
大学生の頃に漫画を描き始めた乃田ユウキ(@nd___yk)さんは、X(旧Twitter)を中心に漫画を公開している。2024年1月にはくらげバンチにて「かわいそうな私たち」が掲載。かわいくて勉強もできる藤島さんはクラスでも人気者!けれど、外見だけで幸せ者だと勝手に判断されてしまい、本当の幸せについて考え始めていく青春物語だ。本作が誕生した理由や裏話などについて、乃田ユウキさんにインタビューした。
――本作が誕生したきっかけについて、お聞かせください。
自分のことを「かわいそう」と認めてあげるのが難しい時代だなと感じ、その息苦しさを漫画にしました。SNSが普及して、自分より恵まれている人、恵まれていない人の生活が見えるようになって、自分の幸せ度の偏差値がわかりやすくなったと思うんです。そんな中で、例えばとっても悲しいことがあったときに、「今とっても悲しい気持ちだ。今の自分はかわいそうだ」と自分を自分で慰めてあげるのは、真面目な人ほど難しいことなんじゃないかなと思い、この漫画を描きました。
――美少女の藤島さんと写真部の松崎さんは見た目や性格も違いますが、2人のモデルはいるのでしょうか?
います。2人とも、私の友達がモデルです。ある友達は、悩み相談の中で「でもこんな悩み、ほかの人に比べれば大したことないから」と笑顔で言い、ある友達は、ときには周りの目を気にしながらも「これが私がしたいことだから」と自分の信じる道を突き進んでおり、この2人をモデルに藤島さんと松崎さんのキャラクターを考えました。
――高校生の心理が絶妙に表現されていますね。藤島さんがミスコンの参加を断らなかったのは、本人も「出場したい」という意思があったということでしょうか?
「出場したい」という意思はなかったと思います。藤島さんは周りの期待や視線を無意識に考えて行動する癖がついているので、出場しなかったときに周りからどんな風に思われるかを考えたうえで、最終的に出場したんではないでしょうか。
――幸せにはさまざまな形があると思います。乃田ユウキさん自身は、どんなときに幸せを感じますか?
家族、恋人、友達など大事な人と一緒にいるとき、漫画を描いているとき、自分の目標を達成したときです。今はどれもできているので、幸せです。
――最後に、今後はどのような作品を描かれる予定ですか?
生きづらさの中で一生懸命生きる人たちを描きたいです。今まではどんな作品を描きたいかわからず手探りで描いていたんですが、担当さんや読者の皆さまのおかげで、最近は描きたいことが見つかってきた気がしています。これからどんどん挑戦して、ばんばん失敗して、それでも少しずつ前進できるように全力で頑張ります!
学生時代はイケメンやかわいい子はもてはやされることが多い。本作を読んでいると、青春時代の気持ちが蘇ってくるようだ。そのほか、乃田ユウキさんは「人魚は帰らない」という読み切り漫画も公開している。興味があればぜひ読んでほしい!
取材協力:乃田ユウキ(@nd___yk)