈夫。この漫画を読めば山登りの知識も魅力も全部マルっとわかるはず!ゆるーく「山登り」はじめてみませんか?
――いろんな所へのアクセスを考えて愛知を選択したということですが、実際に暮らしてみても愛知のアクセスのよさは感じていますか?
とても感じてます!車があれば、三重・静岡・岐阜・長野・石川県などいろんな県に行って日帰り登山ができます。愛知に来たての頃は「こんなにたくさんの県へ車で行けるの!?」と驚いたものです…。車がない方でも愛知は交通の便がよく、移動はとても便利だと感じます。
――全国お山マップ、どの山も魅力たっぷりで目移りしてしまいます。ありをさんのおすすめのお山を教えてください。
本州からだと気軽に行ける距離ではないですが、大雪山系の山々が私にとって特別であり、超おすすめです。といっても、私はトムラウシ山・旭岳・十勝岳〜美瑛岳しか行ったことがなく大雪山のほんの一部を歩いただけですが、本当に美しい場所なので人生で一度は足を運んでほしいなぁと思います。
本州の山のように、トイレや売店など設備が整っている訳ではありません。整備された山しか歩いたことがない方はびっくりされるかもしれません。でもだからこそ、雄大な大自然を体験させてもらうことができて、それが北海道の山登りの醍醐味だと感じました。今日まで大切に守られている貴重な大自然、あの地に立てたことは私にとって大切な経験であり、尊いことです。ぜひ皆さんにも、あの幸せを味わってほしいです。
――山登りに出会えて一番よかったことは何ですか?詳しく教えてください。
山登りをしているうちに、自分が”よい方向”に変われたことでしょうか。以前の私は、「何かいいことないかなー」と幸せに対して受け身で、また他責な所がありました。そのため、幸せを感じる能力が低かったなあと思います。
今は、自らが行動したり考え方を変えることで、生き方をより楽しいほうに変えられることを理解しています。そう思えるようになったのは、山登りで得たさまざまな経験からだと強く思います。
【苦労したからこそ味わえた最高の景色】【1から準備や計画をして無事下山できた山行】【山登り中に繰り返す自分との対話】【山で感じる不便が、日常のありがたみを教えていくれたこと】【自然の厳しさが自分の無力・弱さを教えてくれたこと】【山で出会った生き生きとした人たち】【憧れを叶えていく喜び】など、これらの経験が私を変えてくれたのだと思います。
さらに山登りに出会えて、やりたいことに挑戦できる元気な身体を持っていることや美しい山がある国に生まれたことにも感謝できるようになりました。山登りを通してすてきな人たちとのご縁も多くありました。うまくまとめられなくて申し訳ありませんが、山登りは私にとって生き方を変えた最高の趣味なんです。
――今回が最終回となります。今まで連載を読んでくださった読者の皆様にメッセージをお願いいたします。
今日まで漫画を読んでくださり本当にありがとうございました!皆さんが読んでくださったおかげで、この話は本になることが決定しました。夢のようです。
ウォーカープラスさんからこのWEB連載のお話をいただいたとき、山の魅力が伝わるようなエッセイ漫画にしよう!と思ったものの、構成の段階からとても悩んでおりました。山登りの経験者ならわかっていただけると思うのですが、山登りを人に勧めるというのはなかなか慎重になるところでして…。ましてや私は趣味レベルの弱小ハイカー。もし無責任に漫画で山を勧めて、その人が事故に遭ったりなんてしたら…そう思うと頭を抱えて悩みに悩みました。
でも、私が山登りを始めたきっかけは【漫画】でした。
その漫画を通して山登りに憧れ、たくさんの失敗を重ねながら今日まで死なずに山を楽しむことができています(運よく)。なので、私も誰かの山登りのきっかけになれるような漫画を描きたいと願い、6年前のお山デビューの時の話を描かせていただきました。
さらに、備えの大切さを知ってもらえるようにリアルな失敗を入れつつ、知識はコラムで添えさせていただきました(難しかった!)。
13話に出てきた私の父は、当時は知りませんでしたが山登りを経験していたそうです。当然、父は山の危険も知っていたと思いますが、一人で山登りを始めようとする私を止めませんでした。あ、でも雪山だけは止められました。
やりたいことを悔いなくやるよう言ってくれました。そんな父はもうこの世にはいませんが、あの時父が背中を押してくれたことは今でも感謝しています。父は還暦まで生きることができませんでしたが、生前「やりたいことをやってきたから後悔はない」と話していました。
私も父のように今後もやりたいことをやっていこうと思います。そして、この漫画を見てくれた方が悔いなく一歩を踏み出せるよう応援したいと、おこがましくも思っています。
WEB漫画はここまでになりますが、書籍のほうには愛知に行ってからの山登りの話がたくさん詰まっています。むしろここからが本番(笑)!よければお手に取って読んでくださるとうれしいです!!では、本当にありがとうございました!
取材・文=濱田瑠奈