冷凍すると、お肉も野菜もパサついておいしくない...。そんなふうに思っていませんか?
でも大丈夫! ちゃんとコツをおさえてきちんと冷凍すれば、おいしく食べられるうえに調理もラクになるんです。
「冷凍保存パーフェクトガイド」連載第1回目は、「秋冬野菜」と「いも類」の上手な冷凍方法をアドバイス。使いきれずにダメにしがちな野菜を、余らせずにおいしくいただきましょう!
▶︎教えてくれた人
西川剛史さん
冷凍生活アドバイザー。大学で食品栄養学を専攻した後、冷凍食品会社に勤務。商品開発などに従事する。独立後は、冷凍の知識に独自の実験を重ね、家庭でも実践しやすい冷凍テクニックを提案。テレビ、雑誌などで幅広く活躍中。
まずは、覚えておきたい「おいしい冷凍4カ条」をご紹介します!
その1
■新鮮な状態で冷凍する
「余ってから冷凍する」はNG。冷凍はあくまでも「キープ」する方法なので、鮮度がよい状態で冷凍しましょう。買い物後、すぐ使う分だけ取り分けて、残りは冷凍するのがおすすめです。
その2
■できるだけ空気を遮断する
冷凍の大敵は食品の乾燥と酸化。冷凍するときはできるだけ冷凍用保存袋の中の空気を抜きましょう。ラップで包んで冷凍する場合も保存袋に入れて空気を抜くこと。冷凍焼けを防げます。
その3
■できるだけ早く冷やす
時間がかかると、食材の中の水分が大きな氷結晶となって細胞を破壊し、食感や風味を悪くします。冷凍はなるべく薄く平らに広げるのがコツ。トレーの上において冷凍すれば、板状の形をキープできます
その4
■同じサイズ&形に揃える
食品を均一にむらなく冷凍するためには、同じサイズや形にカットしておくのが鉄則。冷凍スピードが揃うと同時に、解凍のむらもなくなるので、料理がおいしく仕上がります。
ちなみに、冷凍保存期間の目安は、生の肉、魚、野菜は2週間。加熱したものは1カ月以内です。
秋冬野菜
大物が揃う秋冬野菜は、使い切れずにダメにしてしまうことも多いはず。素材に合った切り方をして冷凍すれば、おいしく食べられるうえに調理もラクですよ!
■【キャベツ】
冷凍することでパリッとした食感はなくなるが、加熱用なら充分おいしい。用途に合わせて切り方を変えてストックすると便利。
ざく切り
4cm四方に切って冷凍。食べるときは、凍ったまま炒めものや汁ものに加える。
細切り
1cm幅の細切りにして冷凍。加熱調理のほか、電子レンジで解凍後水けを絞ってサラダにしても。
■【大根】
大型野菜ゆえに、なかなか食べ切れない大根。食べ方を考えて、大きさ、切り方を変えて冷凍すれば、1本が効率よく食べ切れる。
厚めのいちょう切り
2~3cm厚さのいちょう切りにして冷凍。調理するときは、煮ものや汁ものに凍ったまま入れる。
短冊切り
1cm幅の短冊切りにして冷凍。調理するときは、汁ものや炒めものに凍ったまま入れる。
大根おろし
汁ごと袋に入れ、薄く広げて冷凍。使う分だけ割って取り出し、室温で解凍する。
■【にんじん】
細切り
冷凍すると食感がやや悪くなってしまうので、細切りに。炒めものや汁ものに入れるほか、電子レンジ解凍してサラダに使っても◎。
■【白菜】
ざく切り
5~6cm四方に切り、空気を抜いて冷凍。食べるときは、凍ったまま調理。冷凍によって繊維がくずれるのですぐにやわらかくなり、甘みが出る。
■【ごぼう】
斜め薄切り
きれいに水洗いして水けを拭き、皮ごと3mm幅の斜め薄切りにしてから冷凍。
■【長ねぎ】
ねぎは冷凍しても水分が流出せず、解凍後はとろりとした食感になる。具と薬味の2種の切り方でストックして。
斜め切り
炒めものやスープに使うなら、2~3cm幅の斜め切りに。加熱すると短時間でとろりと仕上がる。
小口切り
小口切りで冷凍しておけば、凍ったまま薬味として使えて便利。使う分だけ取り出したら、空気を抜いて再び冷凍室へ。
■【かぶ】
縦割り
栄養価の高い葉も一緒に冷凍するのがおすすめ。白い部分は皮をむいて半分に切り、葉は3~4cm長さに切って、それぞれラップに包んで冷凍。
■【れんこん】
縦割り
皮をむいて縦半分に切り、ラップで包んで冷凍。手早く包めば、水につけなくても変色が防げる。少し室温に置いてからの方が切りやすい。
いも類
日もちがすると思われがちですが、意外にいたみやすいのがいも類。特性に合わせて下処理をしてから冷凍。
■【じゃがいも】
加熱してまるごと
皮つきのまま中までしっかり電子レンジで加熱し、さましてからラップで包んで冷凍。食べるときは電子レンジで加熱して解凍する。
■【さつまいも】
輪切り
皮つきのまま1cm厚さに切って冷凍。凍ったまま煮ものや焼きものにする。
■【里いも】
まるごと
水洗いしてから水けを拭き、皮つきのままラップに包んで冷凍。調理するときはそのまま電子レンジで加熱すれば、皮がつるんとむける。
■【長いも】
まるごと
皮をむいてラップで包んで冷凍。使うときは、凍ったまますりおろす。おろしたては雪のようなふわふわ食感に。軽く解凍してから切り、炒めものや煮ものにしても。
* * *
ちなみに、今回紹介した冷凍野菜の解凍方法も気になりますよね。
氷結晶によるダメージを負いやすい「-5~-1℃」と室温「10~40℃」は魔の温度帯。この温度帯をいかに避けながら解凍するかがおいしさのカギになります。
「大根おろし」「長ねぎの小口切り」「長いも」以外の野菜はすべて、「加熱解凍」がおすすめ。凍ったまま加熱することで、一気に高温まで上げ、魔の温度帯を素早く通過させましょう。
次回は、通年使う野菜や薬味の冷凍方法をお届けします。覚えておくと「あと一品」という時に大助かりですよ!
<レタスクラブ21年2月号より>
監修/西川剛史 撮影/安井真喜子 コーディネイト/中村弘子 編集協力/田久晶子
【レタスクラブ編集部】