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細田佳央太「上白石萌歌ちゃんに救ってもらった」最新映画で共演

  • 2021年8月20日
  • Walkerplus

「マンガ大賞2015」2位にランクインした田島列島の同名漫画を原作に、沖田修一監督がメガホンを取った映画『子供はわかってあげない』。8月20日(金)から公開となる本作は、上白石萌歌演じる水泳部の朔田美波(さくた・みなみ)が、幼い頃に別れた父親を探し再会する、ひと夏の出来事を描く。

アニメオタクという共通点で美波と仲良くなり、父親探しに協力することになる書道部の“もじくん”を演じたのは、映画『町田くんの世界』のオーディションで1000人の中から主役を射止め、注目を集めた細田佳央太。ドラマ「ドラゴン桜」での活躍も記憶に新しい細田に、本作の撮影を通して感じたことや、自身への評価についての思いを教えてもらった。

■もじくんの柔らかさや温かさに憧れる
――オーディションで役が決まったそうですが、この作品に惹かれたポイントと、脚本を読んでの印象を教えてください。

【細田佳央太】オーディションを受けるにあたって田島さんの作品を読ませていただきましたが、すごく温かい世界観に惹かれて、絶対にやりたいと思いました。ただ、いざ脚本を読んだ時は、もじくんを僕が演じられるのか?という気持ちや、自分との共通点も見つけられなかったので、どう役を作っていこうか…という不安もありました。

――もじくんは原作と映画で少しキャラクターが違いますが、映画のもじくんは細田さん自身に近いのかなと感じました。

【細田佳央太】本当ですか?もじくんが持っている柔らかさや温かさは、自分にはないものだと思っているので、すごく羨ましいです。でも、撮影前のリハーサル期間に、沖田監督が「もじくんらしさはセリフで散りばめているから、あとは細田くんが演じてくれれば」と言ってくださって。自分ではわからなくても、監督やほかの人から見たらリンクしているところはあるんだろうなと思います。

――もじくんと比べて、細田さんはどんな感じですか?

【細田佳央太】もじくんは、誰かの意見を否定せずに受け止めてあげられる子なんだろうなって思います。一方、自分にはすべての人を受け止めてあげられるような、そういう柔らかさはないかもしれないです。

――もじくんが書道部ということで、役作りで書道をやられたそうですね。

【細田佳央太】中学生の頃、1年間だけ書道を習っていたんですよ。書道をしていると気持ちが落ち着きますし、もともと字を書くことは好きで、「この感じ、久しぶりだな」と懐かしくなりましたね。助監督さんが書道をやられていた方だったので、リハーサルの時にマンツーマンで教えてもらいました。

■上白石萌歌との共演は「朔田さん役が萌歌ちゃんで良かったなぁ」
――上白石萌歌さんとの共演はいかがでしたか?

【細田佳央太】そのまんま、朔田さんという感じでした。今回、萌歌ちゃんとはお芝居や役の話って特にしていなくて、本当に何気ない会話ばかりしていたんですよ。でも、そういうことを通して、彼女に芝居を引っ張ってもらった部分もきっとすごく大きくて。朔田さんともじくんの雰囲気みたいなものが、撮影の合間の他愛ない会話から出来上がったものなのかなと思うと、朔田さん役が萌歌ちゃんで良かったなぁ、救ってもらっていたなぁと思いますね。

――芝居をするうえで自分に足りないものを考えている、とお話されている記事を拝見したのですが、今回の撮影を通して新たに掴んだものはありますか?

【細田佳央太】それこそ萌歌ちゃんを見て感じたことですが、役に対する向き合い方とか、責任みたいなものが自分には足りなかったのかもしれないなと思います。その時の自分は100%でやっていたつもりなんでしょうけど、今振り返ると、本当にちゃんとできていたかな、向き合えていたかなっていう疑問がありますね。この作品があったからこそ、役に対しての向き合い方を自分の中で改めて考えることができたと思います。

――上白石萌歌さんの役への向き合い方は、どういうところが自分と違うと感じたのでしょう?

【細田佳央太】撮影中に体当たりで芝居をして役と向き合っている姿を見ていましたが、その時は自分との違いを頭で理解しているというより、なんとなく肌で感じていたように思います。ただ、出来上がった映画を見た時に、役の完成度の違いを実感して。僕はいつも、作品に集中して試写を見ていても、自分が出てくるとそっちに目線がいって反省ばかりになっちゃうんですけど…。でも、現場で見ていた萌歌ちゃんを映像で見て、スタンスの違いをやっと頭で理解できた感じでした。

――細田さんは、撮影をしていたときの上白石さんと同じ19歳になりましたが、同じ年齢になって何か感じることはありますか?

【細田佳央太】当時の萌歌ちゃんは、背負っているものが僕より多くて、今の自分よりもっと“どっしり”されていた印象でした。あの時の萌歌ちゃんから感じたものを、同じ歳になった自分が持つことができているのかは、わからないですね。自分のほうが子供に見えちゃうから、あんまり照らし合わせたくないですけど…(笑)。

――兄の明ちゃんを演じた、千葉雄大さんとの共演についても伺いたいです。

【細田佳央太】千葉さんとは普通のお話しをする機会が多かったんですが、千葉さんって安心感があるんですよね。休憩時間に話しかけてきてくださって、そういうコミュニケーションがあって役柄の兄弟関係を築けたんだと思います。

年上の兄弟を演じる方と接するのが初めてだったんですけど、受け入れてもらったというか、確かに繋がりを感じたんです。それは、千葉さんのおかげで安心感を得られたからだと思うので、現場でそういう感覚を人に与えられるってすごいなと思いました。

■大人になっても自分が正しいと思ったことは言うべき
――作品タイトルにちなんで、細田さんは子供と大人の境界線はどこにあると思いますか?

【細田佳央太】ただのわがままか、正しいわがままかっていうのが境界線かなって思います。大人になるって多分、自分が思っていることが言えなくなったり、気持ちをこらえなきゃいけない瞬間が子供の頃より多くなると思うんですよね。

子供って言われたことに対して素直に反応するから喧嘩もするけど、大人になると衝突を避けるようになるじゃないですか。だからって全部をこらえたほうがいいとは僕は思っていなくて、わがままとか何もわかってないとか周りに言われたとしても、絶対に自分が正しいと思ったことは言うべきだと思うんです。そこに芯が一本通っていたらいいんじゃないかなって。

ちゃんと理由があって思ったことを言えるのが大人で、自分の感情で理由のないわがままをいうのが子供、ですかね。

――では、細田さん自身について、大人だと思う部分や子供だと思う部分を教えてください。

【細田佳央太】う〜ん。周りからは大人だねって言われることが多いですけど、自分では子供だなと思うところしかないですね。感情が顔に出やすいですし、思ったことをそのままスパっと言っちゃったりしますし。まだまだ全然子供だと思います(笑)。

■好きな子ができたら…周りから見たらバレバレかも
――『町田くんの世界』で演じた町田一(まちだ・はじめ)も本作のもじくんも、恋愛に奥手な男性でしたが、細田さんはどんなタイプですか?

【細田佳央太】2人で出かけたとか、こんなことをされて好きになる、みたいなことはなくて、時間ですかね。1年間くらい友達だと思っていた子に対して、いつの間にか「もしかして、好きなのかも?」って気付くような感じが多いです。

――友達だと思っていた子を好きだと自覚したあと、その相手への態度などは変わりますか?

【細田佳央太】その子に対して態度が変わっているのかは自分じゃわからないですけど、授業中に目で追う回数が多くなったりはしましたね(笑)。結構わかりやすいって言われるので、自分ではそんなつもりがなくても周りから見たらバレバレなのかもしれないです。

――ちなみに、こんな子がタイプ、というのはあるんですか?

【細田佳央太】芯がある子が好きですね。高校生とかの多感な時期って、人の噂話に流されたりすることも多いじゃないですか。自分は相手をよく知らないのに、良くない噂を聞いて敬遠しちゃうとか。でも、そういうのに流されずに自分を持っている人がいいなと思います。

■「自分も頑張ろう」と思ってもらえる存在になりたい
――『町田くんの世界』で主演に抜擢されたことに加えて、「ドラゴン桜」では発達障害をもつ原健太(はら・けんた)を演じ、演技力が評価される場面が増えてきていると思います。それに対して、どう感じていますか?

【細田佳央太】あまり気にしていないですね。というのも、「ドラゴン桜」の東大専科のメンバーは6人みんなすごいんです。自惚れた瞬間に、ほかの人に食われてしまうような現場なので、そういう評価はあまり意識しないようにしていました。あと、評価してもらえること自体はとてもありがたいですし、自信にもなるんですけど、それはあくまで健太のおかげなんです。健太を受け入れてフォローしてくれる周りの人たちのおかげだったり、監督が僕の演じる健太のいいところを引き出してくださったりした結果で、決して僕の力じゃないと思っています。

――切磋琢磨する現場で、すごく努力もされているんじゃないかなと思うのですが、そういうのは表に出さないタイプですか?

【細田佳央太】見せない人が理想です。ただ、「ドラゴン桜」の現場で、控室とかで演技プランについて話していたとき、「そんなとこまで考えてるんだ」みたいに言ってもらったりしたので、無意識に出してしまっている側面もあるのかもしれません。僕が努力していると思ってくださることがあれば、それをきっかけに自分ももっと頑張ろう、と思ってもらえたらうれしいです。そういう存在になれたらいいなと思います。

――天才肌に見られるよりも、努力している部分に共感してもらいたい?

【細田佳央太】そうですね。多分、天才はいないんですよ。みんな本当に死ぬほど陰で努力してるはずだから、あんまり天才って言われたくないんじゃないかなと思います。

――では最後に、夏休みの出来事を描いた作品ということで、細田さんの夏休みの思い出の場所について教えてください。

【細田佳央太】中学の頃、小学生の時から仲がいい友達とその家族のグループ10人くらいで軽井沢に行ったんです。僕は小中の記憶があまりないんですけど、あんなに大人数でそういう旅行をしたのが初めてだったからか、それはすごく印象に残ってますね。子供同士で遊ぶのはもちろん、親たちも一緒に楽しんでましたし、大人はお酒を飲んでおもしろくなっている人もいて、みんなでワイワイしている空間がすごく思い出に残っています。

スタイリスト=岡本健太郎
ヘアメイク=菅野綾香(ENISHI)
撮影=大塚秀美
取材・文=大谷和美

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