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【同僚め!】陰口を言うなら撃つぞ!物体をレコードに変える不思議なピストルで「人間」を…!?人の善悪の両面を描く【作者に聞く】

  • 2024年1月23日
  • Walkerplus

ある日、少年が不思議なピストルを拾った。木に向けて撃ってみると、光が出て、物がレコードに変わった。石、掃除機、突っ張り棒、さまざまな物をレコードに変化させ、音を聞くことができる。はじめは楽しいおもちゃだったのに「人間をレコードにしてみたら?」そんなネガティブな面が生まれて――。猪原秀陽(@inoharahideharu)さんの創作漫画『不思議なピストル』を紹介するとともに着想や制作秘話を聞いた。

■物体の“音”を聞くことができる!?不思議なピストルの謎
少年が公園に行くと、ピストルが落ちていた。なんだろうと思って試しに木を撃ってみると、木がレコードになった。石を撃ってみると、石のレコードになった。

「音を聞くことができるのかも」少年はたくさんのレコードを集めて、おじさんの所に向かった。レコードを聞くと物のイメージに似た音が流れて、とてもおもしろい。

不思議なピストルは、2人をとてもすてきな世界へ誘った。しかし、少年はふと「人間をレコードにしたら、どんな音がするんだろう」と、冗談では済まされないようなことを口にしてしまい――?

■人間を撃ってみたら?楽しいおもちゃの裏側に、人間の善悪が見え隠れする
作者の猪原さんは、自身が漫画を描くだけでなく、インデーズレーベルの雑誌「COMIC IN THE HOLE」の編集も務める。新刊vol.3では、横山裕一、斎藤潤一郎、津村根央、ワカヤマダリヲなどの作家が参加。今回は、本作のシュールな世界観について話を聞いた。

――発想がとてもおもしろかったです。まず、不思議なピストルが生まれたきっかけを教えてください。

音楽を漫画で表現するときに「どんな曲かを言葉で具体的に説明せず、読者に想像させるような表現をしてみたい」と思ったのが始まりだったと思います。一方で、別のものを通して「変換」や「翻訳」するというようなことに興味を持っていて、その延長で物が音楽に変換・翻訳されたらどんな曲になるだろうか?という感じでストーリーを作り始めました。

――本作を制作するうえで、こだわったところがあれば教えてください。

「昭和を愛する現代の人」というおじさんの人物像にこだわって描きました。

――どんな物も使う人を選ぶ深い心理が描かれていました。「考えさせられる作品」とコメントにもありましたが、伝えたいことが伝わったでしょうか?

人間誰しもネガティブな部分や悪い部分を持っているということを、自分的には肯定的に描いたつもりです。きっと同じようなことを感じている方がたくさんいるのだと思います。それが漫画を通して伝わったのだとしたらとてもうれしいです。

――レコードになった人はどんな音楽だったのか?知りたい人もいましたが、これについて作者から何かありますか?

作品は素晴らしいのに作者の素行がひどかったりすることも多々あるので、たぶんすごくいい曲なのではないかと思います。

――個人的な疑問なんですが、宇宙人はあれをどのように使っていたのでしょうか?

誰かに突っ込まれたら、答えようと思って考えていた裏設定があります(笑)。宇宙人たちは、長年地球を調査・研究していて、地球上のありとあらゆる物を収集している。音や空気の振動の技術を進歩させてきた種族で、地球の音楽はけっこう好き。物質をもっと効率よくコンパクトにデータ化する技術を持っているが、地球のレコード文化に愛着を持っており、遊び心でレコードを模して地球の物をアーカイブ化している。宇宙人たちはレコードの音楽を聞いて、その物の情報を読み取る。地球人もその音楽を聞いて、なんとなく感覚的にその物をイメージできる――というような感じです。

――そのほかにどのような漫画を描いていますか?

少し前まで『We're バッド・アニマルズ』というワルを自称する動物キャラクターの漫画を描いていました。最近は人間の漫画を描いているのですが描いている内容はそんなに変わっていなくて、人間のどうしようもない部分だったり、善と悪の問題など簡単に割り切れないことをテーマとして描いています。

少年が忘れて行った不思議なピストルをおじさんはカバンに入れた。職場で自分の文句ばかり言い、「早く辞めればいいのに」と陰口をたたく同僚の声を聞いて、思わず頭にきたおじさんは、背後から不思議なピストルを向けて――。

取材協力:猪原秀陽(@inoharahideharu)

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