「最近の若者は…」と批判的に言われることが多い若者の行動。しかし、桐谷のば(@sansitakiritani)さんの漫画『最近の若者が尊い話』では、今どきの若者の行動を肯定的に捉えた上司の行動に「こんな会社に入社したい！」「この職場どこにあるんですか？」などのコメントが殺到している。
「最近の若者」という大きな括りで評価するのではなく、行動や個性を見て判断する。「俺たちの時代はこうだったのに…」と自分たちの今までと比較せず、個人を見て「尊い！」と感じるのが日々の癒やしとなっている田中先輩にも注目して欲しい。
■実は親世代よりも常識人!?最近の若者の行動
――まずは、『最近の若者が尊い話』を描いたきっかけについて教えてください。
些細な日常会話をしている時だったと思うのですが、ふと自分自身が「最近の◯◯は～」と言ってることに気付きました。でも、「最近の◯◯は」と言っている反面、「ほんとにそれが最近だからなのか？」と疑問に思ったんです。私たちが生きてきた中で出会ったことのない物や人、風習は「最近の◯◯は」の定義になるのではないかと…。じゃあ、私が会ってみたい人や憧れていること、実際に感動したことを漫画にして新しい「最近の◯◯は」を作れるのではないか？と思いました。それがきっかけです。
――「最近の若者は」というと、普通は批判的な意味合いに使われることが多い言葉ですが、若者世代の模範的な部分が描れていて、読んでいて素敵だな！と思いました。
夕方の情報番組ですら、このような言葉で表現されるようになって、聞き慣れてきた言葉ではあるのですが、自分が言われる世代を超えて言う側の世界に入ったとき「これは、果たして本当に誰も傷つけていない言葉なのか？」と不安になりました。自分は言われるのも言うのも、何も気にしていなかったなぁ、と。ただ、若者全てに当てはめてしまうには、暴力的にすら感じていました。ですからあえて、その暴力的な言葉を使って優しい世界を作りたかったという、桐谷的挑戦でした。その人を個人として見て欲しいなと思ったので、「行動の裏」のようなものも表現したかったです。
――読者の皆さんから田中先輩のもとで働きたい人が続出しています(笑)。登場人物みなさんが優しくて素敵ですね。こだわっているポイントはありますか？
みなさんに田中先輩を好きになってもらえて良かったです。上司とか先輩とか上の立場の人を苦手と思っている人も少なくないと思います。私もそうですから(笑)。ですが、その先輩も実はとても可愛い存在かもしれない。家では家族を想う、ただの優しいパパやママかもしれない。両親の世話をしている献身な人なのかもしれない。どこにでも居そうな名前でも、一人ひとりは別人ですよね。そういう特別な田中にしたかったです。
――尊さとは、人それぞれ感じるポイントが違うと思いますが、漫画を通して伝えたい尊さはありますか？
自分が尊いと思うものを信じて欲しいです。誰に何を言われようとあなたが感じた尊さは、紛れもない"尊"です！(笑)
――「ギャップ萌えとは、偏見が作り出している」など、田中先輩の考え方で若者に対する見方を変えられるのではないかと思いました。桐谷さんは、今の若者をどのように捉えていますか？
自分にはないものを持っている存在だと思います。いろいろなことを教えて欲しい存在ですね！教えてください！自分じゃない全てのものに言えることなのかも知れませんが。
――続編を楽しみにしている方がたくさんいると思いますが、投稿ペースが決まっていれば教えてください。
商業漫画の連載もあり、なかなか追いついていないのが現実です。楽しみにしてくださっているみなさんにはお待たせしてしまうことになるのですが、どうか、気長に…いや時たま、「そういえばあのおっさんが尊いって言うだけの漫画どうなったかな？」と思い出してくれると幸いです。
――その他、どのような漫画を描いていますか？
LINEマンガさんで、『俺、限定コミュ症なんでっ。』という漫画を連載していました。去年の2月に完結しています。子供としか上手く関わることが出来ないコミュ症な男子高校生が保育士を目指し、ひょんなことからボランティア部に入部することに。そんな主人公、梨川益臣(なしかわ・ありおみ)が友だち関係や活動を通して成長していくお話です。こちらも優しい世界のお話ですので、田中先輩たちの世界を好きになってくれた方にはおすすめできる作品です！現在は、再びLINEマンガさんで新連載に向けて準備中という感じです。
今回は第3話まで収録。チャラい見た目や話し言葉でついついギャップを感じてしまう人も、若者の良さを実感できる漫画だ。もしかしたら、意外と身近に尊い後輩がいるかもしれない。
取材協力：桐谷のば(@sansitakiritani)
