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苦手意識のあるものには絶対手を出さない中2娘。挑戦するマインドを育むには?【小川先生の子育てよろず相談室】

  • 2023年3月28日
  • レタスクラブニュース


「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第133回のお悩みはこちら。

【お悩み】

中2の娘がとても頑固で、やりたくないことは絶対にやりません。先日も、体育のハードルの授業で、「ハードルが怖い」と言って、一度も飛ばなかったとのこと。先生が「怖かったらハードル手前で止まってまたいでもいいよ」と言っても、頑として一歩も動かなかったそうです。

また、暗記も苦手で、百人一首のテストで覚えなきゃいけないとなっても、「全然覚えられないし」と言って覚えようともしません。英単語の小テストでも、実はいつも0点だったということが、先日発覚しました。本人に聞くと「覚えてもどうせまたすぐ忘れるから」とのこと。「もちろん忘れるけど、だから繰り返しやって定着させる必要があるんだよ」ということを話し、ただ眺めるだけで覚えられないなら、別の覚え方を試すことを提案しました。そして英単語に関しては、例文での使われ方の確認から始めて、一緒に単語帳を作成。その甲斐もあってか、先日の単語テストでは9割以上とることができました。

気を良くした娘は、その後は自分からノリノリで英語は勉強するようになりました。「ちょっとできるかも」と思うと、集中してがんばることはできるようです。でも少しでも「できない」とか「苦手」と思うと、徹底的に拒絶し、全く手を出そうとしません。その落差がとても激しいと感じています。どうしたら「苦手なことでもがんばってみよう」というマインドに持っていけるのか、アドバイスいただきたいです。(Aさん・44歳)

【小川先生の回答】

■取り組みにくく感じているストレス要因を取り除く

モチベーションの掻き立て方にもいろいろあり、娘さんはストレスや負荷をかけてのモチベーションが向いていないタイプ。できる自分のイメージを埋めていく形で積み上げていくのが好きな子なので、そもそも「がんばる」という言葉は向いていません。英単語を覚えるのに自信がついたら、自分からやるようになったように、「できそう」「やりたい」と思ったことは、周りが言わなくてもやるはずです。だから、「これならやってもいいかな」をいかに作るかに力を注いであげればいいだけです。

例えばハードルですが、「歩いてまたぐだけでもいい」と言われても、正直な話、中2女子がそんな姿を友達に見せるなんてものすごいストレスなはず。それに比べたら、やらずに見られないほうを選ぶのが普通だと思います。その点に関しては、先生が中2女子の心理を全くわかっていないですね。みんなの前でさらし者にするのではなく、後で補習として個別にやらせる機会を作ってあげたほうが、やれたのではないでしょうか。そういった本人にとってのストレス要因を減らしていき、本人が「やってもいいかな」と思える状況を作ってあげることです。

■細かく段階を設定して「やれそう感」を作り出す

「やってもいい」と思えるための具体的な方法としては、まずこの段階までやってみて、それができたら次のステップへというように、目標までのステップを細かく設定してあげることです。おそらく英単語を覚えられたのも、まずは例文で読んで確認して、単語帳に書いて、覚えてというように、段階的に進めていったから、できたのだと思います。たくさんの単語が羅列されているのを見て一気に覚えようとすると、どうしても「大変そう」「無理そう」という不安が勝ってしまいがち。細かく分割してやれることを積み上げていったことで、本人の中でも「やれそう感」が持てたのだと思います。

■本人の面目が保てる環境作りをする

また、娘さんは「周囲からどう見られるか」を、かなり気にするタイプ。一言でいうと、カッコつけです。自分のイケてない部分を人に見せるのが恥ずかしく、ポーズを決めたがる傾向にあるので、そこを「努力によって超えていくことに価値がある」という正論をぶつけても、ちょっと難しいでしょう。教育的には努力の価値を語りたいところですが、娘さんの場合はやはり本人の面目が立つように、体裁が整うように、「恥ずかしい」と感じるリスクを減らす工夫をしてあげるのがコツになります。恥ずかしくないような、嫌だなと思わないような環境を整えてあげたほうが、本人も挑戦しやすいと思います。

■実行できた記録を残し、努力の積み重ねを実感させる

やり始めてできたら、とたんにやる気をみせて取り組めるはずなので、実行できた記録だけ残しておきましょう。そして、ふとした時に「今週は結構がんばったね」など、行動量や学習量が増えた事実を見せてあげます。そのようにして、やった事実を貯めていくと、そのひとつひとつの小さなステップの積み重ねで、目標に到達できることが実感できるはず。そしてそれは、努力することの価値というものへの理解にも繋がります。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『既にやれている事実もあるから大丈夫』
なんでもかんでも無気力な訳ではなく、「やれそう」なことはすごくがんばれることは、既に証明済み。且つ、「人から見て恥ずかしくない時はがんばりそう」という糸口も見えてきたので、打つ手はいくらでもあります。本人が取り組みやすい環境を整えてあげれば、スムーズに進むと思いますよ。

回答者Profile


小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル、公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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