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元自衛隊員が描く異形のモンスターが怖すぎる…! 10万人が注目する『有害超獣』とは

  • 2021年3月17日
  • Walkerplus

繊細で美しいタッチで描かれたモンスターのイラストからは、静かな迫力を感じられる。イラストレーター・Toy(e)さんの描く作品『有害超獣』がSNSを中心に注目を集めている。Twitterでは、「怖いけどカッコイイ」「見ているだけでワクワクする!」「世界観が秀逸すぎる」など、多くの反響が寄せられ、3月10日現在で10万フォロワーを突破。今回は、この『有害超獣』シリーズを描いたきっかけや、アイデアの源泉についてを、作者であるToy(e)さんに語ってもらった。

――『有害超獣』とは、どのような作品ですか?
「『区内』と呼ばれる島が舞台の物語です。突如として現れた超常の獣、通称『超獣』が跋扈(ばっこ)し始めて区内を破壊していく中、その災害に対抗する組織として区役所が立ち上げられたところからスタートしています。SNSではその対応記録の断片を紹介しています」

――『有害超獣』シリーズの創作を始めたきっかけを教えてください

「シリーズのプロトタイプは2017年11月に制作を始めました。そこから制作を続けるかたわら、少しずつ設定を組み立てていく過程で、『有害超獣』という名前も生まれました。制作のきっかけは、最初はある種の反骨心のようなものです。私はモンスターのイラストを描く仕事が好きなのですが、イラスト業界においてモンスターの描き方にはセオリーのようなものがあり、そこから逸脱することはタブー視されていて、なかなか自由にモンスターを表現することができませんでした。私はさまざまなモンスターを表現するには、セオリーに沿った画一的な制作よりも、それぞれの生態や能力に合わせた表現をした方が良いと思っていましたが、仕事ではそれを実現するのは難しいことを思い知りました。そこで、仕事とは別に個人の制作として、セオリーよりも自由に表現することを重視したイラストを描いて発表してみようと。出来るだけ多くの人に『こういう表現もアリじゃないですか?』と問いかけてみたかったのです。それがきっかけとなりました」

――作品には個性的なモンスターが多数登場します。それらを描く時のこだわりや苦労はありますか?

「好きでしていることなので苦労はありませんが、こだわりとしてはできるだけ取材を行い、それにもとづいて制作をするようにしています。有害超獣外の制作や仕事も合わせると、モンスターの制作点数は300体以上になります。動物園や博物館はもちろん、河川や山岳などさまざまな場所に赴いて『この土地にモンスターがいるなら…』と考えながらアイデアを練っています」

――中でも気に入っている有害超獣とそのポイントを教えてください

「最初期の制作として思い出深い『アカシンゴウ』やストーリーでメインの扱いを受けている『ヘキトウ』は気に入っています。特に『ヘキトウ』は、第一弾の書籍でも表紙に起用しました。このイラストがきっかけで、埼玉県にある角川武蔵野ミュージアムに展示する作品を描かせてもらえることになった経緯もあり、自分にとっては記念碑的な作品です」

――イラストにフレーバーテキストを添えるというスタイルが非常にユニークです。参考にしているものや、こだわっているポイントはありますか?

「フレーバーテキストの体裁はTCGの『マジック:ザ・ギャザリング』を参考にさせていただいてます。テキスト内容のシニカルさやジョークっぽさは個人的な趣味によるものです」

※例えば、画像1枚目の【ヘキラク】のフレーバーテキストは「鉄の塊を飛ばせるようになっても、人類はまだ空を征服出来ていない。―――航空課管制班より」

――元自衛隊員のイラストレーターという経歴は珍しいかと思いますが、どのような経緯で現在の活動を始めたのでしょうか?

「昔イラストレーターを志したことがあったのですが、その時は実力不足から諦めてしまいました。その後はイラストと全く関係ない仕事をしていたのですが、心の奥底でくすぶっていた気持ちは消えず、諦めをつける意味で再挑戦したことがきっかけです。上手くやろうというより『やるだけやった』と踏ん切りをつけたかったというのが正直なところです。自衛隊に入隊したのはいろいろと理由があるのですが、イラスト業とは関係なく、除隊後にイラストレーターという仕事に興味を持ったという形です。しかし、自衛官として参加した演習やさまざまな現場での仕事の経験は、『有害超獣』という作品に大きく影響を与えています。現場にいたさまざまな人の考え方や言い回しもよく覚えていて、作品の随所に見られる独特の表現はそういったものがルーツになっています。また、自衛隊時代に鍛えた体力や踏破能力はイラストの取材活動においても大変役に立っています。自衛隊のみに限りませんが、いろいろな仕事での労苦が私の制作のバックボーンになってくれているのは日々感じています」

――Twitterでのフォロワーが10万人を超えました。フォロワーはToy(e)さんの作品のどんなところに魅力を感じてくれていると分析しますか?

「ある種の物珍しさかなと思います。珍しさの中身はテキストであったり、演出であったりといろいろだと思いますが、タイムラインに時折現れる珍獣のようなものとして、珍重いただいているのかなと考えています」

――シリーズ第2弾となる書籍が発売になりましたが、見どころなどがあれば教えてください。

「一作目より続いている超獣『ヘキトウ』との戦いが苛烈(かれつ)さを増し、決着をつけるためについに区内全体を巻き込んだ驚天動地の作戦が発動します。興味がわいた方は、ぜひ書籍にてご覧ください」

――『有害超獣』シリーズについて、今後の展望を教えてください。

「まだ企画段階ですが、いろいろなクリエーターの方に『有害超獣』シリーズに参加してもらえれば…と考えています。書籍では世界設定等をまとめて記載していますので、それをもとに皆さんの分身たる区役所職員を創って作品舞台である『区内』で活動していただけるとうれしいです。また、商業的な展開も目標のひとつです」

取材協力:Toy(e)@3月17日書籍続編発売(@Toy__e)

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