【ホラー漫画】適当に「いらない」と答えた質問、その全文は「御身体要りますか」…「落差がすごい」と注目呼ぶホラー&コメディ【作者に訊く】

  • 2023年11月12日
  • Walkerplus

スマホにかまけて、ビラ配りをはじめ道行く人の声かけを聞きもせず「いらない」とあしらっていた男性。けれど、不穏な「…いりますか?」という問いにも「いらないから」と答えてしまったことが仇となり――。
不用意な反応がよからぬものを招いてしまうのはホラーの常道。そんな恐怖展開と予想外のオチを描いた短編漫画に、X(旧Twitter)上で1.7万件の「いいね」とともに「怖いけど怖くない」「ホラー&コミカルの落差がすごい」と反響が集まっている。

同作は、ネブクロ(@nebukuro41)さんがくらげバンチ(新潮社)で連載する漫画「訳アリ心霊マンション」(※単行本第2巻は2023年5月9日発売)の一篇。エピソードの紹介とともに、作者のネブクロさんに作品制作の舞台裏を訊いた。


■不用意な回答で怪異に見入られた男性…直球ホラーを「リクルート」でぶち壊す!?
今回騒動に巻き込まれるのは、社会人の男性「高橋」。彼はつい歩きスマホをしてしまう癖があり、街中で声をかけられても「いらないいらない」と無視して画面に夢中になっていた。

その中に、「××××いりマすか?」と、前半が聞き取れない問いかけをする女性の声があった。その内容を確認もせずやはり「そういうの全部いらないから」と取り合わずに過ぎていく高橋。だがそれが彼にとっての落とし穴だった。

帰宅後、隣人のバイクの音が気に障り、どんな人間なのか確認しようとインターホンの画面をオンにした高橋。カメラは隣人の姿とともに、高橋の玄関前で微動だにしない女性の姿を映していた。

その女性は、明らかに人ならざる異形で、「昼間のご回答アりがとうございマす」と告げる。彼女は高橋に「いりマすか?」と声をかけた主で、その問いの全文は「御身体いりマすか?」。女性は「いらない」と答えた高橋の身体を取りにやってきたのだ。

逃げ場もなく追い込まれ、恐怖にかられる高橋だったが、インターホン越しに、異形に対して「オバケみ~っけ」と金髪の女性が話しかけ始めたのに気付く。

金髪女性は、自身がオーナーのマンションに、幽霊でいいから入居者を探している大家。「健康的な御肉を切り裂きたいノです」と答える異形に動揺する様子もなく、住んでくれるなら「フレッシュなミートを切り刻める場所」を教えてもいいと交渉する。

その誘いに異形が乗り、蚊帳の外になる形で助かった高橋。そして異形はその後、精肉店で“新鮮な食肉を切り刻む”仕事に就いたのだった。

■「好きなときに好きに読んで」注目WEB漫画の“間口の広さ”
同エピソードは「訳アリ心霊マンション」第二十二話にあたるエピソード。同作は主人公のマンションオーナー「東雲薫(しののめかおり)」が、心霊現象で敬遠されるマンションにお化けや霊を住まわせようと“入居者”探しに奔走する物語で、シリアスな展開を交えつつも、本格的なホラーシチュエーションを薫の斜め上な行動で笑いに変えてしまう展開が大きな魅力となっている。

WEB漫画No.1を決める投票イベント「WEBマンガ総選挙2023」で、応募総数2万5000件以上の中から最終候補50作の一つに選ばれ、主催のpixivによる中間発表では上位5作品にランクインするなど注目を集める「訳アリ心霊マンション」。作者のネブクロさんに話を訊くと、同作の着想はツッコミたくなる怪談話の矛盾にあったそうで、「『気絶して目が覚めたら運よく霊が消えていた』とか『意地でも危険区域の説明をしない老人』とか、自分がホラー物を描くなら他との差別化も含めてそういった点を突いていこう」というところからスタートしていると言う。

もともとは個人制作で描きSNS上で反響を集めていた作品で、その後第17回「くらツイ漫画賞」の大賞を受賞し、連続するストーリーを描く作品として再スタート。連載版ではタイトルに“訳アリ”とあるように、物件だけでなく住人それぞれの抱える“訳”を、ギャグで流さずに丁寧に描こうと物語性を強めている。

作中人物の闇を感じさせるような展開も散りばめられる一方、ギャグとホラーの絶妙な掛け合わせが本作の大きなポイントであることは変わらず、「『訳アリ心霊マンション』“ホラー漫画”じゃなく、“コメディ漫画”でもない。その2つがミックスして成り立つホラーコメディです」と、ホラーコメディという位置づけからブレないよう、常に意識しながら作品を描いているという。

「目指すところは読みやすさ。今後とも好きなときに好きに読んでって」と、今回のエピソードのように途中からでも作品の入り口となるような一話完結の話も多い同作。来年2024年1月には単行本第3巻の発売も予定されており、ネブクロさんは「これからも先の読めない展開が続きます、どうぞお楽しみに」と読者へメッセージを寄せた。

取材協力:ネブクロ / くらげバンチ(新潮社)

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