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【漫画】兄が突然亡くなった時、家族みんなが「嘘であってほしい」と願った

  • 2022年4月20日
  • Walkerplus

看護師でありシングルマザーであるまゆんさん(@mayun4311)。自閉症スペクトラムがあり特別支援級に在籍する小学6年生の息子・太郎くんとの暮らしを漫画にし、Instagramで配信。さまざまな出来事を、まゆんさんと太郎くんが一緒に乗り越えていく姿に共感の声が多く届いている。ウォーカープラスでは「自閉スペクトラム症の太郎とやさしい世界」と題し、連載をスタート。まゆんさん一家の何気ない日常を、描き下ろしの新作漫画と共に隔週でお届けする。

今回のテーマは「兄が亡くなったこと」。まゆんさんに当時の思いなどを聞きつつ紹介する。

■家族との悲しい別れ
まゆんさんのお兄さんは、ある日突然亡くなった。眠った状態で、職場の同僚に発見されたという。警察から連絡を受けたまゆんさん、じいじとばあば(まゆんさんのご両親)、はるんさん(まゆんさんの妹)は、すぐには受け入れられず、ただただ「嘘であってほしい」と願うばかりだった。

「はじめは『亡くなった』という知らせだけで、対面をするまでは全員が嘘ではないか、嘘であってほしいと思っていたと思います。連絡が来てからすぐには会えず2日後の対面でした。それぞれ口数が少ない状態で、はるんが『信じられない、本当なのかな』と口にしたのを覚えています。対面する当日、警察署に向かう体が怖さで震えていたのも覚えています。誰も笑うことなく、どうか嘘であってほしいという表情でした」

まだ小学1年生だった太郎くんは、お兄さんの死が理解できず、キョロキョロとしながらまゆんさんと手をつなぎ、いつものようにソワソワとしていたそう。「おじちゃんはお母さんの友達?」という太郎くんの問いかけに「おじちゃんはお母さんのお兄さん。はるんはお母さんの妹。おじちゃん、お母さん、はるんはじいじとばあばの子ども」とまゆんさん。

また「じゃあ、ばあばがお母さんを産んだの?はるんも?おじちゃんも?」と言う太郎くんに、まゆんさんは涙を流しながら「おじちゃんは…じいじとばあばの大切な子どもで、はるんとお母さんの大切な兄さん。大切な家族…」と話した。まゆんさんの様子を見た太郎くんは「大切…」とつぶやいた。

■日常の「当たり前」が変わっても「大切」なものは変わらない
まゆんさん一家にとって、悲しくもお兄さんがいないことが「当たり前」となった今、「大切」なことは何も変わらない。「しばらくは兄を思い出しては涙を流す日々が続いていました。はるんからは『姉さんが居てくれてよかった…こんな苦しい思いを共感できる人は姉さんしかおらんから…』と言われました。家族みんな経験のない悲しみを今味わっているのだと自覚しました。ばあばは平気なふりをするタイプで明るく振る舞っていましたが、いまだに兄の話をするのは辛いのか、自ら口には出しません。父も写真を見れないと言い、辛そうにはしていますが。今のこの状況も含めて、『当たり前』となっています」とまゆんさん。

お兄さんとは2回しか会ったことがない太郎くんは、「記憶にもないようですが、火葬の時の思い出が強かったようで、そのことを口にすることはあります。兄の火葬前後を見た太郎は『おじちゃん?白いのおじちゃん?』と変わった姿に目を丸くしました。私が涙を流しながら『そうだよ、これはねおじちゃんの骨だよ』と説明すると、『なんか…可哀想…』と小さな声で言っていました。今は兄の話を出すと『お母さんのお兄ちゃんの話だね!』と言うくらいです」。

またお兄さんの出来事があってから、目に見えない「大切」について太郎くんの認識に変化があったか尋ねると、「『家族』=『大切』と認識している部分が会話の中で見え隠れします。『お母さんは家族と仕事どっちが大切?』など家族と何かを天秤にかけた質問を時々してきます(笑)。なかなか面白いですよ」とまゆんさん。

人によって「大切」なものは違うし、それがいつなくなるのかは誰も分からない。一日一日を大切に、後悔のないように生きていきたいと改めて感じた。

取材・文=重藤歩美(ウォーカープラス編集部)

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