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チャコールペンシルで描かれる漆黒の動物たちがSNSで話題に!“瞳を描かない”理由に込められた思いとは?

  • 2021年5月3日
  • Walkerplus

デッサンなどで使用するチャコールペンシルで描かれた、モノクロームの動物たち。動物が持つ野生の力強さと儚さを表現し、展覧会を中心にSNSでも注目されているクリエイターの美沙乃さん(@MISANOpom)。

今回は美沙乃さんに、作品への思いや動物を描き始めたきっかけなどを聞いた。

■動物モチーフに込められた願い。「動物はとても純粋」
動物を描き、関西を中心に個展や展示を行う美沙乃さん。もともとは動物を描いていたのではなく、人物の顔を鉛筆で画面いっぱいに描く作品を制作していたという。そんな彼女が動物を描くことになったきっかけを話してくれた。

「たまたまインターネットで水中に墨を落とした様子の画像が目に入り、『鉛筆でこういうことができないかな?』と思って描いてみることにしました。以前から好きだった馬を描いてみようと、部屋に落ちていた適当な紙に描いたのが始まりです」

そのときに描いた絵を、当時関わりのあったアートディレクターに見てもらったところ、「この方向でやってみては」とアドバイスもらい、動物を描き続けていくうちにのめり込んでいったという。その頃に制作した「hope」というカエルがモチーフの作品がきっかけで、多くの人の目に留まるようになったそうだ。

動物をモチーフにし続けている理由について、「私たちが日々の生活の中で感じている『得も言えぬ感情』が積み重なって、いつしか美しい形へと成してくれることへの願いを込めているんです」と話す。

「人間には感じられない純粋さや、崇高で神秘的な魅力を動物に感じています。自分では消化しきれない感情が、いつか美しく、力強い命へと形を変えてくれたらすごく救われますよね。その願いをモチーフに込めています」

■“漆黒”の秘訣はチャコールペンシルにあり!
美沙乃さんの作品の特徴は、チャコールペンシルを使って漆黒で描かれるモノクロームの世界観。数々の作品を発表してきたが、今でも根強く人気なのが「恐慌」というザトウクジラをモチーフにした作品だ。

そのほかにも「オオカミやフクロウモチーフの作品も、SNSで多くの反応をいただきます」と美沙乃さん。美沙乃さんの作品を見て、何年にもわたり展示を見に来るファンができたり、「初めて絵を部屋に飾りたいと思った」という声がいくつも届いたりしたという。中には、作品をタトゥーにしたファンもいたとか。

美沙乃さんがチャコールペンシルを使う理由は、チャコールペンシルによって作られる墨を水中に落としたような表現が、「私たち人間に残留する、得も言えぬ感情を表すのにぴったりだったから」だそうだ。

「最初は鉛筆で描いていたのですが、光に当たったときのテカリが気になり、黒いところはもっと真っ黒にしたくてチャコールペンシルを選びました。そうしたほうがモチーフの生命力が強くなる気がして」

美沙乃さんに「どんな動物をモチーフにするのが好きか」と聞くと、「鳥と馬」と答えてくれた。「毛の長い動物は、毛の流れを考えながら描くのがとても好きで、最近は鳥のお腹あたりの羽毛を描くのも楽しいです。顔のシワを描いて『ウーッ』と怖い顔をした動物の表情を作っていくのも好きですね」と話す。

また、逆に描くのが大変な動物は「ヘビ」だという。「ヘビのうろこを描くのがとにかく大変で、『なんでこれを選んでしまったんや…』と思うこともあります(笑)。でも体のうねりがかっこよくて、ついつい描き始めてしまいますね」

ちなみに、美沙乃さんが飼いたい動物はモモンガ。「かわいいので、一度飼ってみたいです!」とうれしそうに答えてくれた。そのうちモモンガをモチーフにした作品も誕生するかもしれない。

■“瞳”を描かない理由。「『恋は盲目』のようなピュアさに」
美沙乃さんの絵をよく見てみると、“瞳”がない。これには美沙乃さんの「彼ら(動物)が盲目であってほしい」という思いが込められている。

「目が見えていないというわけではなく、『恋は盲目』のような感じです。周りが見えなくなるほど1つの感情を強く抱いている状態を表現するために、瞳を描いていません。盲目な時ほど、素直でピュアだと思うので」

動物に神秘的な魅力を感じ、それを水中に広がる墨のようにモノクロームの世界観で表現を続ける美沙乃さん。「私の絵が、見てくださる人の生活の一部となって寄り添えたら、すごくうれしいです。また、もっと絵を描いていたいので、これからも活動の場が広がるよう精進します」と、これからの活動について話してくれた。

どこか切ないのに、見る人に活力と感動を与える美沙乃さんの作品。今後はどんな動物を通して人々を救ってくれるのか。これからの美沙乃さんの活躍に期待が止まらない。

取材・文=福井求

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