宇部のフレンチレストラン「BISTRO NAO(ビストロ ナオ)」(小松原町1、TEL 0836-43-9698)が4月21日、オープンから10周年を迎えた。(山口宇部経済新聞)
提供する「ポティロンランチ」
浜バイパス沿いに2015(平成27)年にオープン以来、「フランス料理を気取らずに楽しめる店」として、オーナーシェフの山中直美さんが、箸で気軽に味わえるカジュアルフレンチを提供し、地元で愛され続けている。
店内は、コロナ禍を経て席間を広げ、現在はゆったりとした配置のテーブル席22席。オードブルやランチボックスのテイクアウトにも力を入れ、ランチタイムには人気のキッシュを店頭販売するなど、地域のニーズに合わせた柔軟な営業スタイルを確立している。
山中シェフは10年を振り返り、「フランス料理は敷居が高いと思われがちで、『宇部では難しい』という声もあったが、ありがたいことにオープン当初から温かく受け入れていただいた。一人一人のお客様と真摯に向き合い、お見送りなどでの対話を大切にしてきたことが、今日につながっていると感じている。当時小学1年生だった息子も高校2年生になり、その成長を共に見守ってくださるお客様ばかりで、本当に感謝の気持ちでいっぱい」と感慨深げに語る。
料理には、地元産の新鮮な魚介類や旬の野菜をふんだんに使用。ランチは、オードブルサラダ、スープ、選べるメイン(肉または魚)、パン、デザート、ドリンクが付いたお得な「ポティロンランチ」(2,400円)と、肉料理と魚料理の両方が楽しめる「シェフおまかせフルコース ペコロスランチ」(3,700円、前日までの予約制)の2種類を用意。ディナーは、1組限定(前日までの予約制)で、特別なコース料理を提供する。
開店から2年ほど経った頃からは、地域の子どもたちに温かい食事を提供する「みんにゃ食堂」でボランティア活動を始め、現在も月に一度、積極的に関わっているという。
山中シェフは、幼い頃は学校の先生になるのが夢で教員免許を取得している。一昨年までは市内の小学校で食育の授業を受け持ち、昨年秋には調理学校の講師も務めた。「料理が好きでフランス料理の奥深さに魅了され、料理人の道を選んだが、食を仕事にしている私だからこそ、次世代を担う子どもたちに食の大切さを伝えていきたい」と、食育への熱い想いを語る。
「保存料などの添加物は一切使用せず、パンをはじめ、デザート、ドレッシングなども全て自家製にこだわっている。仕入れからメニュー考案、調理までを一人で行っているため、日々の仕込みは深夜に及ぶこともあるが、お客様の『おいしい』という言葉と、その時の笑顔が何よりの喜び。材料費の高騰など厳しい状況もあるが、これからも小さなことをコツコツと積み重ね、細く長くお店を続けていけるように頑張りたい」と、今後の抱負を語った。
営業時間は、11時~15時(ディナーは18時~22時)。日曜定休。