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パワハラ上司に“守護神さま”が邪神化寸前!?メンチカツ&ビールでお供えを!不思議な関係描く短編に癒やされる【作者に聞く】

  • 2023年5月23日
  • Walkerplus

オフィスで理不尽な叱責を受けていた女性。彼女には生まれた頃から“守護神さま”がついていた。上司からのパワハラを聞き流す女性に対し、守護神さまは怒りをあらわにして……。
早神あたか(@yaminome)さんの創作漫画「守護神さまとお鎮めご飯」は、pixivで1000件を超えるブックマークを集める作品。守護神さまと女性の不思議な関係と、ほっと一息つく夕食の描写に癒やされる短編だ。作者の早神さんは、アルファポリスにて『前世は剣帝。今生クズ王子』(原作:アルト)をコミカライズ連載中の漫画家。個人制作として発表した同作の舞台裏をうかがった。

■「守護神さまを大事に」ストレスを乗り切る現代の寓話にほっこり
長く続く旧家に生まれたとある女性。その家には“守護神さま”がいて、女性は「守護神さまを大事にすれば幸せになれる」という言い付けのもと育った。

女性が地元を離れ就職してからも、彼女についてきた守護神さま。だが、その環境は大きく変わり、ある日は女性に暴言を浴びせるパワハラ上司におかんむりの様子。自分は平気でも、「ほっといたら邪神になりそう」と守護神さまを気遣った女性は、“お供え物”で機嫌をとることに決める。

それは、行きつけの居酒屋のメンチカツと生ビール。ひと口ほおばるやいなや、怒りもすっかり収まった守護神さまを見て、一安心の女性は、自身も揚げ物とビールの組み合わせを堪能する。

すると、それを見ていた店主は「憑き物が落ちたような顔だね」と一言。その言葉に、自分も守護神さま同様に怒りを溜めこんでいたことに気付いた女性。「守護神さまを大事にして」という言葉の真意に気付いた彼女は、幸せそうに晩酌を楽しむ守護神さまを眺めながら癒やしのひと時の過ごすのだった。

■「せめて漫画で」なかなかやれない体験に昇華
何か特別な力を振るうわけではないけれど、守護神さまが確かに守ってくれる、少し不思議な関係を描いた短編。同作は、早神さんがRTA(リアルタイムアタック)企画として、13時間で描き上げた作品でもある。アイデアのきっかけや、時間を縛った漫画制作について話を訊いた。

――守護神さまと女性の晩酌の光景にほっこりする作品です。描いたきっかけを教えてください。

「もともと、お酒や居酒屋のグルメ漫画が好きで……。会社員のころから一人で飲みに行くタイプでした。ある日、最寄り駅近くの居酒屋さんで、ものすごく美味しい豚の角煮を食べて、『おいしい!会社の疲れが角煮と一緒に溶けてくみたい!!』という経験をしたんです。

自分は揚げ物とビールも好きなので、何かの漫画に描かれていた、メンチカツとビールという組み合わせでも同じような経験ができるのでは?と、その時の体験からずっと考えていました。ですが、メンチカツを扱っている居酒屋さんはなかなかなくて……。現実で叶えられないなら、せめて漫画でその光景を…と思ったのがきっかけでした」

――作品として描くにあたって、どんなところから物語を膨らませていったのでしょうか。

「パワハラを無表情で受け流すかっこいい主人公が描きたいなと思っていて、でもそういう人ほど『自分は平気』と思っていても知らず知らずにストレスは溜まっていくだろうなと……。だから、溜まったストレスをわかりやすく表現できるファンタジーな存在がいればわかりやすいかなと思ったので、“守護神さま”という、主人公の表に出せない感情を素直に表現するキャラクターを思いつき描いていきました」

――守護神さまと女性の表情や反応がたびたび重なるのが印象的です。二人の描き方で意識した点を教えてください。

「二人はどちらかと言えば、堅物と素直みたいに正反対になるように描いていたつもりだったので、二人が同じような表情をしてるんだとその質問で初めて気が付きました(笑)。描き方については、パワハラを受けた時の嫌な感情、ビールを飲んだ時の幸福感が伝わるようにと思って描いていました」

――本作でこだわった点があれば教えてください。

「この作品は以前デジタルで描いた漫画をアナログ&デジタルでリメイクしたものですが、リメイク前はメンチカツにソースをかけ忘れて投稿してしまい、それをずっと後悔していたので今回は絶対に忘れないぞと思ってました(笑)」

――リメイクにあたっては、ご自身で「リアルタイムアタック(RTA)」として描いたとうかがいました。

「2022年に、1年間、1作ごとに制作時間のリミットを決め、RTAで12本の作品を描こうという目標を立てたんです。漫画ではなく違う作業のRTAをしている友人に付き合ってもらい、だいたい3時間おきにメッセージで互いに進捗を報告しあいながら、リアルタイムに原稿を進めるというものです。この作品は、その取り組みの最後の一作でした。ネームを完成させてからはじまるかは作品によってまちまちですが、ストーリーとセリフ、構成はしっかり決めてから、原稿を描くという形です」

――今回の作品ではどのような制作過程だったか教えてください。

「この作品ではリミットを12時間に設定して、セリフ中心のプロットと構成用のミニネーム(ネームのラフのようなもの)を先に作ってからスタートしました。ただ、当初は6ページの予定が、作画開始後ネームを進める最中7ページに増えました……。ネームを終えた後は、アナログで下書き、ペン入れをして、9時間経過したころアナログ作業がすべて終了し、1時間の休憩をはさんで、スキャンしてデジタル処理に移ります。途中で機材トラブルもあり、4ページ完成したところで12時間経過し、RTAとしてはタイムアップでした。その後は一人で1時間ほど延長戦を行い、残り3ページのトーン処理を行い完成させました」

――漫画でRTAするというアイデアはとてもユニークです。早神さんがこの取り組みの中で感じたことを教えてください。

「1年間やって、目標時間内に完成したことは一回もなかったのですが、もともとは仕事の合間にオリジナル作品を描きたいと思って始めたので、クオリティはひとまず置いといて、決められた時間の枠で完成を見据えて描けたこと、時間は間に合わなくても1年で12作品も完成させられたことはやはり大きかったと思います。今年は、短編漫画を完成させてSNSに投稿する以外の形で、去年より大きな何かに挑戦したいと、引き続き毎月友人とのRTAは継続中です」

取材協力:早神あたか/ATAKA(@yaminome)

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