
子供のころから文字や絵で補足しながら会話を楽しみ、やがて伝えたいことを頭の中で反芻するうちにそれを漫画として描くようになったという、キタハタエミ(@emi_kitahata)さん。Instagramやpixivにて、エッセイ漫画などを公開している。
今回は、「天気雨の降る日」をお届け。主人公の女性・ふみが街で出会ったのは、記憶喪失だという謎の男性。一度は警察に行くのだが、おまわりさんが持っていた拳銃を見て異常に怖がる姿を目にし、なぜか自宅に連れ帰ることに。そこでふみは父が他界したことを明かし、謎の男性を「はる」と呼ぶことに。
はると一緒に街を歩いていると、偶然前を通った店の来店500人目に当たったり、紛失していた富豪の財布を見つけて、お礼(小切手)を渡されたりと不思議なことが次々と起きる。そのあと、たまたま立ち寄った店で、はるは女性店員から理不尽ともとれる理由で罵られてしまう。慌てたはるが“自分は記憶喪失で言われている意味がわからない”と告げると、その女性は落ちていた葉っぱではるの頭を軽くはたいた。すると、はるはキツネの姿になってしまうと同時に、自分が人間の姿でここにいる理由を思い出す。
再び人間の姿になったはるは、ふみに父のいる病院に行くよう説得を始める。どうしても行きたがらないため、自分の正体はキツネで、かつてふみの父に助けられたことがあると告白。ふみは幼い頃を思い出す。記憶の中には優しい父と母、そしてはるの姿があった。
父が入院している病院に行ったふみは、父がまだ生きていることを知る。その夜、ベッドで寝息をたてる父に「ごめんね」と声を優しくかける。部屋にはなぜか、はるが富豪からもらっていたお礼の小切手があった。
それからずっと時間が経って…。いつもより遅い時間に帰宅した娘が、ママ(ふみ)の友達に家まで送ってもらったと口にする。その友達からもらったという“ふみへのプレゼント”を見て、娘が話す友達の正体が“キツネのはる”だと察し、ふみは涙するのだった。
命の恩人を助けるため、人間に化けたキツネが奮闘する感動のストーリー。幼少期の自分の言動が、まわりまわって未来の自分を救ってくれることもあるのかもしれない。
画像提供:キタハタエミ(@emi_kitahata)