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JIMOTO Made+に中目黒の夜桜をイメージした 熊本・小代焼のマグと香炉が誕生

  • 2023年4月25日
  • Walkerplus

東京・中目黒にあるスターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京(以下、ロースタリー東京)とスターバックス オンラインストアにて展開する「JIMOTO Made+」に、2023年4月26日(水)、新たな仲間が加わる。熊本県の伝統工芸品・小代焼のマグカップと香炉だ。

スターバックスでは日本各地の工芸や産業を用いた商品を開発し、その地域の店舗のみで販売する「JIMOTO Made」を展開している。「JIMOTO Made+」では、それをさらに発展させ、商品を通じて日本各地の工芸に携わる人々の技術や想いをロースタリー 東京から発信している。

小代焼は熊本県北部で約400年前から焼き続けられている窯元。今回、スターバックスとコラボレーションする「たけみや窯」を訪ねた。

■江戸時代に肥後藩の庇護のもと繁栄した小代焼[/HEAD]
小代焼は寛永9(1632)年に豊前藩・細川忠利の熊本移封に際し、陶工が小岱(しょうだい)山麓に窯を開いたことに始まる。小岱山でとれた土を用い、素朴で力強い作風と深い色合いが特徴で、色により青小代、黄小代、白小代に分けられる。茶道用の陶器が作られたほか、熊本では「五徳焼き」と呼ばれ、生活用品としても重宝された。五徳とは、「腐敗しない」「生臭さを移さない」「湿気を呼ばない」「毒を消す」「健康寿命が得られる」を指す。

明治維新後、藩の庇護がなくなり一時衰退するが、それを再興したのが「たけみや窯」の初代・近重治太郎(ちかしげじたろう)さんだ。2003年に国の伝統工芸品に指定され、現在は治太郎さんの弟子を含む11の窯があり、春の陶器市など小代焼の普及に力を合わせている。

たけみや窯は、遠くに阿蘇山をも望み田畑に囲まれた上益城郡嘉島町にある。現在、窯を守るのは治太郎さんの孫で3代目の近重眞二さん。材料作りから焼成まで、ひとり手作業で行う。ろくろの前に座ると、「必ず使う人の身になって作れ」という祖父の言葉を思い出すそう。
「使い勝手のいい器をまごころ込めて作れば必ず響くから、どんな商品でも手を抜かずに心を込めて作っています」

窯の外には釉薬の入った甕(かめ)が並び、併設されたショップには器や湯飲み、一輪挿しなどのほか、マグカップやパスタ皿、ワインクーラーなど現代的な器も並ぶ。ひとつひとつ表情の異なる色合いが美しく、素朴な温かみのなかにしっかりとした存在感があり、つい手に取りたくなる。

「小代焼のいちばんの特徴は藁灰釉(わらばいゆう)ですね。現在日本で使っているところは少ないんですよ」と近重さん。藁灰釉とは炭になるまで焼いた藁をメインに、木灰、長石を混ぜて作る釉薬のこと。釉薬から自身の手で作っている、制作現場を見せてもらった。

[HEAD]原料作りから真摯に作陶に向き合う[/HEAD]
近重さんは藁灰の原料となる藁を納屋で1年間乾燥させ、自ら田んぼで炭の状態になるまで焼く。それを水に浸し、目の細かいザルで3回ほどに分けて濾して滑らかにしてく。この釉薬作りに、なんと1か月もの間つきっきりになるという。
「藁は沈殿するのに時間がかかるので、甕1つ分で何日もかかる。濾して滑らかにしないと釉薬として使えないですからね。藁灰は業者からも仕入れられますが、納得のいく釉薬を作ろうと思うと、自分でやるのがいいんです」
この藁灰釉に鉄などを混ぜ、異なる色の釉薬を作る。濾し終えた藁灰釉を見せてもらうと、それが炭であったことがわからないほどに滑らかだ。

県内3か所の土を混ぜた粘土をろくろで成形し、乾燥、素焼きを経てこの釉薬を施すが、「流し掛け」という釉薬のかけ方も小代焼の特徴だ。全体に釉薬を施した後、柄杓でさっと別の色の釉薬を上掛けする。流し掛けた釉薬が模様となり「鳥に見えたり、魚に見えたり、見え方によって変わる抽象的な模様になるんです」と近重さん。

施釉後に本焼きを経て完成するが、焼成温度や炎の当たり方によっても発色が異なるので、すべてが、唯一無二。手に取り、好きな模様をじっくり選ぶのも客の楽しみだ。それはJIMOTO Made+に登場する2商品も同じ。ひとつずつ見ていこう。

[HEAD]“えくぼ”に指を添えて、温もりを感じる「JIMOTO Made+ 嘉島マグたけみや窯355ml」(6820円)
コーヒーの香りを楽しめるよう、少し丸みを帯びた形のマグカップ。色は小代焼特有の青でも白でも黄でもなく、茶色みを帯びた黒。ロースタリー東京のテーマカラーだ。黒地に青みを帯びた白がたなびく様を、「ロースタリー 東京のある東京・中目黒の夜の桜並木をイメージして作っていただきました」とは、JIMOTO Made+の企画を担当するスターバックスの濱田和史さん。

手作りのぬくもりが伝わるよう、ろくろ目(成形の際にろくろの回転でできる指の跡)をあえて残し、表面に1か所、近重さんがひとつずつ指で押した“くぼみ”がある。「そこに指をのせて、この地や近重さんとのつながりを感じてもらいたいと思って」と濱田さん。そのくぼみを、たけみや窯では「えくぼ」というかわいらしい名で呼んでいると、近重さんが教えてくれた。
「ハンドルでカップを持ち、もう片方の手をえくぼに添えてもらうと、しっくりくると思います」

初めてこのマグカップでコーヒーを飲んだ時のことを振り返り、イメージ通りだったと濱田さんは語る。
「陶器の存在感が残るよう、飲み口を少し厚めにとお願いしたのですが、唇に優しく当たる感覚に陶器の良さが出ていてとてもうれしかったです」
一方の近重さんは、試作のマグカップであるものを飲んでいるとか。「私はふだん晩酌をするので、ホットウイスキーを飲んでいます(笑)。冷めにくいし香りも立ちますよ」と、ぜひ真似したい使い方だ。

■香りとともに夜桜が浮かび上がる「JIMOTO Made+ 嘉島香炉たけみや窯」(17000円)
JIMOTO Made+では初の香りの商品となる「JIMOTO Made+ 嘉島香炉たけみや窯」。上部の器に茶葉をのせ、下からろうそくの熱を加えて香りを楽しむもの。大胆に施された桜の花びらが、ろうそくの明かりでまるで夜桜のように周囲に映し出される。

桜の透かし彫りは、近重さんが心を込めて手作業で彫ったもの。作業は繊細で、彫刻文様によってはひび割れしやすく窯出しまで気が抜けないと言うが、「難しいことをお願いしても、職人さんは“チャレンジできた”と前向きにとらえてくださるんです」と濱田さん。その言葉に、近重さんも深くうなずく。
「まさにその通り。やり遂げるとスキルも上がっていく。技術の向上につながると信じて仕事しています」

■美しい日本の伝統工芸品を未来へ残すために
取材当日は、ロースタリー 東京のパートナー(従業員)もたけみや窯を訪ね、小代焼への理解を深めていた。近重さんの丁寧な手ほどきでろくろ体験もしたが、実際にパートナーが挑戦すると土を持ち上げることすらままならない。販売されるマグカップや香炉は口径や容量など細かい規格があるが、「それを感覚で全部されて、確認すると決められたサイズにぴたっとおさめている。それが職人さんのすごさですよね」と濱田さん。

また、今回の商品をパートナーが実際に見たのもこの日が初めて。えくぼに手を添えた感触、質感、重さなどを実感して感動の様子だ。見学を終えた感想をパートナーに尋ねると、「ひとつひとつ作ることの大変さに驚きの連続でした。手作りだからこそオンリーワンだというのが素敵」「藁の採取から釉薬作り、ろくろ…すべてこの地で作られていることに感銘を受けました。それがお客様につながっていく。作ってくださっている方の熱い思いをつなげていきたい」と、語った。

濱田さんによると、美しい日本を次の世代に渡したいという思いがJIMOTO Made+の原点なのだそう。近重さんの祖父の弟子、そのまた弟子…と、再興を遂げた小代焼。これからも自然豊かなこの地で、作り続けていく人たちがいる。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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