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島﨑信長、活躍の場が広がる声優ブームに「軸は声優、勘違いはしちゃダメ」

  • 2020年8月25日
  • Walkerplus

注目の声優・島﨑信長が、アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』に出演する。島﨑といえば、大人気アニメ「ソード・アート・オンライン アシリゼーション」で主人公キリトの相棒であり物語のキーマンでもあるユージオ役、「Free!」の七瀬遥役、「バキ」の範馬刃牙役、「虹色デイズ」片倉恵一役など、数々の主演級キャラクターやイケメン役を演じている印象。ラジオ、CM、歌、舞台と幅広く活躍しており、いま最も注目を集めている声優の一人だ。

今回、『思い、思われ、ふり、ふられ』で島﨑が演じたのは、メインキャラクターのうちの1人、クールな“王子様キャラ”の男子高校生・山本理央。一見、飄々としていそうに見えて“あること“に葛藤する理央の複雑さをリアルに演じた島﨑に、本作や理央への思い、声優業における自身の強みを語ってもらった。

■「あえて役作りはしなかった」感じたままに演じ切った山本理央の魅力

ーー本作の出演は、オーディションで決まったとおうかがいしました。山本理央役に決まったときの気持ちを教えてください。

【島﨑信長】すごくうれしかったですね。原作を拝見したときに、随所にリアリティが散りばめられている人間ドラマだなって感じて、「きっと演じさせていただけたら、すごい楽しい現場になるだろうな」って思ってましたから。

ーーたしかに、甘々な高校生の恋愛にキュンキュンするというよりも、それぞれのキャラクターたちが葛藤する姿が描かれていますもんね。

【島﨑信長】そうなんですよ。高校生って、キラキラしている一方でままならないことも結構あるじゃないですか。そういうところも描かれているので、それぞれのキャラクターの心情の変化とか一つ一つの言動を見ながら、「あるある」とか「いるいる」って思う部分が多かったですね。

ーー島﨑さんが理央を演じる中で共感した部分があれば教えてください。

【島﨑信長】理央って普段は周りを見ているのに、いざとなると気持ちでバッて動いちゃうところがあるんです。すごく考えたけど、結局気持ちでやっちゃったみたいな感じ。そういうところは、僕によく似てましたね。すごくよくわかるなって共感しました(笑)。

ーーオーディションの時から「きっと楽しい現場になるだろうな」と思われていたとのことですが、実際の収録現場はいかがでしたか?

【島﨑信長】和やかな空気感の中で、お互い高め合いながら収録できたんじゃないかなと思います。ヒロインの市原由奈役を演じた鈴木(毬花)さんが、劇場アニメ初出演ということもあって、少し緊張してたんですね。そうなってしまうと本来のパフォーマンスや良さが出ないというのは、みんな自分の新人時代に経験があるので、必要な緊張感を保ちつつも、くだらない話をしたり和気あいあいと収録してました。ただ鈴木さんとかけ合う中で、フレッシュさやまっすぐさがダイレクトに役に乗っかっている感じに、ハッとさせられることも多かったです。だから、僕らが支えたというよりは、全員で支え合って1つの作品ができたなと振り返ります。

ーー理央を演じるにあたって、心がけたことがあれば教えてください。

【島﨑信長】理央の属性よりも人間性を大事にしました。理央って王子様キャラみたいに紹介される一方で、別に王子様のようにふるまっているわけではないんですよ。自然にふるまったものが結果的にそう見えちゃうだけなんです。だから、あえてカッコよさは作らずに、理央として当たり前にふるまえたらいいなということを意識しました。幸い今回は、みんなでかけ合って収録できたので、マイク前で素直に感じたままに演じましたね。

■「誰にも負けない強みはないけど、現場ごとに強さは意識している」

ーーたくさんの声優さんがいる中でも、島﨑さんは特にご活躍されている印象があります。ずばり「これだけは誰にも負けない!」という強みがあれば教えてください。

【島﨑信長】え〜…いや負けるよ、勝てないですって(笑)。うちの事務所の大先輩と、どこで比べても勝てる気しないです。野沢雅子さんに僕の何が勝ってるかなんてわからないですもん。

【島﨑信長】でも、そうだな~…これってものじゃなくて、その場その場で自分の強みを見つけられることが強みかもしれません。

ーーどういうことでしょう?

【島﨑信長】今思うと生意気だったなぁと思うんですけど、事務所に入りたてのときに、オーディションでたくさんの先輩方と争う機会があったんですね。そのとき、「うわ、これは勝てない。どうしたらいいんだ」って思いながらも、「たしかにお芝居じゃ一切勝てないかもしれないけど、でも60歳、70歳、80歳っていう大ベテランの先輩と同じ役を争うときにその役が中高生とかだとしたら、若さだけは僕が勝ってるんじゃないか!」って自分を奮い立たせたんです。もう、薄すぎる勝機だってことは自分でもよくわかっていたんですけど、どこか抗える部分、戦える部分みたいなのをその時の自分なりに探していたんですよ。

ーーしっかり、自分の“強み”がどこにあるかを、現場ごとに考えているんですね。

【島﨑信長】そして、個人の技術も大事ですが、かけ合いや全体のバランス、作品が求めるものにマッチしているかどうか、現場での在り方なんかもとても大切な要素なんです。お芝居って1人でするものではないので。だから今の僕は、それぞれの場での自分の武器や強み、作品をよりよくするために何が出来るのかということを常に意識しています。今回の『思い、思われ、ふり、ふられ』でも、自分が理央役としてそこにいる意味をしっかり考えて現場に入りました。

■声優へのニーズが拡大するも…「軸は声の仕事、勘違いはしちゃダメと思います」

ーー最近では、Yahoo!Japanの「#311いまわたしができること」にも抜擢されてましたよね。昨今、声優さんが求められる仕事の幅が広がっている印象があるのですが、声で演じる以外のことを求められるのって大変ではないですか?

【島﨑信長】たしかに大変っちゃ大変なんですけど、僕の軸は「声の芝居」ということがぶれなければ大丈夫かなと思っています。デビュー当時から仕事の幅が広がる中で、時にはアーティストさんやモデルの方など、その道のプロと同じフィールドに立たせていただく機会もありました。でも、僕が一番やりたいことは、戦いたいのは、あくまでも声の芝居や声を使う専門分野でなんですよ。歌や踊りやさまざまな演技に挑戦させていただけるのは、声優という軸があってこそ。だから、戦う場所を履き違えないようにしなきゃなって思ったんですよね。僕は器用になんでもできるタイプではないので、一番やりたい声の芝居を軸に据えた上で、何事も前向きに挑戦させていただいています。

ーーなんでもこなされているイメージだったので、そのように思われているのは意外でした。

【島﨑信長】変に引け目を感じたり、卑屈になることはないともないと思うんですけどね。ただなんていうか…勘違いしちゃダメだなとは思います。自分の中の軸は常にクリアにしておきたいんですよ。例えば声優とアーティスト両軸で一流の方もいらっしゃいますが、いまの僕にはそれは難しいんです。器用じゃないというのもありますが、何より声の仕事と同じだけの熱量をまだ他には持てなくて。ただ、いろんなお仕事をさせていただくことで学ぶことは多いので、楽しいのは事実です。だから、これからもいただいた仕事には前向きに全力で取り組めたらなと思います!

(取材・文=於ありさ)

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