サイト内
ウェブ

「おっとっと」の名付けは“お酒”がきっかけ?森永製菓が語る「おっとっと」誕生秘話と40年の歴史

  • 2022年6月4日
  • Walkerplus

1982年に誕生した「おっとっと」。販売元の森永製菓にとっては「スナック菓子の支柱になる商品を」という相当な思いを込めて開発された商品で、開発期間は異例の3年だったという。たしかに「おっとっと」発売当時の記憶を振り返ると、その新しい食感とポップなパッケージ、そして当時絶大なブレイクを果たしていたとんねるずをCMキャラクターに起用するなど、斬新な商品の登場だったように思う。

あれから40年、ロングセラーのスナック菓子として今も絶大な支持を受け続けている「おっとっと」。今回はその誕生秘話と長い歴史に隠された秘密について、森永製菓 菓子マーケティング部の山﨑里咲さんに話を聞いた。

■スナック菓子業界の革命!「中空構造」を実現
1899年創業の老舗お菓子メーカーである森永製菓。現在は「チョコモナカジャンボ」「inゼリー」といった商品が主力だが、40周年を迎えた「おっとっと」もロングセラー商品の1つになった。

「おっとっと」はスナック菓子でありながら中空構造になっており、カリッとした軽い口当たりを楽しめるのが特徴。また、魚を模した菓子型の細かさも当時のスナック菓子にはなかったもので、この点も菓子業界では革命的な試みでもあった。

「スナック菓子を中空にする技術を研究所が開発し、『この技術を活かして森永製菓の支柱になるようなスナック菓子を作りたい』という思いから企画開発がスタートしました。それまで弊社には『ポテロング』『スピン』といったスナック菓子がありましたが、『これらを超えるものを作りたい』と当時考えていたようです。

また、この頃の菓子市場では『ライト志向が良い』という説があったようで、この時流も意識したようです。当初はカレー味などの候補も検討していたようですが、『自然』『健康』といったイメージを印象付けるためにあっさりめの『シーフード味』の味付けとし、それを踏まえて、全て魚の形を模した形になりました」

■商品名の誕生はまさかの酒場で!?
企画開発をスタートさせてから実際の商品化までは、3年の月日を費やしたという。森永製菓の他の商品はおおむね1〜2年で完成させることが多いそうで、このことからも「おっとっと」に賭けた同社の情熱が高かったことが伺える。

一方、謎なのがこの商品名だ。“シーフード味”で“魚の形をしている”のが特徴で、当初は「小さな水族館」という商品名も候補にあがっていたという。しかし最終的には「おっとっと」となり、40年経った今もその商品名のまま販売が続けられている。では、なぜこの名前に決まったのだろうか。

「たしかに当初は『小さな水族館』という仮の商品名がついていたと聞いています。そんななか、当社の社員が就業後に居酒屋に立ち寄り、お酒を注いだそうです。お酒を注いでいた際、グラスからあふれそうになった時に『おっとっと』と言ってしまったことで、『これを商品名にしたらどうか』という話になったようです。その後、商品名は『小さな水族館』『おっとっと』の2案に絞り込まれ、『おっとっと』のほうが採用されることになったようです」

■ずっと「じゃがいも」なわけじゃなかった
冗談のような本当の話で名前が決まり、「おっとっと」は満を持して1982年4月に発売を開始。発売からすぐに大ヒットとなり、当初予定していた販売計画をすぐに2倍に修正するほどだったという。

以降数年間は、誕生時の味、パッケージを踏襲し続けたそうだが、1989年には原料のベースをさつまいもに変更。現在はじゃがいもベースに戻っているが、一時売り上げが減少した際には、こういったブレイクスルー的な試みも柔軟に行ってきた商品でもあったようだ。

「現在まで『おっとっと』と他キャラクターとのさまざまなコラボレーションを行ったりもしてきました。また、当初は横型のパッケージだったものを縦型に変えたのが2005年。これ以外にも5連のおやつパックを発売するなど、試行錯誤しました」

現在「おっとっと」の40周年を記念して、全国40カ所の動物園・水族館の動物たちとのコラボレーションを展開。本来は魚のカタチを模しているところを、これらコラボレーション先にいる動物などに転じるなどしている。遊び心を感じるが、同時にその都度菓子型を作るのは大変な作業なのではないかと、素人目には感じるが…。

「まさにコラボレーションで1番時間がかかるのは、キャラクターを『おっとっと』に反映させる作業です。菓子型を作る前にデザイナーがキャラクターをデフォルメして作画するなどし、それを形にして『おっとっと』の中空のスナック菓子に転じます。この点はたしかに、その都度大変な作業ではありますね」

■2世代、3世代で楽しめる「おっとっと」のこれから
前述の通り「おっとっと」はあっさりした味付けで軽めの口当たりであることから、近年ではSNSなどでクルトン代わりに使ったり、サラダのトッピングにしたりといった新しい食べ方も広まっている。

「本来のスナック菓子としてだけでなく、『おっとっと』の楽しみ方をさらに広げるような提案もさせていただいています。特に今の『おっとっと』はノンフライでカルシウムが入っていますので、健康面でも価値のある商品だと思います。こういった特徴も今後広めていきたいと思っています」

今年、誕生から40周年を迎えた「おっとっと」。記念すべき周年ではあるが、森永製菓の商品群でこれだけのロングセラーは決して珍しくはないようだ。

「『ミルクキャラメル』『ミルクチョコレート』『ミルクココア』は100年以上の歴史がありますし、今年は『チョコモナカジャンボ』がちょうど50周年なんです。なので『おっとっと』は、やっと“中堅”に位置する商品になったくらいですね。

ただこの40周年を迎えて個人的に本当にうれしかったのは、1982年の発売当時に『おっとっと』のCMキャラクターだったとんねるずの石橋貴明さんが、今年3月に再びCMを引き受けてくださったことです。このことで『懐かしい』『当時を思い出す』といった声がSNSで広がり、再確認する方も多かったように思いました。

発売当時を知らない世代の方も『おっとっと』を親しんでいただいてることを考えると、2世代、3世代で楽しむスナック菓子になってきている実感もあります。この40周年以降も、幅広い世代の方に『おっとっと』を食べていただき、笑顔になっていただければうれしいです」

撮影・文:松田義人(deco)

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.