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「逆恨みされるかも」「周囲が助けてくれなかったら…」血の気の多い女子高生が痴漢を捕まえられなかった話【作者に聞く】

  • 2023年12月9日
  • Walkerplus

痴漢抑止活動センターのアンケート調査によると、痴漢被害にあったときに通報したケースはわずか3パーセントだという。今回は、誰にも相談できず泣き寝入りが多いといわれる性犯罪「痴漢」の被害エピソードを描いた、志水恵美(@shimizoon)さんの「痴漢を捕まえられなかった話」を紹介する。

■車内では「助けてください!」と言いにくい…
作者である志水さんが高校生だったころ、路面電車に乗っていたら、後ろからそっと男の手が伸びてきた。「痴漢だ!」と確信した志水さんは、空手部員だったこともあり、痴漢と戦って駅員に突き出すことを決意する。しつこく触ってくる手との攻防を繰り返しながら、駅員のいる電停に着くまでの間、「逆ギレして暴力を振るわれたら」「周囲の人は助けてくれるのか」「恥ずかしい…」とさまざまな思いがよぎる。結局、車内で声を上げる勇気が出ず、痴漢を取り逃がしてしまう――。

■走行中に被害に遭ったら「110番」や「非常ボタン」でSOSを出して
志水さんは、痴漢被害者が「助けてください!」と言えるような社会にしたいとの思いで、一般社団法人 痴漢抑止活動センターでデザイナーとしてプロボノ(※専門知識を生かしたボランティア活動のこと)をやっている。そして、この活動は本作品を描くきっかけにもなった。

「痴漢問題やジェンダー問題を少し勉強できた今こそ、あの体験を過不足なく伝えられるんじゃないか?というか、描くなら『今だぞ!!』と思いました」

当時、痴漢にあったときは、家族や知人に話したり、警察に行ったりもできなかったと語る。

「時間が経っていて情報がない、証拠がない、本当にブサイクだったので痴漢被害者だと信じてもらえないと思った、届出の見通しが立たないのでとにかく警察が怖かった、などの理由から友人にも言えませんでした。作中にあるように『逃した私のせいで誰かが被害にあう』と思っていたので、罪の告白をする勇気はありませんでした」

逆に今の自分であればどのように対応するかを聞いてみると、「職員がたくさんいる『交通局前』電停で腕を掴んで『痴漢です』と言います」ときっぱり。現在は、なんと車内から110番通報ができるという。

「Zoomイベントで運転手さんにお話を伺ったのですが、走行中に被害に遭ったら『110番』もしくは車内の『非常ボタン』を押してくれて構わない、という心強い言葉をいただきました。非常ボタンを押すのは正直怖いと思いますが、痴漢や急病人の停車なら緊急停車しても2分程度。それで電車運行が遅れると言うことは、ほぼないそうです(犯人がゴネたり逃げ回ったら遅れますが)」

そもそも痴漢にあわないために、どのような対策があるのかを伺った。

「痴漢抑止活動センターでは、つけるだけで痴漢にあわなくなるツール『痴漢抑止バッジ』を無料配布しています。 『「学生に知ってほしい痴漢の真実」』 のページにも具体的な対策をまとめています。学生に対策を委ねるのではなく、私たち大人が『痴漢という犯罪を許さない!』という空気を作っていくことが急務だと思います。包括的性教育にも期待しています」

一般社団法人 痴漢抑止活動センターでは、受験生を痴漢から守る「#共通テスト痴漢撲滅」プロジェクトのメンバーと、「痴漢ゼロを目指すしゃべり場」というZoomイベントを定期的に実施しており、YouTubeにてアーカイブを配信している。同センターの活動に興味がある人は、ぜひ公式X(旧Twitter)をフォローしてほしいと呼びかける。

志水さんは、本業では「こどもの未来を応援するイラストレーター」として、発達マーブルガールのフリーダム長女とデキスギ次女の育児漫画を描いている。本記事では「痴漢を捕まえられなかった話」とともに育児漫画も掲載しているので、合わせて読んでみてほしい。

取材協力:志水恵美(@shimizoon)

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