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コーヒーで旅する日本/九州編|福岡にいながら世界のカフェカルチャーを体感する。「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」

  • 2022年4月4日
  • Walkerplus

全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

九州編の第19回は、福岡市の西新エリアにある「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」。エクスプローラーは探検家を意味する英語。さらに、コーヒー、ティー&アルコール ラボと冠するように、ドリンク、フードともに研究・実験をテーマにするカフェ&バーだ。

兄弟で営む店で、兄の平田雄大さんはバックパッカーで世界中を400日間旅し、82カ国を巡ったそう。弟の貴大さんも世界中を旅するクルーズ客船の乗務員として約5年間勤め、訪れた国は38カ国。兄弟ともに世界の暮らしや食文化、とくにカフェ、コーヒーカルチャーを現地で体感し、その経験を店づくりに活かしている。メニューも他店ではなかなか見ないものばかり。「日本にいながら世界中を旅しているような体験を」とうたう「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」。どんな店なのか見ていこう。

Profile|平田雄大さん(右)、平田貴大さん(左)
雄大さん/1982(昭和57)年、福岡市生まれ。大学卒業後、サラリーマンとして10年間働く。世界一周するための資金を貯め、退職。その後、400日間かけて世界82カ国を巡る。2019年11月に弟の貴大さんと一緒に「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」を開業。店舗では厨房を主に担当。

貴大さん/1988(昭和63)年、福岡市生まれ。製菓学校に入学し、フランスにも留学。南フランスの4つ星ホテルでパティシエとして働く。その後、アイルランドでバーテンダーの修業を積む。帰国後、世界中を巡るクルーズ客船の乗組員になり、およそ5年間勤務。「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」のドリンクやスイーツのレシピを考えるほか、コーヒーの抽出、サービスを中心に行う。

■世界のコーヒー、紅茶文化に触れる体験を
店があるのは地下鉄西新駅から南に徒歩10分ほどの住宅街。店構えはいわゆる普通のカフェと変わらないが、メニューが個性的だ。

メニューのレシピ作りを担当する弟の貴大さんは、「レギュラーメニューももちろんありますが、当店の最大の特徴は各国独自のアレンジコーヒー、アレンジティーを楽しめる点。『北米』『ヨーロッパ』『ラテンアメリカ』『中近東・アフリカ』『アジア・オセアニア』と、世界を大きく5つのエリアに分け、およそ4カ月ごとに各エリアのメニューを出すようにしています」と説明。

各エリアで親しまれているコーヒー、紅茶のメニューを期間限定で用意し、例えば2022年4月はアジア・オセアニアのドリンクメニューが並ぶ。ベトナムコーヒー(550円)、エッグコーヒー(650円)、レッドタイ(600円)、マジック(600円)など、一般的なコーヒーショップではなかなか目にしないメニューばかりだ。

貴大さんは、もともとパティシエを目指し、フランスへの留学経験もあることから、菓子作りもお手のもの。定番のスイーツとして、ポルトガルのエッグタルト(350円)、オーストラリアのラミントン(450円)、トルコのバグラバ(400円)など、世界各国のスイーツを用意している。現地でポピュラーなコーヒーや紅茶と、スイーツのペアリングを楽しめるのも「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」の魅力の一つだ。

■コーヒーひとつとっても選択肢はいろいろ
コーヒー系のドリンクに使用する豆は大きく2つ。1つはスペシャルティコーヒーで、福岡市・高砂にあるFILTER SUPPLYから仕入れている。使っているのは(2022年4月現在)、エチオピアのコチャレ地区のナチュラル(※2)。風味が個性的でエスプレッソマシンで抽出し、ミルクなどと合わせることで、より華やかなフレーバーが引き立つ印象。もう1つはイタリアで親しまれているエスプレッソ用の深煎り。どちらもエスプレッソマシンでの抽出が基本で、ドリップコーヒー(470円)にはスペシャルティコーヒーを用いる。

研究・実験をテーマにしていることから、イタリアの深煎りコーヒー、スペシャルティコーヒーの味わいの違いを体験できるエスプレッソ飲み比べ(550円)を用意。さらに、仕入れ先であるロースターから数珠つなぎで次のロースターをレコメンドしてもらう、リレーコーヒー(570円)といったメニューがあるのもユニークだ。

兄の雄大さんは、「私自身、世界中を巡り、現地にしかないコーヒーや紅茶を使ったアレンジドリンクをたくさん目にしました。ただ、初めて訪れた国では、どんなメニューかわからないことから、無難に一般的なコーヒーをオーダーすることもありました。せっかく現地のコーヒー、紅茶文化に触れられるチャンスなのに、それはすごくもったいない。弟の貴大もさまざまな国を訪れて、そういった経験をしたことが少なからずあったそうで、それであれば海外に行く前に各国のアレンジコーヒーや紅茶を飲める場所を作ろうと開業を決めました」と話す。

■一杯のコーヒー、紅茶、スイーツが視野や世界を広げる
現地で体験した味わいを日本で再現するだけでなく、自分たちの旅先での経験からヒントを得た『The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-』。店がオープンしたのは2019年11月。ちょうどコロナ禍になる直前だったことから、旅に出発する前の情報収集の場にもしたいと考えてのことだった。コロナ禍により海外への渡航が難しくなり、なかなか当初の予定通りにはいかなかったそうだが、雄大さんも貴大さんも、前を向き続ける。

貴大さんは「また以前のように海外に気兼ねなく行ける日が訪れた時に、私たちの経験が活かされたら良いなと思いますし、渡航できない今だからこそ、当店で世界各国のカフェカルチャーに触れていただけたらと思っています。私たち自身、さまざまな国を訪れ、その経験は自身の世界を広げてくれるということを実感しました。それを多くの人に伝えていきたい」と意気込む。

旅好き、コーヒー好き、紅茶好き、酒好き…。なにより人と話すのが好き、という人におすすめしたいカフェ&バー。自家製コーラ(500円)、自家製発酵系ジンジャーエール(500円)、香港式クラブサンドイッチ(1000円)など、コーヒー以外のメニューもオリジナリティにあふれているので、さまざまな楽しみ方ができそうだ。

■平田さん兄弟レコメンドのコーヒーショップは「FILTER SUPPLY」
次回、紹介するのは福岡市・高砂にある「FILTER SUPPLY」。
「レギュラーで使うコーヒー豆は『FILTER SUPPLY』さんから仕入れさせていただいています。オーナーの柴田さんが焙煎された豆は個性がしっかり感じられ、私たちの表現したいコーヒーの味わいにピッタリなのがその理由です。私と柴田さんは同い年なのですが、常に新しいことにチャレンジする姿勢も持たれていて、刺激を受けることも多いです」(貴大さん)

【The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-のコーヒーデータ】
●焙煎機/なし
●抽出/ハンドドリップ(Kalita ウェーブドリッパー、HARIO V60など)
●焙煎度合い/中煎り、深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/応相談

※1…エスプレッソの一種。エスプレッソと同量のコーヒー粉で、エスプレッソよりも少ない湯量で抽出する。結果、エスプレッソよりも濃度が高い液体となる
※2…収穫したコーヒーの実を、そのまま果肉がついた状態で天日干しする方法

取材・文=諫山力(Knot)
撮影=大野博之(FAKE.)




※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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