
洋裁業を営む藤野景子の前に、突然宙に浮いた朝顔の花が入ってきた。疲労が溜まりすぎて、とうとう白昼夢まで見るようになったかと思った景子だが、実はそこに景子にしか見えない小さな小さな妖精がいた。Twitterで描いたわずか4ページの漫画が、連載を経て書籍化。人間と妖精の心温まる交流を描いた脇田茜さん(@ekawata_kiw)の「妖精のおきゃくさま」を紹介しよう。
■主人公にしか見えない!?妖精からの服の仕立ての依頼がきた
「このお花でワンピースを作ってほしいの」と、摘みたての朝顔を持ってきた妖精。仕立て代は、一緒に持ってきた栗でお願いしたいという。生花で洋服を仕立てたことはないが、なんとか形にして妖精に着せてあげる。しかし、朝顔は午後になると花弁が萎んでしまうのだ。
景子が心配していると、妖精が泣きながら戻ってきた。やはり、花弁が萎んでしまっている。景子は朝顔の萎んだディティールから、しわ感を生かしたスカートを思い立ち、服を仕立て直すことに。
そんな景子と妖精の不思議な出会いからスタートした「妖精のおきゃくさま」。いつしかたくさんの妖精たちと仲良くなり、妖精の不思議な世界を覗くことになる。本作はTwitterで短編を投稿したところから火がついた作品。9月15日には待望の第2巻が発売した。そこで、原作者の脇田茜さんにこれまでの経緯や見どころについて伺った。
■始まりは4ページの短編漫画だった
――洋服の仕立て屋(デザイナー)の元に現れた妖精の洋服を作るという素敵なお話ですが、妖精の服を仕立てるという発想はどこからきたのですか?
子供の頃、幼稚園で読んだくまのキャラクターが「朝顔の花で帽子を仕立てる」という絵本が大好きだったのですが、記憶がおぼろげでタイトルも不明、いくら探しても見つからず、もう一度読みたい思いから本作を思いつきました。
――今回紹介するTwitterで配信した「妖精のおきゃくさま」は、パイロット版ということですか?これまでの経緯を教えてください。
当初は連載する予定はありませんでした。趣味でTwitterで4ページ漫画として発表し好評だったので、連載の企画を出してみたところ、まずは短期連載が始まり、その後出版社を移籍して長編版を描くに至りました。
――掲載にあたり描きなおした部分は、どのようなところですか?
一冊で読み応えあるものにしたかったのと、もし長く続くならこの先描きたいお話の種を入れ込んでおきたかったので、Twitter版のゆるい雰囲気が吹き飛んで、シリアスでドラマチックな展開になってしまいました。
――本作でこだわっているところ、見てほしいポイントなどがあれば教えてください。
ビーズ刺繍やレース、テキスタイルの模様、植物などはすべて手書きでコツコツ描いてますので、画面の圧が凄いところもあってウッとなるかもしれませんが、頑張って読んでみて欲しいです。
――第2巻が発売されましたが、妖精シリーズはどのような展開になっていますか?
登場する人間も妖精も増えるので、世界が広がり一波乱ありますのでワクワクとヒヤヒヤをお楽しみいただきたいです。
――世界観に魅了される方がたくさんいらっしゃいますね。読者の皆さんにメッセージをお願いします。
本作は読書さんのSNSでのご感想やお手紙、ファンアートなどの温かい応援に支えられております。創作が与える活力というものを何より私の方が読者さんに教えて頂いてるように思います。感謝に代えて、今後も末永く描いていきたいです。
アトリエにやってきた妖精というなんともファンタジーなストーリーだが「温かい」「優しい気持ちになれる」と、多くの読者を癒やしている。本作は、Twitterやwebアクションで無料(一部)で読むことができる。試し読みで「心を奪われた!」という人も多く、根強いファンが次回作を待ち望んでいる。
取材協力:脇田茜(@ekawata_kiw)