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【漫画】古くなって廃棄されるべきはロボットか人間か。奇妙な後味にハマる!

  • 2021年7月28日
  • Walkerplus

日常と非日常が混同し、読んだ後はハッピーでもなくバッドでもない奇妙な気持ちになる掌編漫画「物語断片集」をTwitterやブログで配信しているミヤギトオル(@mitume333)さん。6月にウォーカープラスで紹介した際は、独特な世界観に引かれる人が続出し好評だった。

今回は、数ある掌編漫画の中でも人気の、宇宙人や妖怪、ロボットなどが違和感なく人間の世界に入り込んだ作品をピックアップ。ミヤギさんの思いやこだわりと共に紹介する。もしこんな世界があったら、もしこの宇宙人や妖怪に出会ったら自分は何をしてどう感じるのか、など想像しながら読んでみてほしい。

■非日常の中にリアリティも追及
まず一つ目の作品は、街から街を渡り歩いて雨を降らせる妖怪が登場する「金曜日のあめふらし」。

漫画の内容やキャラクターは日々生活している中でふとした瞬間に思い付くというミヤギさんは、「雨の日、外から帰宅した時に、妻がワンピースを脱ごうとした姿が、漫画に出てくる妖怪あめふらしのようだったので、そこからイメージして描きました。主人公が妖怪を家に招いて飲み物を出したり、一緒にお菓子を食べたりして過ごすだけなのですが、特に事件が起きないところが気に入っています」と話す。

妖怪との出会いに戸惑いつつも、しっかりとおもてなししようとする主人公が印象的だ。工夫したところを尋ねると、「終わり方です。夢なのか現実なのか曖昧にして、少しでもあめふらしの存在にリアリティを持たせようとしました」。こんなかわいらしい妖怪なら、「もしかしたら、会えるかもしれない…」と、雨の夜がちょっと待ち遠しくなる。

二つ目は、突如現れた妖怪と部屋探しをする「内見小僧」。

「不動産の方と物件巡りをしている男性を見かけて、その男性の横を小さな妖怪がついていくイメージがふと頭に浮かびました。その時はとりあえず『内見小僧』とスマホにメモをして、後から家を失った座敷童というアイデアを追加しました」とミヤギさん。

内見あるあるの話かと思いきや、最後の良い家を探し続ける座敷童(内見小僧)の姿を見ると切なくなってくる。

三つ目は、古くなってゴミと一緒に廃棄されることが決まった家庭用ロボットがまさかの復讐をする「PINOKIO」。

「自宅で仕事中に、ラジオから『いらなくなった農機具の買取』のCMが流れてきました。軽快なBGMにのせて『いらなくなった農機具買い取りまぁ~す』と歌っているのを聴いた時、壊れたロボットを回収して周っているトラックの絵が浮かんでスケッチしたのが『PINOKIO』を描いたきっかけです」

復讐劇だと思えばスカッとするが、不要となって廃棄されるべきはロボットなのか、人間なのか…ちょっと残酷で複雑な気持ちになる話だ。

■没入できる世界観で読者を魅了
なんとなく感じた寂しさや悲しさ、不思議さなどを短い漫画の中で表現するミヤギさん。「妖怪や宇宙人が多く登場するのは、子供の頃から水木しげる先生の妖怪本や、宇宙人の映画や本などが好きだからです。漫画を描こうとすると自然と『不思議な存在』が出てくる話になりますね」と語る。

先に紹介した三作品の他にも、主人公の少年がハムスターのような生き物と宇宙語で会話をする「ハムスター」や、宇宙人が人間の“頭をなでる”という行動に興味を持つ「頭の大きな宇宙人」なども、人間とそうでないものが触れ合うことで不思議な世界観が生まれている魅力的な作品だ。

「心がほわっとした」「なんかホロッとした」「優しさの輪が広がってほしい」など、ファンになる人が増えているミヤギさんの作品は、読む人の心を漫画の中の世界へと引きずり込む力があるようだ。今後、私たちをどんな世界へ誘い、どんな気持ちにさせてくれるのか、楽しみで仕方がない。

取材・文=重藤歩美(関西ウォーカー編集部)

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