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「日輪刀」がライダー変身ベルトを超えるか?“鬼滅”玩具がクリスマス商戦をリード

  • 2020年12月11日
  • Walkerplus

小売店の休業や「東京おもちゃショー」の中止などコロナ禍で揺れた2020年の玩具業界。業界年間売上の4割を占める年末・年始商戦を迎える中、今年ひときわ存在感を示すのが『鬼滅の刃』だ。バンダイが10月末に発売した「鬼滅の刃 DX日輪刀」が、例年業界トップクラスの人気を誇る「仮面ライダー」の変身ベルトに肩を並べるほどの売れ行きで、その他の鬼滅関連商品も好調。「今年一番のヒット商品になるのでは」と期待がかかる。

■空前の鬼滅ブームに玩具業界も熱視線
興行収入275億円を突破し「タイタニック」を超え日本歴代興収2位となった劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編をはじめ、原作の最終23巻が12月4日に発売されるなど年末にかけてさらなる盛り上がりが見込まれる「鬼滅の刃」。玩具業界でも“鬼滅”のキャラクター玩具は好調で、12月1日に開催された「2020今年のクリスマスおもちゃのトレンド記者発表会」では鬼滅の刃が今年の玩具トレンドの1つとして挙げられ、全国の小売業と問屋の投票による「おもちゃ屋が選んだクリスマスおもちゃ2020」でも8部門中4部門のTOP3に鬼滅関連玩具が選ばれている。

その中でも特大のヒット商品になると目されているのが、バンダイから10月31日に発売された「鬼滅の刃 DX日輪刀」だ。鬼滅の刃の武器玩具としては初めてTVアニメの音声を収録し、50種の音声と効果音とともになりきり遊びを楽しめるというもの。同商品は「おもちゃ屋が選んだクリスマスおもちゃ2020」の男の子向け玩具部門でも1位に選出されているが、同部門は例年その年最新の「仮面ライダー」シリーズの変身ベルトが1位を獲得してきた。そこからも、小売業界からの注目度の高さがうかがえる。

■女の子も「日輪刀」、ライダー“変身ベルト”に肉薄
DX日輪刀は、テレビ朝日系列の子供向けテレビドラマ番組枠“スーパーヒーロータイム”で、スーパー戦隊や仮面ライダーのグッズと並びCMが放送され話題になるなど、小売・メーカーともに大きな期待がかかる玩具。バンダイの担当者も、自社の主力商品であり、業界全体でも毎年最大の売上実績を誇る変身ベルトと比肩する商品は大ブームとなった「妖怪ウォッチ」関連グッズ以来と話す。

日本玩具協会専門委員で業界誌・トイジャーナル(東京玩具人形協同組合)編集長の伊吹文昭氏も「DX日輪刀は、日本おもちゃ大賞で毎年ヒットセールス賞を受賞している仮面ライダーの変身ベルトと今年のトップを競うのではないか」と評するなど、今年最大のヒット玩具になるポテンシャルを持つDX日輪刀。その一因として、購入層の間口が広いことが挙げられる。バンダイの担当者によれば、仮面ライダーの変身ベルトは例年9割以上が男児向けでの購入だというが、DX日輪刀の場合は発売初週のアンケートで約2割が女児・女性層の購入という結果が出ているといい、鬼滅の刃が男女ともに強い支持を受けている作品であることが玩具売上の後押しになっているようだ。

■「無限列車編」公開延期も年末商戦の追い風に
DX日輪刀以外にも、鬼滅の刃関連玩具が各社から続々と発売されている。バンダイからは鬼滅の刃の世界観を取り入れた「きめつたまごっち たんじろうっちカラー / ねずこっちカラー」や、「ドンジャラ 鬼滅の刃」などが登場。エポック社からは12月5日に発売される「鬼滅の刃 エアホッケー」のほか、水でくっつく「アクアビーズ」シリーズから「アクアビーズ 鬼滅の刃 バケツセット」も注目商品としてラインアップされている。家族で遊べる定番玩具やメイキング玩具も多く、伊吹氏によれば「(鬼滅関連玩具全体では)男児向け・女児向けがほぼ半々になっている」という。これらも男女問わず支持されている鬼滅ブームを反映していると言える。

また、秋口以降に関連玩具が続々発売されていることも大きい。バンダイでは8月の「ドンジャラ 鬼滅の刃」以降、立て続けに鬼滅玩具を発売しているが、当初今年3月に公開予定だった映画「無限列車編」が10月16日まで公開がずれ込んだことから、「映画公開が商品投入のタイミングと重なり大きな後押しになっている」(バンダイ担当者)と話す。

■ コロナ禍の玩具業界を“すみっコ” “鬼滅”の二大キャラクターが救うか
玩具業界全体を見ると、鬼滅の刃と並び注目されるキャラクターが「すみっコぐらし」だ。2019年には「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」が話題となったことから、昨年に引き続き関連玩具の売れ行きは好調。2020年の新商品ではセガトイズ「マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプラス」やタカラトミー「フェルティミシン すみっコぐらし」など女の子向け玩具や知育・メイキング玩具を中心に注目が集まっている。

伊吹氏によれば、玩具を含むすみっコぐらしのIP全体の市場は2018年の200億円、2019年の270億円から今年は460億円と200億円近い伸びが見込まれているといい、特に小学生以下の低年齢層に人気が広まったことから玩具業界でもビジネスチャンスが広がっている。

こうした「鬼滅」「すみっこ」2大キャラクター玩具の台頭だけでなく、休校や外出自粛による在宅時間の増大から、家族で遊べるおもちゃやメイキング玩具、操作を学べるPC・タブレット系の知育玩具などコロナ禍だからこそ伸びを見せたカテゴリーもあり、年初から10月末までの玩具市場規模は累計で昨対95%と健闘。伊吹氏は「7年連続で8000億円市場を維持することは充分可能」と期待をのぞかせる。

とは言え、コロナ禍が玩具業界にも逆風となっていることには変わらない。今年のクリスマス商戦でも、店頭での購入機会の減少や家計を考えての買い控えなど、消費者の動向がどう変化するかは未知数だ。そうした中、12月以降も様々な商品展開を控える鬼滅の刃は、玩具業界の新たなヒーローとなりそうだ。

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