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リアルすぎるミニチュア玩具「ぷちサンプルシリーズ」がついに“推し活”に!人気の理由は「妄想力」?

  • 2022年4月1日
  • Walkerplus

1990年代後半から2000年代前半にかけ、突如として巻き起こった“食玩ブーム”。子供だましではない精巧なつくりが注目を集め、タイムスリップグリコやチョコエッグ、さらには松本人志が手掛けた「世界の珍獣」が登場するなど一大ムーブメントに。

その盛り上がりのなか、飲食店の店頭などで目にする食品サンプルをミニチュアサイズで商品化した「ぷちサンプルシリーズ」が誕生。次々とリリースされる商品はほかに類を見ない世界観を構築しており、全種類を集めようと躍起になる人が続出した。玩具店やバラエティショップで見たことがある人も多いのではないだろうか。

そこで今回は発売から20年を迎えることを記念し、「ぷちサンプルシリーズ」の誕生秘話や最新作について、発売元である株式会社リーメントの鈴木織恵さんに話を聞いた。

■第1弾は「和食」がテーマ!看板商品の誕生秘話
携帯電話につけるストラップやビールサーバーなどの雑貨商品を企画開発・販売していた株式会社リーメントが、最初に「ぷちサンプルシリーズ」を手掛けたのが2002年のこと。

「大人の間で食玩やミニチュアに関心が高まっているなかで、そのニーズに合致する商品を開発しようという動きがあったと聞いています」と、鈴木さん。そこで第1弾として登場したのが、和食屋の食品サンプルをテーマにした『和食処』だった。

特上うな重、盛り蕎麦、特上寿司、特上天丼、とんかつというラインナップで、そのどれもがまるで本物のように細かく作り込まれている。例えばうな重にいたっては、蒲焼のタレがごはんに染み込んだ様子も表現されているほど。鈴木さんは、「第1弾から大きな反響を得ることができ、本格的にぷちサンプルシリーズが当社にとって大切なものになっていきました」と話す。

■累計数百万個を売り上げたのは「家庭料理」
これまでに約200シリーズ以上も手掛けているなかで、最もヒットした商品はどのようなものだったのか。鈴木さんによると、いくつかの商品で累計販売数が数百万個に達したシリーズがあり、その代表が2005年2月にリリースされた『ごはんま〜だ?!』だったという。

調味料から調理器具、それを使って作る料理の数々がそろうこの商品。中身はというと、みそ汁、厚焼き卵、焼き魚、ピザトースト、カレー、ロールキャベツ、梅酒、焼き餃子、えびフライ、お皿洗いに使用するグッズ類など、よくもここまで細かく作り込めると感動してしまう。

「圧倒的に女性のファンが多いので、身近な世界観のほうが好まれるんです。だからよりリアルに表現するために、『ここまでやるか?』と思うような細かい企画設定から造形、彩色に至るまでディテールには凝りますよ(笑)」

■「これはボツだろう」を現実にするコツは“妄想”!?
こうした商品は一体どのような過程で生まれているのか。なかでも、企画の根本であるアイデアを固めていく作業について鈴木さんに聞いてみた。

「企画会議は月に2回です。10名ほどの社員がアイデアを持ち寄って、話し合いをしながら決めていきます。ニーズの高いテーマや、今までやったことのないテーマをどんなふうに落とし込んだらいいか、それぞれの考えや妄想を形にしていく作業ですね」

当然、採用にいたらないボツ企画も数多くあるというが、話し合いを進めていくなかで「これはボツだろう」と思われた企画が採用されることもあるんだとか。また、ファンがSNSに投稿した要望が目に留まり、商品化が実現されることも。それが男性の1人暮らしの部屋をテーマにした『俺んち来る?』だったそう。

「ぷちサンプルシリーズで男性の部屋をテーマにするのが初めてだったので、家主をどういうキャラにするかが難しい点でしたが、担当者が細かい部分を作り込むアイデアをたくさん持っていました。できあがったときには、床に転がるダンベルや迷彩柄のボクサーパンツ、元カノとのプリクラなど、いわゆる“陽キャ”っぽい設定だったんだなと(笑)」と鈴木さん。話を聞いているだけで、社員が心から楽しみながら商品作りをしているのが伝わってくる。

■時代を追うごとにマニアック度とリアリティが加速!
これまでにリリースされた商品のなかから、筆者が特にインパクトが強いと感じたシリーズをご紹介。まずは、2005年に登場した『ぷちドラッグストア』『韓国ツアー』『郷土めぐり』の3つ。どういう観点から「これはおもしろくなりそうだ」という結論にいたったのか、その過程をのぞいてみたくなるシリーズだ。

そして時代を追うごとに、まるで針に糸を通すかのような細やかで、ニッチすぎる世界観を追い求めていく。ザッと羅列していくと『アイ・ラブ・ハワイ』『おばあちゃん家』『世界の機内食』『ヨーロッパのおばあちゃん自慢の料理』など。どれもなかなかマニアックなテーマだが、鈴木さんによると「時代を反映していたり、その時の“リアル”はどういった形で表現できるかなど、そういう基準で企画が決まっていきます」という。

なかでもひときわ筆者の心に残った、2006年発売の『やっぱりコンビニ』も挙げておきたい。灯台下暗しのごとく「その手があったか」と思わず膝を打つアイデアで、タイトルに“やっぱり”が付く意味も深くうなづける。

■期待の最新作は?「推し活」すらもミニサイズに!
「時代を反映する」という意味では、2022年5月に発売されるシリーズがその最たる例と言えるだろう。“今日も推しが尊くて まじで神〜♡”というキャッチコピーが添えられた、『推しのいる生活』だ。

“推し”のアイドルがいる女性の部屋をテーマにしたもので、Twitterで告知をしたところ、すでに熱いメッセージが次々と寄せられているという。

「ぷちサンプルシリーズそのものが神」「(小物アイテムの)チケット振込用紙に時代を感じる」と話題になり、該当ツイートには2万件ほどのいいねが付くほどに。ディテールもよりリアリティが増し、応援用のうちわがすっぽり収まるバッグや、アクリルスタンドなども推しがいる人の心をくすぐるはずだ。『俺んち来る?』と同じく、部屋の主の人物像が想像しやすいのもポイント。

発売から20年、新たなアプローチでまだまだファンを増やし続ける「ぷちサンプルシリーズ」。今後見かけた時には、どんな企画会議の末に販売にいたったかまでを想像するとより楽しめるかもしれない。

取材・文=橋本未来

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