
東京2020オリンピック・パラリンピックを支えたパートナー企業の“知られざる裏側”を紹介するWEB動画『THE BACKGROUND』に、警備会社のALSOKが登場。執行役員 東京オリンピック・パラリンピック推進担当の吉田浩儀氏が出演し、国内最大規模であたった東京2020大会の警備業務について振り返った。
■国内最大規模の警備体制が敷かれた東京2020大会
「東京2020オフィシャルパートナー(セキュリティサービス&プランニング カテゴリー)」契約を締結した同社は、民間警備会社の先頭に立ち、東京2020大会をサポートした。これを振り返った吉田氏は「今大会では、多くの警備員が必要、1日1万4000人が必要だということが言われていました。しかし、この人数は1社2社でまかなえるものではなく…」と、苦労があったことを告白。
「これまでの2012年ロンドン大会、2016年のリオデジャネイロ大会では、オリンピックパークという大きな公園に選手村や競技場ができて、その中をしっかり警備するということだったのですが、東京2020大会の場合はそういった公園ができなかったんです。札幌から静岡まで分散した形になったんですね。ですので、それぞれに警備員を準備しなければなりませんでした。1日1万4000人を『どのように集めるか』が課題になり、たどり着いた答えが、警備共同企業体『警備JV』。その共同代表に当社がならせていただいて、延べ51万7000人が警備を支えました」と吉田氏。この警備JVには、47都道府県から553社が参加。オールジャパン体制で東京2020大会を警備したという。
この巨大な警備プロジェクトにプレッシャーはなかったのだろうか?
「そうですね。実はロンドン大会、リオ大会と2大会連続で、オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会や国と約束した警備員の人数が集められず、結局、軍や警察が投入されました。そうした意味では2連敗ですから、東京2020大会で3連敗になるのは、まかり成らんと。強いプレッシャーをいただきながらも、『何としてでもやらなくてはいけない』と臨みました。結果は無事に終えられたかなと思っています」(吉田氏)
■開催直前で警備計画を見直し
また同社は、警備JVの中心として警備計画の作成も担ったが、開幕直前に大会の仕様が変更されることも多く、大きな影響を受けたそうだ。
「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で無観客開催になり、直前の計画見直しがありました。組織委員会から、『この競技場はこういう感じで警備してほしい』とオーダーがあり、それを元に我々が警備計画を作って提出するのですが、確か、予選が始まる2週間前くらいに、有観客か無観客というのが決まったと思うので、そこで先ほどの警備計画は見直しに。直前に『ここに警備は必要ない』『その替わりにこちらにもっと人数が必要だ』という風になり、人員の配置を変えていきました」と、臨機応変に対応していったことを明かした。
■大会史上初の試み!熱中症対策も計略を巡らせていた
さらに、「コロナがなければ、東京2020大会の1番の関心事は“暑さ対策”だったと思います。それに対し、我々も早い段階から詰めていて」と吉田氏。
「通常は各社、バラバラの制服なのですが、今大会では通気性が良く、軽く、汗をかいてもすぐに乾くという“統一制服”を採用していただいて。大会史上初めて、警備員の飲料水の携帯も認めていただいたり…。そのおかげで、重篤な熱中症にかかった者は1人も出ませんでした」と、今大会ならではの出来事についても振り返った。
■1964年東京オリンピックから深い関わりがあるALSOK
最後に吉田氏は、「当社は1964年東京オリンピックの翌年、1965年に創業しました」と、オリンピックとの縁についてコメント。
「実は創業者は、1964年東京オリンピックの組織委員会の事務局次長で。そのとき、民間警備会社はそれほど多くなく、それほど認知されている存在でもなかったのですが、『今後は日本でもしっかり警備会社を作って育てていかなくてはいけない』と誕生させたのがALSOKだったんです。ですから、今回の東京2020大会は、会社を作ってもらったという恩返し。私自身、この仕事に8年、付きっきりで従事しまして、良い経験をさせていただいたなと」と、今大会に対する特別な想いも語っていた。
映像提供:NewsPicks Studios
素材提供:ALSOK