サイト内
ウェブ

鉛筆の芯の先に広がる“芯世界”!鉛筆彫刻人が生み出す「鉛筆彫刻」の精密で美しい神業に迫る

  • 2023年8月23日
  • Walkerplus

学生生活に欠かせない文房具「鉛筆」。そんな鉛筆を使用したアート「鉛筆彫刻」をご存じだろうか?わずか数ミリの鉛筆の芯に文字や造形物を描き出す“鉛筆彫刻人”として、数々の鉛筆彫刻作品を発表しているのがシロイさんだ。そんなシロイさんに、鉛筆彫刻を始めたきっかけやおもしろさ、難しさなどを教えてもらった。

■「折れる」から難しい、そしておもしろい
――シロイさんのプロフィールを教えてください。

【シロイ】新潟県で“鉛筆彫刻人”として活動しています。ある日鉛筆彫刻と出合い、まったくの彫刻素人ながら、小さな鉛筆彫刻という世界にのめり込んでいきました。学生時代は美術が最も苦手で、今でも絵は描けません。

――鉛筆彫刻を始めたきっかけは?

【シロイ】偶然テレビで、鉛筆彫刻家の山崎利幸さんの作品を見て「鉛筆彫刻」というものに衝撃を受けたのがきっかけですね。文字を書くはずの鉛筆で文字を彫って伝えるというアイデアと、簡単に折れてしまうはずの芯なのに折れずに彫刻するという技術に感動して「自分でもやってみたい」と思い、始めました。

――鉛筆彫刻ならではのおもしろさや難しさは?

【シロイ】「折れる」という所ですね。恐らく鉛筆を使ったことがある方はわかると思いますが、鉛筆の芯は簡単に折れます。鉛筆彫刻も同じで、少しの力加減や刃を入れる角度を間違えると簡単に折れてしまう、すなわち失敗となります。これが難しさであり、同時におもしろさでもあります。折れるからこそ、できたときにその分達成感を感じられるんです。

――鉛筆彫刻で得意、または好きなジャンルは?

【シロイ】私は文字の彫刻から始めましたので文字彫刻、あとは黒鉛筆での人工物系の立体彫刻ですね。特に黒鉛筆の芯は磨くと光るという特徴があるので、その芯の光沢感を活かした作品づくりは好きです。

――シロイさんの鉛筆彫刻作品の特徴は、何だとお考えですか。

【シロイ】私は極端な話「目に見えるものすべては、もし芯で表現できるならそれは鉛筆彫刻作品になる」と思ってますので、日常によく見るものが題材になることが多いです。なので、皆さんもよく見る物を幅広く作っています。

■40個の鎖からできた、動ける鉛筆とは?
――最も気に入っている作品は?

【シロイ】ひとつに絞るのは難しいですが「Pencil chain 40」という、鉛筆の中間を鎖にして本来曲がるはずのない鉛筆を曲げた、という作品ですね。よく「2本の鉛筆をくっつけたんでしょ」と言われますが1本の鉛筆しか使っていません。


――作品によって製作時間が異なると思いますが、時間がかかった作品や、逆にスムーズに制作が進んだ作品を教えてください。

【シロイ】長くかかったものですと「Pencil chain 40」は、少しずつ鎖を増やしていき40個の鎖を作るのに約1カ月程かかりました。

スムーズな制作ですと、最近は黒鉛筆での漢字作品は以前より早く作れるようになりましたね。最近の作品で「横浜」という2文字が作業時間合計4時間で完成しましたが、昔なら恐らく6~7時間以上はかかっていましたので。

■展示や実演を通じて、「鉛筆彫刻」を感じてほしい
――主にSNSで作品の発表、活動をされていると思いますが、最近では鉛筆彫刻の実演や、「知られざる文具アートの世界」展での展示など、ライブでの活動も積極的に取り組まれている印象を受けています。今後はこのようなリアルでの活動も視野に入れているのでしょうか?

【シロイ】そうですね、これまで通りSNSでの活動に加えて、リアルでの展示や実演でより多くの方に「鉛筆彫刻」を知って、感じてほしいと思ってます。実際に展示会で「ネットで写真を見るのとはまた印象が違う!」と喜んでくれる方も多いので私もうれしいです。

――今後の目標を教えてください。

【シロイ】まだまだ私自身、彫刻で表現してみたいけどできていないものが多くあります。特に色鉛筆を使った彫刻やもっと細かく精密な彫刻。鉛筆の芯という小さく折れやすい世界でさらに作品の幅を広げて、見てくれるみなさんに楽しんでいただけるような彫刻をしていきたいですね。

――この記事を読んでいる人にメッセージをお願いします。

【シロイ】日本では「鉛筆彫刻」というジャンル自体を知らない方も多くいます。もしお近くで展示がありましたらぜひ実際に見ていただき、この小さな“芯世界”を一緒に盛り上げていただけるとうれしいです。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.