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宮沢氷魚「ルーツであるアイルランドへ」30代でやりたいことと“ものすごく時間がかかる趣味”を語る

  • 2023年5月26日
  • Walkerplus

今年は映画「THE LEGEND & BUTTERFLY」や「エゴイスト」、舞台版「パラサイト」など話題作への出演が続く俳優・宮沢氷魚。最新主演作「はざまに生きる、春」では、発達障がいがある画家の青年・屋内透を演じている。葛里華監督と共に発達障がいを持つ人々への取材を重ねて挑んだという本作の撮影秘話や、役への思いなどを語ってもらった。

■本作で初めて発達障がいというものに触れる方もいるので「責任を持って演じなければと思いました」
――本作のクランクイン前は、発達障がいについてかなりリサーチされたと伺いました。

【宮沢氷魚】僕が演じた屋内透という役は発達障がいがあるのですが、本作で初めて発達障がいというものに触れる方もたくさんいると思うんです。その場合、間違った情報や印象を与えてしまう危険性があるので、責任を持って演じなければと思い、しっかりとリサーチをして準備をしました。

――演じる際にはどんなことを意識されましたか?

【宮沢氷魚】台本を読むと、絵を描く才能だけじゃなく、好きなことに向かう時の真っ直ぐさや純粋さ、優しさなど透くんがいろいろな魅力的を持っていることに気付きました。そして、発達障がいは彼の特性のひとつでもあるので、例えば目の動きや手の動かし方など、なるべく彼のキャラクターにリアリティを感じてもらえるように気をつけました。

――手の動きに関しては、どのような工夫をされたのでしょうか?

【宮沢氷魚】彼はストレートな物言いをする人なので、時には誰かを傷つけたり、冷たい言葉として相手に受け取られてしまったりということがあります。だけど透くんは自分の気持ちをうまく言葉で伝えられないだけで、本当はとっても優しいんですよね。

そのもどかしさを、手の動きや落ち着かない仕草で表現してみました。透くんのモヤモヤが強くなるにつれて、手の動きが激しくなるといった工夫をしていましたね。

――手の動きにこだわったのはなぜでしょうか?

【宮沢氷魚】透くんが絵を描く際に、筆を使う時もあれば手のひらを使うこともあるので、おそらく感情の変化が手の動きに出るんじゃないかなと思ったんです。もちろん勝手にやったわけではなく、撮影が始まってすぐに監督に手の動きを見せたら『それいいね』と採用してくださったので、シーンに合わせて繊細に表現するようにしていました。

――葛里華監督の演出で印象に残っていることを教えていただけますか。

【宮沢氷魚】基本的には自由に演じさせてもらいました。ただ、たまに監督が「いまのテイクすごくよかった」と褒めたあとに「でももう一回やってもらってもいいかな」と仰るので、もう一回トライすることもありましたね(笑)。

でも、それはもっといいお芝居を引き出すための演出であって、自分もそれに応えたいと思えたのでまったく苦ではなかったです。ものすごく真摯に作品と向き合っていらっしゃいましたし、監督のこだわりを感じる熱い現場でした。

■いつも使っている歯ブラシや歯磨き粉じゃないと嫌なので「意外とこだわりを持っているタイプなのかもしれません」
――ご自身の中で特に印象に残っているシーンを教えていただけますか。

【宮沢氷魚】雨が突然降り始めるシーンで、透くんがびしょびしょに濡れながら雨を楽しんでいるところが印象的でした。僕も子供の頃は透くんみたいに雨を楽しめていたはずですが、いまは“雨降ってきた!傘忘れちゃったどうしよう…”ってシュンとしちゃうので(笑)、そういうのってちょっと寂しいなと感じてしまって。だから透くんのような感性がちょっと羨ましく思えるんです。

――感性といえば、好きな青色だけを使って描いた透くんの絵を見て、“青色ってあんなにたくさん種類があるんだな”と改めて気付かされました。

【宮沢氷魚】わかります。僕も透くんを演じるまでは青色にあんなに種類があると思ってなかったです。群青色や水色、紺色の他に瑠璃色や天色(あまいろ)など、素敵な名前のついた青がたくさんあるんですよね。

そんな風に、自分の好きなものを深く知ることや楽しむことは素晴らしいですし、透くんのように物事を見ることができたら、新しい世界が広がるんじゃないかなと思います。

――ちなみに、透くんが青色にこだわるように、宮沢さんが“ついこだわってしまうもの”は何かありますか?

【宮沢氷魚】自分ではこだわりがないと思っていたんですけど、最近友達から「氷魚って、歯磨き粉や歯ブラシを買う時にいつも同じものをチョイスするし、ビールも同じ銘柄を選ぶよね。それってすごいこだわりが強いと思う」と言われたんです。

その友達はビンテージのお皿が好きで、食器洗剤はエコなものを使っているので、「そっちの方がよっぽどこだわりがあるんじゃない?」と言ったら「いつも同じ商品じゃなくても平気」と返ってきて。確かに僕はいつも使っている歯ブラシや歯磨き粉じゃないと嫌なので、意外とこだわりを持っているタイプなのかもしれませんね(笑)。

■30代のうちに「自分のルーツであるアイルランドに行きたい」
――宮沢さんご自身は絵ではなく版画が得意で、リノリウム版画の技法を使ってメンバーシップのグッズを作られたこともあるそうですね。お休みの日は版画をやることも多いですか?

【宮沢氷魚】リノリウム版画に関していうと、ひとつ作るのにものすごく時間がかかるので、あまり頻繁に作れないんですよね。工程としては、まずスケッチブックに絵の下書きを描いて、リノリウム版(コルクや木の粉から作られる合成樹脂の弾力がある板)の板の上にグラファイトペーパー(絵を転写するための紙)を敷いて、その上からスケッチの絵をなぞるんです。

そうするとリノリウム版に絵の線が薄く転写されるので、その線をひたすら彫刻刀で掘っていく作業をして完成……ではないんです(笑)。

――まだ作業は終わらないんですね(笑)。

【宮沢氷魚】まだ続きます(笑)。板が柔らかくないと掘れないので、一回ホットプレートで温めないといけないんです。でも掘っていると10分ぐらいで板が硬くなるのでまた温めて…。それを繰り返しながらの作業ですごく大変なので、ここ数年はグッズを作る時に気合を入れてやるようにしています。

――時間をかけて丁寧に作られたグッズ、ファンの方もすごく喜んでいらっしゃるのではないかと思います。ところで、宮沢さんは来年30歳を迎えますが、30代のうちにやっておきたいことは何かありますか。

【宮沢氷魚】母方の曽祖父と曽祖母がアイルランド出身なのですが、僕はまだ一度もアイルランドに行ったことがないんです。なので自分のルーツであるアイルランドに行ってみたくて。親戚もいると聞いていますし、30代のうちに行けたらいいなと思っています。

取材・文=奥村百恵

◆スタイリスト:Masashi Sho
◆ヘアメイク:Taro Yoshida(W)

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