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倉科カナ、10年の苦しさを乗り越えて「メッセージよりもエネルギーを与えたい」

  • 2021年7月1日
  • Walkerplus

「週刊少年マガジン」で約8年にわたり連載され、累計発行部数は3700万部を突破している人気コミック「七つの大罪」。その『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』が7月2日(金)より公開される。劇場版第2作となる同作は、テレビアニメの最終章「七つの大罪 憤怒の審判」の“その先”が描かれた完全オリジナルストーリー。そんな同作で、ヒロイン・エリザベスの母であり、 女神族を総べる「最高神」の声優を務めるのは、女優の倉科カナだ。

倉科といえば、2006年に芸能界デビューをし、2009年にはNHK連続テレビ小説「ウェルかめ」で主演に抜擢。以降、映画やドラマ、バラエティ、舞台などで幅広く活躍中だ。今回は、芸能界デビュー15周年を迎える倉科に、仕事における楽しさと苦しさについて語ってもらった。

■声優さんへのリスペクトが深まった
――まずは、謎に包まれた存在「最高神」という役を声だけで演じた感想を教えてください。

【倉科カナ】もう、とにかく難しかったです。声だけの表現というだけでも難しいのに、人ではない最高神という役どころゆえに、感情をどこまで出すのが正解なのかがわからず…。アフレコをしながら、演出家さんのアドバイスを取り入れて、なんとかやり切ることができました。

――普段、かなり幅広い役柄を演じている倉科さんでも、声だけの演技は難しいと感じられるのですね。

【倉科カナ】そうですね。お芝居は光だったり、まつ毛の動きだったり、全身の細かい動きが感情を伝える手段になるのですが、声だけの演技は、例えばなにかを持つ仕草や、ドアを開けるシーンなど、すべてを音で表現しなければならないんです。なので、呼吸や息の漏れ具合など、一つひとつが大切になってくるんですよね。

しかも、アフレコ段階で相手の声が入っていないこともしばしばあって、そういう時は相手がいることを想定して、リアクションをしなければいけない。絵が想像できない中で演じることの難しさも感じました。俳優と声優、同じエンターテインメントではあるけれども、こんなにも違うものなのかと改めて思いました。

――今回のアフレコで、ほかのキャストさんと共演した際のエピソードがあれば教えてください。

【倉科カナ】雨宮(天)さんが「(声優は)どんなに気持ちが動いていようとも、声で表現できていなければ伝わらない」というようなことを仰っていたのが印象的でしたね。お芝居の場合は、感情が動いていたら無表情でも意外と伝わるんです。でも、声の場合は明確に音としてのせないと意味がない。それが命なんだなって思いました。

その話を聞いてからは、今まで以上に声優さんへのリスペクトが深くなりましたね。最近はアニメを見ていても「どうやってこのシーンを録ったんだろう」と考えちゃいますね。

■「見たことのない倉科カナを見たい」が転機に
――2006年にデビューし、早くも15年が経ちました。15年を振り返り、ご自身にとって転機となった作品はありますか?

【倉科カナ】朝ドラに出られたのは大きいですね。デビューの時から、明確に立てていた目標だったというのもありますし、街中で役の名前で呼ばれることが増えたので、倉科カナという存在を知っていただけるきっかけになったのかなと思います。

あとは「名前をなくした女神」というドラマで、初めて悪女を演じたのも大きかったですね。実はこの役、プロデューサーの浅野澄美さんから「今まで見たことない倉科カナを見たい」ってオファーしていただいて、挑んだ役なんです。

これまで見たことのない役をオファーするのは、とても勇気がいることじゃないですか。なので、その期待に応えたいなという思いもありました。あの作品がなかったら、今の私はないんじゃないかなと思うぐらい、今でも大切に思う作品です。

――それまでの役とは打って変わった雰囲気の役を演じることに、抵抗はなかったのですか?

【倉科カナ】なかったですね。役柄をいただいて、改めて自分を見つめ直す機会があり、その中で気付きも多いので、新しいことに挑戦させてもらえるのはすごくうれしくて…。むしろ、燃えます!

■仕事の苦しいと楽しいの割合は8:2
――デビューから10周年のころのインタビューで「この10年は苦しかった」と仰っていたのが印象的でした。そこから5年経った今はいかがでしょう?

【倉科カナ】少し楽になってきました。全部を全力でやると効率というか自分の中でバランスが悪いことにようやく気付いて、少し力を抜いて良いパフォーマンスができるようになりました。相変わらず苦しさはあるのですが、その中で楽しさを見出すことが上手になりましたね。

――苦しさと楽しさを割合で表すと、どうなりますか?

【倉科カナ】苦しいが8割で、楽しいが2割ですかね。

お芝居って際限がないので、どんどん沼に陥ってしまうんです。もっと上手くなりたいとか、もっとこういう表現ができなかったんだろうかとか、なんで緊張しちゃったんだろうとか…。常にmoreが多く、無限に正解があるので、苦しさはぬぐいきれません。

――苦しさの中にある楽しさとは、どんなことなんでしょう?

【倉科カナ】例えば、空き時間に共演者の方と雑談することとか、仕事が終わったらビールを飲もうとか、些細なことです。厳しいことの中に目標を見出しても、基本的にはキツくなっちゃうので、瞬間的に意識を逸らすことを大切にするようになりました。

■目指すは、メッセージ性よりもエネルギーを与えられる女優
――2020年コロナ禍において、仕事への考え方に変化はありましたか?

【倉科カナ】変化ではないのですが、エンターテインメントの力を再確認しました。どうしても暗いニュースが多く、苦しい時期が続いている中で、エンターテインメントを通して人の心を動かし、少しでも明日を生きる活力を感じてもらえるなんて、とてもやりがいのある仕事だなと思いました。それを受けて、今後どんな女優さんになりたいかということを考え続けましたね。


――どんな女優さんになりたいのか、聞かせてください。

【倉科カナ】「この人!」というのではなくて、スケールが大きいことなんですが、世の中の平和や平穏のきっかけになりたいなと思いました。

私は政治家にはなれないし、そんな影響力もない。でも、人が持つ“感情”という共通項を扱う仕事をしている。だから、見てくれている人と芝居を介した会話をして、誰かの心を救えたり、前向きになれる力や、何かを考えるきっかけを与えられる女優さんになりたいなって思いました。

メッセージ性がある人というよりは、作品を通して観て頂いて何かプラスになるようなエネルギーを与えられるようになるのが目標です。

取材・文=於ありさ
撮影=友野雄

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