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中田英寿がシェアしたい“日本の新たな価値”「手もみ茶の匠『茶工房比留間園・比留間嘉章さん』」

  • 2021年5月28日
  • Walkerplus

中田英寿氏が47都道府県を旅して出会った日本の「わざ」と「こころ」。日本のことを知るために47都道府県を巡る中田氏の旅は6年半におよび、移動距離は20万キロになった。その間、訪れた地は約2000に。そこで中田氏は、現地に行かなければわからない、素晴らしき日本があることを知った。

ウォーカープラスでは、中田氏の「に・ほ・ん・も・の・」との共同企画として、珠玉の“にほんもの”をお届けする。

中田英寿
「全国47都道府県の旅で出会ったヒト・コトを、”工芸芸能・食・酒・神社仏閣・宿”に分けて紹介。日本文化を多くの人が知る『きっかけ』を作り、新たな価値を見出すことにより、文化の継承・発展を促していきたい。」

今回は、手もみ茶を生産する茶工房比留間園の比留間嘉章さんを紹介。「手もみ茶」と聞いて、どんなお茶かわかる人は、相当な通だろう。一般的な日本茶が茶葉を機械で乾燥させるのに対し、手もみ茶は熟練の茶師が長い時間をかけて、その名のとおり、手で揉みながら乾燥させるのだ。

熟練の職人によって仕上げられた手もみ茶は、1枚の葉を丁寧に巻いた針のような形状になる。最高級のものは1kgあたり100万円を超えることもあるというこの手もみ茶の伝統は、狭山茶で知られる埼玉県入間市で脈々と受け継がれ、そんな入間の見渡す限り広大な茶園が広がる金子台地に茶工房比留間園はある。

「他の産地は、茶農家、加工業者、販売業者と分かれているところが多いんですが、狭山茶の場合は、全部自分でやる人が多い。だから伝統の手もみ茶の技法が受け継がれているんだと思います」と比留間さんは話す。

比留間さんは、全国手もみ茶振興会の会長も務め、茶師の最高栄誉とされる農林水産大臣賞を7度も受賞している“極茶人”。そんな比留間さんが中田に手もみ茶の手ほどきをする。手もみ茶になるのは、収穫2週間前に茶木を被覆する玉露の最上級の一番茶、しかも手摘みした一芯二葉のみ。これを焙炉(ほいろ)と呼ばれる、下から弱く加熱して乾燥させながら茶葉に手作業を加えられるように工夫された専用の台で丁寧に手揉みしていく。

「揉み方にも順番があるんです。回転揉み、揉み切り、でんぐり揉み、こくり揉み。葉の温度と湿度を手で感じながら揉み方を変えていきます」と比留間さんは手もみ茶づくりのこだわりを語る。

焙炉の表面温度は40℃~50℃程度、蒸された茶葉が湯気をあげながら比留間さんの手によって“舞って”いく。こうして空気を送り込みながら徐々に乾かしていくため、長いときは6時間ほどこの作業を続けなければならないという。中田もチャレンジしてみるが、ひと抱えほどもある茶葉全体に均等に熱を加えるのは至難の業だ。

「手の感触だけでなく、色や匂いや重さを感じながら、丁寧に揉んでいきます。この感覚が身につかないと、いい手もみ茶はできないんです」と手もみ茶をつくる難しさを比留間さんは話す。

熟練の職人が手間ひまかけてつくる手もみ茶。飲み方は、2~3本の手もみ茶に、ほんの数滴の湯をかけて、その“しずく”を味わうというもの。これを口に含むと、数滴とは思えないほどの味わいが口いっぱいに広がり、なんともいえない幸福感が訪れる。綺麗に茶葉が開くと、乾燥前の茶葉そのものの姿が再現されるのもおもしろい。この茶が高価な理由は、飲めばわかる。かなりの貴重品だが、求めやすいよう少量から販売されているので、見かけたらすぐに買ってみることをおすすめする。

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